SSブログ

新兵器京都で実戦投入 [弦楽四重奏]

この週末、いずみホールはコンクールはお休みで「大阪国際室内楽フェスタ」です。「ありとあらゆる室内楽と見なされる団体を集め、我こそはと手を挙げた一般聴衆が審査員となって最もウケた団体を選ぶ」フェスタの意味と意義は公式ページに放り投げ、今日はフェスタで絶対に聴いておきたかったクァルテット・サンフランシスコを拝見してから慌てて雨に煙る桂離宮の向こうまで、富山でのアウトリーチを終え京都・奈良に至ったボロメーオQ&男爵様に会い行って参りました。

ボロメーオ一行と男爵様、来週からいよいよ東京湾岸でのミニレジデンシィ&フェスティバル。その前に、一部で噂の新兵器、ボロメーオ社内でも賛否両論らしいマシンを見物に行った次第。

見よ、モーツァルトのト短調五重奏を終え、澤さんと共に拍手に応える面々…じゃなくて、その前に聳える譜面台たちを。一番上手側、第1ヴァイオリンのニックが使用しているスタンドをよおおおおおおくご覧あれ。
005のコピー.jpg

お判りかな。そぉおですっつ、なんと、これ、パソコンです。昨年の富山のセミナーにピアニストのマンチェが持ち込み、生徒やスタッフをビックリさせていた「譜めくりいらずの電子譜面台」なのであります。

操作は極めて簡単。スタンドの下に足踏み式スイッチがあり、ぺこんと踏めば、ページがかわる。練習の時の書き込みなどは、特殊なペンで画面を弄れば書き込める。譜面はデータ化されてハードディスクに入っており、足りない場合はボストンの自宅サーバーからダウンロード出来るらしい。

一部のアメリカのオケでは、実験的に用いられているとの話も聞く電子譜面台、弦楽器奏者が本公演で用いたのは、もしかしたら本邦初かも。終演後は、ゴールドベルク・バロン・ビッタよりも人気を集めており、客席にいたプロ奏者たちあの人この人、ステージに上がり込んで取り巻いておりました。

さても、この新兵器、果たして受け入れられるものなんでしょうか。少なくともボロメーオQの内部では、まだテクノロジー好きの社長以外に採用する気のある方はいないようです。

多分、1920年代頃にスチール弦を最初に使った演奏者も、周囲のガットの連中から「妙なもんを持ち出しおって」と思われてたんだろうなぁ。

テクノロジーはどうであれ、すっかりニックと馴染んだ男爵は、湿っぽい京都の雲を劈くような天にも届かんばかりの「シャコンヌ」を奏でてくれました。クァルテットの中でのバランスなど、これまでには考えもしなかったいろいろな問題も起きてきているようで、弓をバロック風なものにしてみたり、まだまだ試行錯誤の最中のようです。

この数日間の若い熱気をすっかり忘れさせてくれちゃうような格の違う音楽をあっさりやられちゃうと、なんなんじゃろなぁ、とあらためて考え込んでしまう。コンクールの最中に、こういう瞬間が持てて良かった。これから世に出ようと必死に音楽する新興零細企業、自分なりの商売の仕方や生き方が出来た中での日常そのものが音楽になってる現役バリバリ、そして、自ら造り上げたブランドを自ら閉じようとしているかつてのヴェンチャー企業…

体を悪くして田舎に戻って以来久しぶりに登場の甲賀のI嬢と、しのつく雨に傘の川が流れる鴨川四条の橋の袂を見下ろしながら鰊蕎麦などつるりつるり、ホント、音楽ってもんわぁのお、奥が深いこっちゃ、うん、つるりつるり、蕎麦ちゅーもんも奥が深いわな、本家鰊蕎麦ってこんなに腰のやわいもんなんかね、へえええ…
006.JPG

ニックの新兵器を見物したい関西の方々、日曜日午後3時から、奈良女子大学記念館に男爵と共に参上します。湾岸の皆さんはこれからあちこちでご覧になれるでしょうから、ちょっと待っててね。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2