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さらばカーネギー楽屋口前書店のおばば [マンハッタン無宿]

いよいよ新厄偏庵の鍵を渡され(今度は鍵がある!って、じゃあ前はどうだったのかというと…)、本日から当電子壁新聞は「お引っ越しボランティア様のための掲示板」になる予定だったのだけど、それどころじゃない大ニュースが飛び込んだ。これ。
http://www.nytimes.com/2009/04/13/arts/music/13pate.html?_r=1&emc=eta1
おおお、あのカーネギーホール楽屋口真ん前の楽譜屋、これから引っ越しせねばならぬ厄偏庵及び佃オフィスに山積みになる楽譜や書籍の出所として神保町の古賀書店と双璧の、世界の音楽愛好家の心の故郷が、とうとう閉店になるとのこと。

いやぁ、去年の暮れにマンハッタン新厄偏庵にいたとき、いつものように眺めに行って、あまりの閑散振り、というか、もう手を入れていません、って感じに、嫁さんと「こりゃあもしかしてもしかするかもねぇ」って話をしていた。そしたら、やっぱりもしかしたわけです。悪い予感と共に、嫁さん立てて撮影した記念写真。やっぱり、別れの1枚となったか。
004.jpg

このお店、入りっぱたの「持ってけ泥棒本日の投げ売りコーナー」の充実ぶりは言うまでもなく、あちこちに張られたメイジャーではない小さな演奏会の案内だとか、音楽家や学生の間での情報交換のタッグを眺めているだけで、ああ俺は今、カーネギーホールの真ん前にいるんだよなぁ、と思える場所だった。なによりも嬉しいのは、立ち読みしながら楽屋口を張っていられたこと。ここで投げ売り本をぱらぱら捲りながら、ガラス窓の向こうに視線をチラチラさせ、演奏家が練習を終えて出てくるのを待ったり、事務所が泊まってるホテルを教えてくれない指揮者の入りを見張っていたりしたものです。どれだけの時間を過ごしたことか。

最後に買ったのは、投げ売り楽譜で出ていたシュトックハウゼンの「コントラプンクテ」のミニチュアスコアでした。佃オフィスに戻ってきて棚を眺めたら、同じ楽譜が、やっぱり同じ店のタッグが付いてちょこんと鎮座しておりました。アホか、わしゃ。

グリニッジのアカデミー・レコードも惨憺たる有様だし、ジュリアード裏のタワーレコードどころか42丁目のヴァージンまでなくなったというマンハッタン、これからは何を楽しみにあの街を彷徨ったら良いのやら。カザルスホールが取り壊されるなんて話の23乗くらいは悲しいぞ。冗談じゃなく、家族が死ぬくらい寂しい。幸か不幸か、マンハッタンは東京湾岸と違ってやくぺん先生の街じゃあないんだから、思いっきり残念がっていいのじゃ。

Amazon.comなんて大嫌いだ!

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ヒデキヨ

やくぺん先生、
先日はエルデーディSQの会場で名刺交換させて頂きまして
ありがとうございました。

しかし、何というか、大胆にも

>○m○zon.comなんて大嫌いだ!

元どーりょーもいっぱいいますが…、
今やリアルショップは本当に本当に大変です…
でも、カーネギー楽屋口前書店の空間って
ダウンロードできない世界ですのに。残念です…
by ヒデキヨ (2009-04-16 22:45) 

stray mole

はい、こちらではお初にお目にかかります。
今日その写真に背中が写っていらっしゃる方に横文字の記事を渡され、今ミニマルミュージックの先駆けと言えるような「ハ音の中で」を聴きながら読んでいます。
世の中に、まだ一度も訪れたことが無いのに、消えていってしまう場所があるのは悲しいことです・・・・・。

それと25日は、とりあえず、運転免許証付きのボランティアとして名乗りを上げさせていただきました。宜しくお願いいたします。
by stray mole (2009-04-17 00:45) 

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