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栗東さきら来期からの指定管理者決定 [指定管理者制度]

公共文化施設にも指定管理者制度が導入されたとき、その運用と文化施設「栗東さきら」のあり方を巡って大きな議論が巻き起こった滋賀県は栗東市。結局、すったもんだの挙げ句JR西日本が中心となる事業体がそれまで栗東さきらを運営していた地元の文化スポーツ財団を破って指定管理者になり、今シーズンまでの運営をしてきました。その辺りの経緯は、当電子壁新聞でもそれなりに報道したところであります。旧URLを引っ張り出すと膨大な量になるので、ご関心のある方は、このページの左下にある検索欄に「栗東」と入れてポチョっと押しせばゴッソリ出て来ます。お暇ならどうぞ。「ほぼ速記」なんかもあります。

さても、指定管理者制度の最大のポイントであり、問題でもある部分は、管理に期限があること。戦後は終身雇用というシステムで「変わらずにあること」を最も大事と信じてきた日本国社会とすれば(そんなのたかが60数年のあり方で、戦争前には終身雇用制度なんてホントは存在していなかったことなど、多くの人々は知らんぷりをしている)、「公共施設の運営責任者が3年だか5年だかで変わるかもしれない」というやり方に大いに不安を抱えていらっしゃるようであります。
みんなどんどん会社を変えながら、ステップアップしたり、田舎に帰って農場始めたり、自分で会社始めたりするのが当たり前の柔軟な社会構造ならともかく、一度会社に入ったらずっとそこにいるのが当たり前の硬直化を良しとする社会ではこんなやり方が馴染む筈もなく、指定管理者導入反対の最大の理由のひとつが「文化施設運営の長期的な継続性が保証されない」という点にあった。

勿論、上手く使えばどんなシステムだって上手くやれるわけだし、ダメに使えばどんなに良いシステムだってダメなわけだから、正直なところシステムそのものに文句を言うのはあまり意味はないと小生は思うんだけど、ま、市民会館をやってるところがコロコロ変わるのはこまるなぁ、という気持ちは判らなくもない。

以上が前振り。ああ長かった。

で、数日前に、今年度でJR西日本グループの指定管理期間が終わる栗東さきらの来る4月からの指定管理者選定作業が終わり、栗東さきらのオーナーたる栗東市から発表がありました。こちらをご覧あれ。
http://www.city.ritto.shiga.jp/index/page/2d27821d0c997331c599e52e4ddf129e/

なんと、結果をひとことで言えば、今の指定管理者が落選して新しい指定管理者が入ることになりました。正に、指定管理者導入が騒がれたときに一部で危惧された「契約更改のたびに指定管理者がコロコロ変わるんじゃないの」という事態が起きたわけですね。

上の栗東市の公式発表には、新たに指定管理者になる、京橋に本社があって(厄偏庵から大川越えてチャリチャリと15分くらいのところ)、千葉県の南端のあちこちとか、北関東のあちこちとか、最近では北九州市の新しいホールとかの指定管理も取った会社K-mix(A)と、今のJR西日本を中心とする事業体 (D)との採点も上がっています。K-mixの指定管理事業に関しては、こちらをご覧あれ。
http://www.kmix.co.jp/ppp/case.html
審査をした人の名前も上がっていますけど、地元地方紙の記者さんでもないと、この面子が市によって選択されている事実に意味や志向を読み取るのは不可能。栗東市政や地元政治の流れが見えているごく一部の人なら「ははあ、この顔ぶれだからこういう結果なのね」とか、「へえ、この面子でこういう結果になったのは意外だなぁ」と、思えるのでしょうけど(結局のところ指定管理者問題が文化じゃなくて地方政治部の担当となるのは、こういう判断が文化の記者には不可能だから)。報告書としては一応、極めてオープン、と評価せざるを得ないような形になってます。この辺りは、流石に行政、騒動で学んでおるな、って感じ。

とはいえ、いろいろと判らぬことは多いですね。関係者の方に拠れば、指定管理期間中に指定管理者が始めた事業の継続性は入札(ってのかな)の前提として保証されているそうで、子供オーケストラなどの事業は新管理者も行わねばならないそうです。ってことは、市とすればその事業を興し、ここまで持って来たことを評価している、というわけですね。
じゃあ、プロ野球で日本シリーズ進出チーム決定戦のシステムでシーズン優勝チームは既に何勝か挙げているところから始めるみたいに、市が評価する事業を行ってきたことを点数化し、これまでの指定管理者にご褒美ポイントを与えたりしているかといえば、そういうことはないみたい。

これまでやってきたことのどこを評価してどこを評価しないのか、指定管理期間中に今後も存続に値する事業を始めのにそれも含めて新しい指定管理者に任せるべきだと考える理由はなんなのか――そんな「栗東市としての文化会館運営に対する評価」は、上の新管理者決定報告からは、見えそうでいて見えてこない。

となれば、「市とすればこれまでやってきたやり方は評価しないので、新しい会社に変えます」と宣言していると受け取る他にないわけですな。

ううううん、こりゃあキツイなぁ。これじゃあ、現場はどーして良いのかわからないぞ。ってか、これじゃ現場は「いくら頑張ってもダメじゃん」って思っちゃわんかね。

とにもかくにも、この栗東市の結論はいろいろな議論を呼ぶことでありましょう。当面は、こちらのブログがどんな反応を挙げてくるか、注目しましょう。
http://sakiracitizenship.shiga-saku.net/

小生としましても、いよいよ「栗東問題」をどっか表のメディアできちんとやるタイミングになったと思ってます。皆々様、いろいろ宜しくお願いします。

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コメント 3

とらお

私も、栗東問題について、大きな議論をすべきだと思います。
この問題を抜きにして、指定管理者制度だけじゃなく、劇場法もアーツカウンシルも考えることはできないと思います。
by とらお (2010-11-04 08:02) 

Yakupen

とらお様

たまにはまともな仕事をせねば、と思ってます。さきら問題の見方はいろいろあるでしょうが、小生は基本的に「現場スタッフがやってきたことを無為と感じずにすむ評価の仕方はどうあるべきか」というところが最大のポイントなんだろうと考えています。あくまでも、当面は、ですけど。

具体的には小生が動ける媒体になりますので、不甲斐ない内容になりかねませんが、ともかくk、頑張ろうと思っておりますので、なにかありましたらよろしく。さきらの問題は、劇場法問題で議論される「創造的な劇場とは何か」という部分に大きく関わってくると思いますし。

by Yakupen (2010-11-04 09:14) 

地元のボランティア

Yakupenさま、とらおさま
いつも栗東・さきらのことを発信いただきありがとうございます。
地元でも、新聞記者さんが取材をされたりしています。
私も取材をうけましたが、「栗東以外で、こうした事例はあるのか?」
と聞かれて、不勉強な私は、うまく答えられませんでした・・・苦笑。
また、全国的な情勢、先進事例などもご紹介いただければうれしい
です。
by 地元のボランティア (2010-11-05 12:37) 

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