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代打は控えの4番バッター [弦楽四重奏]

暫くヘビーな資料仕事に専念している間に、ニュースネタが山のように溜まり、多くは腐ってしまっていて、いまさらこんな電子壁新聞ですら書いてもしょーがなくなってしまった。ホントに情報は生ものだなぁ。最近は賞味期限がどんどん短くなってるような気もするんだけど。

さても、で、ひとつ、まだこれから先のニュースを。今や大手音楽事務所が大宣伝をして招聘する対象ではなくなってしまい、知らないうちに極東の島国にやってきて、首都Tokio都心部以外でのみヒッソリ演奏して去っていく団体ばかりになってる弦楽四重奏ネタです。

来週、ヘンシェルQが関空に飛来します。今回のツアー、メインはことによると名古屋は栄の宗次ホールじゃないか、って感じ。東京では18日に紀尾井で澤先生主催の演奏会に出演します。めんどーだから、全部貼りつける。

◆11月9日(火)大阪・いずみホール 19時開演  ヤナーチェク:「クロイツェル・ソナタ」、ブルッフ:弦楽五重奏曲 変ホ長調、ブラームス:ピアノ五重奏曲
◆11月12日(金)広島・アステールプラザ大ホール 19時開演 モーツァルト:「狩」、ブルッフ:弦楽五重奏曲、シューマン:ピアノ五重奏曲
◆11月16,17日  和歌山県紀美野町文化センターにてブラームス、シューマンのピアノ五重奏曲 CDレコーディング
◆11月18日(木)紀尾井ホール 19時開演 ヤナーチェク:「クロイツェル・ソナタ」、ブルッフ:弦楽五重奏曲、シューマン:ピアノ五重奏曲
◆11月19日(金)名古屋・宗次ホール 18:45開演  シュルホフ:弦楽四重奏曲第1番、ヤナーチェク:「クロイツェル・ソナタ」、ブルッフ:弦楽五重奏曲、メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 Op.80
◆11月20日(土)名古屋・宗次ホール 18時開演 モーツァルト:「狩」、シューマン:ピアノ五重奏曲、ブラームス:ピアノ五重奏曲

聴きものはシュルホフ、と言いたいが、名古屋だけじゃないかぁ。

んで、お伝えすべきは、今回のツアーに第2ヴァイオリンのマルクス・ヘンシェル君が来られない、ということ。代打で参加するのは、なんとなんと、ペッターソンQの第1ヴァイオリンを弾いていたコンラッド・ムック!えええええ、と驚かれるかもしれないけど、ともかくそーゆーこと。

なんせ、ムック氏といえば、ペッターソンQの創設メンバーだったペッターソン女史が抜けた後、ずっとこの団体の顔として弾いていた大物。ペッターソンQという団体、前世紀の終わり頃に一度ジャパンアーツが招聘する予定だったんだけど、当時のヴィオラ君が直前に病気になってキャンセル、とうとう日本を訪れなかった幻の実力派なのは弦楽四重奏マニアの皆さんはご存じの通り。
あ、全部過去形で書いているのは、解散したからです。ってのも、数年前のアルテミスQ一気に2人脱退すわ解体か騒動がありました。これら。流石にヨーロッパ最大の弦楽四重奏置屋さんが大プッシュする団体だけあって、随分と過去記事があるなぁ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-03-09
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-08-02
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2007-10-18-1
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-04-25
その際にペッターセンQのヴィオラ君がアルテミスQに電撃移籍をしてしまい、暫くは二股掛けていたんだけど無理。結果として、アルテミスQという名前を生き残らせるためにペッターソンQは取りつぶしになっちゃった。ま、同じマネージャーだから出来た荒技なんだろうけど、どーなんでしょーねー、いろいろと考えさせられちゃいますねぇ。こういうことがあるから、今や若い弦楽四重奏連中は大手マネージメントから離れて行っちゃうんだろーなー。いやはや。

もとい。んで、チーム解散で浮いてしまっていた経験豊富なブンデスリーグのフォワードが、友人のヘンシェルQの助っ人に登場して下さるわけです。これ、9月の上海公演終了後、浦東のどっかの飯屋にて。左から2人目が、うんと太っちゃったマルクス、じゃなくて、スーパー代打のムックさん。
051.JPG

ところでマルクス君の病気というのは、「飛行機に乗れない病」なんですわ。これ、冗談じゃあありません。深刻な話。
この春からのアイスランドの火山噴火騒動、あのときにヘンシェルQはアメリカツアーをしていて、騒動に巻き込まれ、暫くミュンヘンに帰れなくなってしまった。で、その際にマルクス君が「大気中に砂が飛んでて、そこに飛行機が突っ込んでいくかと思うと、怖くて飛行機に乗れない」症に罹ってしまったそうな。なんとかヨーロッパには戻ってきたものの、その後も怖くて怖くて飛行機はダメ。ミュンヘンに戻ってから昨シーズンの終わりまでは地上移動でやっていたけど、この秋のシーズンからは中国ツアー、カナリア諸島音楽祭、日本ツアーとどうしても飛行機に乗らないと到着出来ない演奏旅行が重なっている。ともかく暫く様子を見よう、ということで、12月まで病気療養、その間はムック氏に乗って貰うことになった。これだけの大物をお願いする以上、ちょっとだけというわけにもいかないだろーから、今年はヨーロッパの仕事も全部ムック氏がやってるそうな。ヘンシェルQ5人目のメンバーですね、実質上。

いやぁ、こういうこともあるんだなぁ。弦楽四重奏が遠くにツアーに行くときに、メンバーに際立って高齢な奏者がいる場合、遠距離ツアー用の常設代打が入るというケースは、それほど珍しくありません。グァルネリQの最後の頃は、ダヴィッド・ソイヤー翁はNYのみで他はピーター・ワイリーが弾いていて、そのままメンバー交代になった、なんて例もある。臨時のケースとしては、カザルスホールでコントラQが弾いたときに、コントラさんが高齢で飛行機に乗るのが無理だったので、なんと後にパイゾQの頭に座ることになる若きミッケルが北欧の名手の代打として来たこともあったっけ。

上海ではシューマンの弦楽四重奏曲だけはムック氏が頭に座ってたんですけど、いやぁ、長年聴き親しんだストイックなヘンシェルQとは随分と違って、流麗でゴージャスな音楽でありました。セカンドにまわった他の曲では、いつもどおりのクリストファーの「自在な楷書体」って音楽に戻ったんですけどねぇ。いずれにせよ、レパートリーはメンデルスゾーンからシュルホフに至るまで重なっているし、なんせ経験は滅茶苦茶豊富なわけですから、この数週間の間にもドンドン完成度は高くなってる筈で、楽しみですな。

てなわけで、弦楽四重奏会社の運営は難しいもんだ、って毎度ながらのお話でした。

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