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お勘定お願い! [たびの空]

夕方になると、もう圧倒的にいやったらしーノーブル感が岩山の上にまで立ちのぼって、こんな場所から逃げ出したくなるよなザルツブルク祝祭大劇場前から
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大聖堂に向け、旧市街を入っていった飯屋に座ってます。雑談です。

この飯屋、昨日も来ました。ともかく今日のメニュを頼んで、ビール込みでなんのかんの€20くらい、まあ堂々たる観光地値段だけど、これなら何も文句はないって判った。だから、今日も午前中の細かい原稿をいくつか入れて、いつも観光客が溢れるのに何故かろくでもないどどめ色のザルツアッハ川を渡って
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旧市街に昼飯喰いに来たわけです。

今日は、スープが昨日と同じだったんで、周囲の8割が注文してるシュニッツェルに小サラダ添え、それにビールとエスプレッソ。席も昨日と同じ、セロテープで無造作に貼り付けたザルツブルク音楽祭全日程表の隣で、ハンガリー系の小柄なお父さんが一生懸命調理している姿が丸見えの席。
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なんでこんなにちゃんと昼間に喰うかというと、夜は飯が食えないだろうから。昨夜の義務のように聴いたヴィーンフィルはともかく、今日は今回のツアーのハイライトのひとつ、我等が錦糸町の新たなスターたるメッツマッハー御大が天下のヴィーンフィルを指揮しベルント・アロイス・ツィンマーマンの「兵士たち」を出す。開演が8時半なんで、終わると深夜。宿のオッサンに、戻ってくるのは深夜過ぎになる、と言っておかないとなぁ。

若い頃のような一度日本を出ると出来るだけ長く戻ってこない旅は、もうしなくなってきている(ある時期から、宿代に比べて航空運賃が圧倒的に安くなってきているので、こまめに戻ってきた方がトータルの経費は低く抑えられる傾向にあります)。とはいえ、今回のような3週間を越えちゃうツアーの場合、当然ながら山のような日常の作文仕事を連れて歩くことになる。だから、連日の移動移動みたいになっちゃったらしょーがないけど、一カ所で3日くらいを越える滞在になると、出来るだけ平時の状態にしないといけない。

ヒルトンにせよシェラトンにせよ世界中どこに行っても同じだ、と文句を仰る方を屡々耳にしますが、ああいうビジネスマン向けの高級ホテルというのは、「働くエクゼのお父さんが、別の場所にいることによるストレスを出来るだけ感じずに暮らせるようにする」ことを目的に存在しているわけですね。だから、可能な限り世界のどこでも同じでなければならない。木星のイオでも、月のアームストロング・シティでも(おお、合掌!)、ヒルトンは基本的に同じじゃなきゃあ困る。

やくぺん先生にしても、お金持ちならばホントは全部ヒルトンとかシェラトンとか、はたまたクラウンプラザなんかにしたい。でも、哀しいかな、とっても貧乏です。だから、自分なりに可能な限り、「いつもと同じ」状況を作るように振る舞う。今はたびの空の日常のとき。

今回も、やくぺん先生がザルツにいると知るや、あそこの何が美味しいとか、あそこのこれは観ておけとか、いろいろ仰ってくれるお友達がおります。ホントに有り難いことなんだけど、あたしゃここで「光」の短い原稿を入れて、ハーゲンQのインタビュー原稿の補足取材をし原稿をある程度の形までは纏めないとならぬ。次の滞在地のベルリンではまだ場所も確定していないカンブルラン御大インタビューを早急に記事にせねばならない厳しい状況なので、このハーゲン原稿とか、某音楽雑誌のまるでツアーに無関係な原稿とか、これまたなんの関係もない某オケの曲解原稿とか、たびの空の日常の中に上手い具合に配置しながら、佃が引っ越してくるようなミュンヘンまで至らねばならぬ。

んで、ここザルツでも、時間を東京湾岸にいるときと同じようなペースに持ち込まねばならぬのですわ。起きて、メールに返事したりして(これをやると1日がおかしくなるからやるな、と仰るビジネス書もあるようだが、あたしゃ編集者様やらのメールを自分のペースで無視するほど偉かあなぃです、はい)、まずは頭のウォーミングアップで電子壁新聞をだあああっとやっつけ、作文仕事にかかる。で、昼過ぎになったんで、なんか喰う。夕方過ぎになると押っ取り刀でコンサートなり出掛ける。そんな日常に可能な限り近づけたい。
流石に作務衣で外に出るわけにいかぬので、ゆふいん音楽祭Tシャツに着替え、裸足にペタペタサンダル突っかけ外に出ると、ああああここは世界の観光地ザルツブルクじゃないか、とあらためて眼を細めることになる。

クナッパーツブッシュみたいな飯屋のお父さんは、昨日と同じように肉を薄く叩き、胡椒を振りかけ、次から次へとフライパンにほーり込んではジュウジュウと香ばしそうな良い揚げ音を立ててる。周囲には、フランス語や、何語か判らぬ東欧みたいな言葉、はたまた広東語らしきものも飛び交ってます。オバチャンはちょっと訛りの英語でみんなに対応し、う゛ぁすいすとたーげすずっぺ?なんて訊ねると、嬉しそうに現地語でまくし立ててくる。

天気の良い夏の観光地、全て世は事もなし。

エスプレッソをいただいたら、部屋に戻って「兵士たち」の勉強をせねば。ハーゲンのテープ起こしは明日にしよう。モーツァルテウムに行けば、彼らのポスターなんて貼ってあるかなぁ。ザルツで3年がかりで出しているベートーヴェン・チクルス、ザルツブルク音楽祭新聞に拠れば、もの凄く妙な選曲になってる。これってトッパンさんでやるのと同じなのかしら?

さぁて、そろそろ腰を上げ、宿の横のスーパーで夜食用のサンドイッチとレモネードのビール割り買って帰りましょ。つぁーれん・びってぇ!

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