SSブログ

J列車で行こう [マンハッタン無宿]

マンハッタン厄偏庵に到着しました。まあ、昼間は東京の冬くらい。年明けの厳冬期に比べれば、まだまだ全然暖かい。

さても、本日は冬の初めらしくかなり偏西風が強く、成田からアンカレッジ真上を通ってカナダを横断、シラキュースやらの真上位を突っ切りロングアイランドに至る真っ当な大圏コースは後ろから数十マイルの風が押してくれて、対地速度だけを見ているとマッハに迫る勢い。成田を離陸し我が土地(おおおお!)を眺めつつ、爺さん婆さんとーちゃんかーちゃんに道中の無事をお祈りしてから大西洋の荒波がそこまで押し寄せるJFKに至るまで実質の飛行時間はなんと12時間どんぴしゃり。JFKのいちばん東側の滑走路への大西洋側からアプローチの下は、今月初めのハリケーンで酷い被害が出たところ。この鉄橋をA列車が走ってます。
008.JPG
入国がそれなりに時間がかかる(単にひとりひとりに対する作業がノンビリしているだけで。対応はフレンドリーなんだけどさ)おかげで荷物はもう出てくるとグルグル回ってら。

んで、どうも我が同胞どころか同じ便でアジア極東地区から到着した奴は、誰も利用する気はないようなエアトレインに乗ります。なんだかこの空港敷地内鉄道、鳴り物入りで登場したけど、やっぱり電車に乗る習慣のない人たちには駄目なんかねぇ。寂しくなるような閑古鳥っぷり。夜は危険な乗り物になりそうだ。いちばん隅っこのアメリカン航空のターミナルで延々停車して、やっとターミナル区域外に出て、A列車のハワードビーチ駅まで行き、1週間パスが買えるキオスクが隅っこにしか置いてないというNY市交通局の悪辣な作戦に惑わされずにしっかり$29でパスを購入。さあ、これで今回の超短期滞在の期間中、バス地下鉄乗り放題だ、とホームにおりていくと、すぐにマンハッタン方面に向かうA列車がやってくる。

これは有り難い、ちゃんと走ってるじゃないの、と乗り込むのだが、おいおい、ちっとも発車しないよ。A列車という名ばかり有名なNYの地下鉄路線、マンハッタンを南にまっすぐおりて、イーストリバーを地下トンネルでくぐり、ブルックリンの地下を延々と東に向けて抜け、やっと地上に出たら直ぐに南に曲がり、JFKをかすめながら大西洋岸のビーチまでノンビリ向かう長っ走りの郊外列車。正直、空港アクセス線として機能するようになってはいるが、まあ、利用するのはジェットブルーなどJFKベースのLCCの職員(パイロットさんなんかもです)と空港で働く黒くてでっかくてつおそーなおにーちゃんなんかばかり。あまり乗客は利用してませんね。NYの地下鉄はまるでバリアフリーじゃないから、デカイ荷物があるとしんどいというのもあるけど、それだけじゃあないんだろうなぁ。

やくぺん先生は、基本的にエアトレインが出来てからは、JKFに到着したらハワードビーチ駅からA列車で延々と1時間くらいゆられてコロンバス・サークルまで来て、赤い1に乗り換える。なんせ乗り換え1回で済むし、コロンバス・サークルの乗り換えが意外にもホームの付き方が楽なんで、そんなに無理はない。本日もそのつもりで、iPodから小さい文字の「テンペスト」など読みながらだらしなく来るつもりだった。

だけど、これが全然走らない。どうもこの先、まだ先日のハリケーン被害から完全に路線が復旧していない箇所があるようで、さっき上空から眺めた辺り、海に向けては代行バスが出ている。で、実質、ハワードビーチ駅が始発になってます。まあ、それはそれで結構。やっと動き出したら、もう午前11時。タッチダウンしてから既に1時間半が経過しておりました。

動き出しても、まあ停まること停まること。海に向けた支線から本線に入るまでの2駅だかで、15分くらいかかってる。この調子じゃあマンハッタンまで2時間かかるぞ、と思ってたら、地下に潜って最初の急行が停まる駅、ユークリッド・アヴェニューだかいうところで、ぱったり動かなくなってしまう。暫くすると、「電源の供給システムがおかしくなって、マンハッタン方面行きの列車は全部運行中止になりました」などとアナウンスがある。車内にはおおおおおという怒号が巻き起こるも、ともかく先に行かぬというのだからしょうがない、みんな地上に出ます。まあ、バスはあるだろうし、なんとかなるだろう、と思うしかない。

地下鉄の駅というのは、どんなに頻繁に利用する線でもホントに自分の用事のある場所でないとまず下車することはない。当然、地上がどんなところなのか、何年利用しようが知らなかったりする。このユークリッドといのも同様で、こんな駅、初めて地上に出たぞ。こんなとこ。みんなバスを待ったりしてる。
012.JPG
いかにも北米大都市郊外らしく、何とも殺風景な場所ですな。

どうも、半マイルくらい北に歩くと、別の地下鉄路線があるらしい。
nyc-subway-map.jpg
で、そっちに向かって歩く人を追いかけて、ぞろぞろとブルックリンの田舎を歩くです。いやぁ、なかなかNYらしいところですなぁ。一昔前のマンハッタンの北の端っこみたいな怖そうな感じはなく、ただ、貧乏そうなだけ。荒川放水路の直ぐ横とか、ロンドンのこの前のオリンピックやった辺りとかみたいな場所ですね。
015.JPG
10分も歩くと、頭上に古い高架線が見えてくる。おお、これが地下鉄J線、マンハッタンからブルックリンを抜けてジャマイカに向かう線です。スカイトレインのもうひとつの接続駅で、E線なんかと同じ駅に入ってる線ですね。殆ど乗ったことないなぁ。
021.JPG
駅は小綺麗にしようとしているし、車両も新型を投入していて、車内デジタル表示などあり、マンハッタンの古いナンバー線に比べるとそれなりに頑張ってるのだが、やはり基本の路線インフラの古さはどーしよーもない。このJ列車、地下鉄と言いながら全然地下に入らず、ブルックリンはずっと高架線で、それどころかそのままマンハッタンに向けウィリアムズバーグ橋を渡って入っていく。ハリウッド版マグロ喰ってるCGゴジラが殺されたマンハッタン橋のひとつ上流。
026.JPG
先々週の大ストームで地下トンネルが軒並みやられたときもこの線は大丈夫だった、ってことかな。いやぁ、それにしても、空港からマンハッタンに鉄道橋で入っていくなんて、まるっきり初めての経験でありました。生きてるといろんなことがあるなぁ。ここでもう正午になってしまった。JFKからマンハッタンに至るまで、正味2時間半!なんなんねん…

マンハッタンに入るや地下に潜り、見慣れたような駅名になるので、まあこんなところだろいうというカナル・ストリート駅でクィーンズに向かう急行のQ列車に乗り換える。これ、このところ話題のベビーカーin NYC。みんなでっかいから、そんなにでかく感じないですね。
030.JPG
42丁目とタイムズスクエア駅で赤い3の急行に乗り換え、一駅で、懐かしい我が72丁目の駅です。地上に上がると、目の前のトスカニーニマンション前のヴェルディ広場に、もう救世軍が出てました。
032.JPG
世界一のスーパーの前には、「七面鳥のオーダーはこちら」などという看板が。そう、J.E.ガーディナーと革命時代管&モンテヴェルディ合唱団の第九&ミサソレ、それに続く弦楽四重奏マラソンで猛烈に濃厚なベートーヴェンの週末が終わると、サンクスギビングのお休みがやってくる。

マンハッタン厄偏庵で「やあ、やくぺん先生」と迎えられる頃には、もう1時も近い。結局、空港で入国が終わり荷物を拾ってからここまで、実質2時間以上。かかった費用は、エアトレインが5ドルと1週間パス29ドル。ちなみに、タクシーだとフラットレートで50ドルなんじゃないかな、今は。

やっぱり、こりゃ、誰もA列車ではマンハッタンに来ないわね。

nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 1

上野のおぢさん

先生、毎度です。NYCの地下鉄レポートすばらしいです。私はNYには行ったことがないので、NYの隅っこの様子もわかり参考になります。
大都市NYの地下鉄でも電源供給が故障することもあるのですね。駅が停電しなかっただけでもよかったですね。おそらく電車と駅では電気の供給が別になっているのはどこでも同じのでしょう。平壌やモスクワの地下鉄もたまに停電するわけですから、日本の地下鉄もいずれ老朽化がすすんできたら結構故障するかもしれません。お気をつけていい旅をなさってください。
飛行機や地下鉄の車両の外観も宜しくお願いします。
by 上野のおぢさん (2012-11-19 09:43) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0