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ソリストたちがクァルテット [弦楽四重奏]

先程、いずみホールでイザベラ・ファウスト女史の「これがソリストがやるデュオ」って風格たっぷりの、考え抜かれ、全ての音符に意味があり、やってることを奏者たちが完璧にコントロールしているブラームス全曲を聴いて戻ってきたです。梅田のいつもの老舗なだけの宿。いやぁ、なんせ大阪からレッジョまで意欲が音になるプロセスが顕わに過ぎる若い連中ばかり聴き、その後の溜池では御大の即興満載一人舞台に付き合いまくった後なので、久しぶりに「誰からも文句言われない商売になるメイジャーな演奏」を聴かしていただいたなぁ、って感じでありますね。その前に室内楽振興財団でレッジョ報告会&大阪反省会をやったので、ヘトヘトであります。ふうう…

さても、ファウスト様の演奏って、考えてみたら今懐かしアバド御大指揮なさるボローニャのモーツァルト管で聴いて以来なような。まだモーツァルト管が録音を始める直前で、これからインだぞ、って神楽坂某音楽雑誌で取り上げたのだけどタイミングが早過ぎ、あまり話題にもならなかったなぁ。あのときも、ファウスト様はモーツァルトのなんか独奏した後にトゥッティに入って(戻って、だったかも)弾いたような。なるほど、この世代の独奏者って、そういうことするんよねぇ、と思ったものでありました。

ファウスト様のデュオ、まだ横浜があるみたいなんで、お暇な方は聴かれる価値はあります。もう楽譜手に聴いたら、各小節毎に細かいコメントが出来そうな演奏で、でも考えすぎ感はない。いずみホールで聴く限り、ピアノとのバランスもお手本を聴いてるみたい。これくらい出来ないと、デュオのリサイタルはやっちゃダメです、って言いたくなるような再現でありますから。ぶっちゃけ、FAEソナタは前座。1番でだいたいやることは判る。で、2番は歌そのものよりも線による音色の違いに焦点が当てられて、3番はいかにもソリストっぽくちゃんと最後は盛り上げてくれます。メイジャーなところできっちりお金取れるデュオだなぁ、ホントに。

ま、それはそれ。で、いずみホールのすっかり指定席になった後ろの方の上手側でボンヤリ聴きながら、すっかり忘れてたネタをひとつ思い出しました。ミュンヘンのポスター塔で眺めて、おおおおおおさああああどーしよーか、と悩んでしまった演奏会。これ。
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7月1日に、ミュンヘンARDコンクールの室内楽系科目本選、独奏弦楽器科目のセミファイナル会場、ヘンシェルQなんかが演奏会をやったりする場所として知られる劇場で、天下の人気ソリスト、ユリア・フィッシャー様が弦楽四重奏をやるですよ。メンツもスゴイでしょ。得にセカンド!

このポスターを中央駅前で眺めて、腰抜かしかけました。へえ、こんなことやってるんだぁ、って。残念ながらこの日はやくぺん先生はベルリンでコミーシュオパーの《兵士たち》を見物することになってて、ミュンヘンに来るのは無理。で、こんなアンサンブル作って1回の公演で終えるわけはない、他でもあるだろうとフィッシャー様のウェブサイトを探したら、この弦楽四重奏団、そこそこやってはいるけどやはり散発的で、この時期も6月最後の日曜日にニュルンベルクの近くであるだけ。うううん、その日は次の渡欧の隠れた目玉、フランクフルト歌劇場の《村のロミオとジュリエット》という生涯絶対に舞台では眺められないだろうと信じてたトンでもないものがある日なんで、やっぱり行けない。間の月曜日にニュルンベルクとミュンヘンの間のどっか、ウルムとかレーゲンスブルクでやってくれないかいな、と思ったけど、ダメみたいです。残念。

とにもかくにも、このフィッシャーQ、恐らくはマネージャーさんが日本の神田川の畔とか、外堀埋めた大学運動場の上とか、はたまた銀座四丁目交差点裏とか、いかにもフィッシャーに興味を持ちそうな主催者に売り込んでいるでありましょうから、ことによるとそのうち、日本にも顔を見せることになるかもねぇ。

昨今、弦楽四重奏団を売るのが難しくなってきてるヨーロッパの音楽事務所は、かつては面倒なので手も出さなかった「有名ソリストの名前でデカイ主催者や音楽祭に売れそうな半常設クァルテット」を随分と手掛けるようになってきている。ミケランジェロQ、ツェトマイアーQ、はたまたアントンQを筆頭に、秋にはやっとテツラフQも日本にお目見えすることになってますね。一昔前のディープな日本の室内楽ファンの間では、「こんな寄せ集めクァルテット、ホントのクァルテットじゃない」という空気が流れたものだが、どうなんでしょうねぇ、そうも言っていられないのかしらね。イザベラ・ファウスト女史も、なんかそのうちやりそうな気がするなぁ。

こういう団体に先鞭を付けたのが我らが萩本氏の「カザルスホール・クァルテット」だったわけだが…これって一種のヨーロッパの逆輸入だとしたら、やっぱり萩さんは先見の明があった、ということなんでしょーか。←褒め過ぎっ!


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