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あがりの場としてのジュリアードQ [弦楽四重奏]

一昨日、大分での初日を終えたクスQと居酒屋でセキアジやらブンゴギューを(そういうもんはあたしゃ喰わずに、しっかり働いた演奏家さんの前に直行していただきます)酒喰らってた席で、「そういえば、ジュリアードのチェロって決まったの」という話になりました。流石に拠点は大西洋の彼方とはいえ、先生をしているオリー君はご存知で、「もう公式に発表になってるよ、たしか、アジア系だったんじゃないかなぁ…」なんて言ってる。

ま、話はそれでオシマイで、だからどうだということはなかったんだけど、やくぺん先生がオフィス引っ越し騒動で世間のことを知らずに過ごしていた間にも世の中は動いているのだなぁ、とあらためてこの数週間の島流し状態を再確認することになった次第。いやはや。ま、もう「最新情報」を追いかける気力もないし、その意味があるとも思えない歳になってきた、というだけのことなんだけどさ。

んでもて、酒が抜けた朝、取材先に移動する日豊本線から平成筑豊鉄道車内であれこれ調べてみると、梅雨に濡れる深い九州の緑を背景に、こんな情報が挙がってました。
http://www.npr.org/sections/deceptivecadence/2015/05/18/406687266/after-42-years-juilliard-string-quartet-cellist-to-step-down
へええ、なんとなんと、ラークQのチェロだった方が抜擢されたようでありますな。こちらが公式ホームページ。
http://www.astridschween.com/
なんせこの人、我が家では「おじーちゃん」と呼ばれるかのボザール・トリオのグリーンハウス爺さんのお弟子さんで、ケープコッドの「緑荘」にもよく遊びに来ていた方。なんか、親近感が沸くぞ。

うちのお嫁さんの情報に拠りますと、「割と最近、5月中かしら、ラークQから案内が来て、うちのチェリストがジュリアードに引っ越すことになりました、って」とのこと。なる程、それくらいのタイミングで世間に情報が流れたわけね。って、つまり今シーズンまでラークQやってたってことかいな。なんか、さっきから「へええええ」大連発だなぁ。あ、バイオによると、マットの後にマサチューセッツ州立大学の先生やってたんだぁ。へえええええええ。

ま、それはそれとして、なんせ天下のジュリアードQ初の女性メンバー、時代もかわったもんです(うううん、みわこさん…)。それに、アメリカ合衆国のメディアでは「差別」になるからおおっぴらには触れられないでしょうけど、初めてのアフリカン・アメリカン系の奏者だもんねぇ。

とはいうものの、「ジュリアードQ」という団体そのものが、ロバート・マン、クラウス・アダム以下の黄金期のような、普通の意味でのインタナショナルなツアーリング・アーティストとしての活動を今も続けているのか、ちょっと性格が変わってしまってるような気もするのが率直なところ。というか、そもそも「インターナショナルなツァーリング・アーティストとしての著名弦楽四重奏団」という存在そのものが過去の、というべきか、時代遅れな、というべきか、21世紀初頭の室内楽業界や趣味とは合わないものになってきているような気がしないでもないです。「国際的に有名なクァルテット」は、もう今や存在しないし、する必要もない。クァルテットはローカルな存在でいいのではないか、ってこと。

無論、過去20年にジャンルとしての技術水準の圧倒的な嵩上げが成され、その意味では最も平均的な水準が高まった分野ではある、という前提があるわけでして。

もとい。そういう目で見ると、「ジュリアード音楽院で学生を教えるための先生たち」として、クァルテットを充分に経験してきた人材を充てるという意味では、適切なところだったのでありましょう(それなら某カリフォルニアにいるもうひとりのグリーン…氏でも善かったんではないかい、と思わぬでもないが)。なんせジョセフ・リン君は言うまでも無くフォルモサQでロンドン国際室内楽コンクール優勝者、出戻りクァルテット奏者のロジャー・タッピング先生はタカーチュQ辞めてNECで偉くなったけどやっぱりクァルテットに戻った。そういう人達を、リンカーン、じゃなくて、コープス氏がいつの間にかしっかり裏で支える、って感じだもんね。

蛇足ながら、新生ジュリアードQの下で来シーズンから学生レジデンシィ、要は先生の助手やら先生がツアーなんぞでいないときの学生指導をするお仕事を担当するのは、かのヴェローナQであります。順調に出世コース(そんなもんがまだあれば、だけど)を歩いているぞ、オング君!

これだけ円安が進むとアメリカ系の団体はなかなか日本公演は難しいでしょう。最初に新ジュリアードQを聴くのは、ことによると北京とかソウル、上海になるのかなぁ。そういえば、コープス氏も初めて聴いたのは香港だったわけだし。

ところで、ラークQって、結局、日本に来たことあったんだっけか。

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