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ソウル・フィル?ソウル市立響? [音楽業界]

昨晩、今期NJPで最大の聞き物のひとつ、我らがシュタンツ御大のヘンツェなんぞのプログラムが披露され、ヘンツェよりもなによりも、最後の《英雄》のヴィオラ真ん中に置いてチェロ及びコントラバス含め弦楽器全部左右対称配置、というとんでもないステージに聴衆みんなビックリ仰天。終演後も喧々囂々、溜池近辺は不必要なまでの盛り上がりに包まれておりましたです。

ま、それはそれで、なかなか微笑ましい良い話ではあるわけですが、問題はそこではないっ!昨日の当日プログラムに記されたシュタンツ御大のプロフィルにあった記述でありまする。それに拠れば、「2017年ソウル市立交響楽団Conductor in Residenceに就任。」とある。

そう、皆さんよくご存知のように、ソウルは世宗文化会館に事務局本拠地を定めるあの楽団、チョンさん追い出し騒動の後、すったもんだの挙げ句、首席客演指揮者ティエリー・フィッシャー、レジデント指揮者シュタンツ、という二頭体制が出来上がり、音楽監督はまあいずれそのうち、って感じのことになっている。こちら、公式ページ。
https://www.youtube.com/watch?v=kR7ipP6JrX8

なんで「あの楽団」なんて隔靴掻痒な言い方をしているかといえば、それこそが今、問題にしたいことだからでありまする。

この団体、今や先々代の元大統領となった元李ソウル市長の肝煎りで、ソウル市立管弦楽団を徹底改組し、チョンさんを指揮者に迎え、バスチーユ時代からチョン氏の腹心というか、仕事仲間だったプロデューサーの仕掛けでDGとインターナショナル契約し、0年代後半から10年代初めにかけては実質上インターナショナル・レーベルできっちりCDが定期的に出る唯一のアジア圏のオーケストラとなったことは、皆様ご存知お通りでありましょう。そんな仕掛けが始まった頃は、こんな感じだったわけですな。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2005-09-06

チョンさん時代のこの楽団、基本的には日本語表記では「ソウル・フィル」ということになってました。韓国語では「ソウル市立管弦楽団」だかのままだったのだけど、少なくとも英語の公式名称はそうなっていて、世界的にもそれで通っていた。当時から名称を巡ってはいろいろ面倒なことになっていて、当電子壁新聞でも何度か話題にしてきました。これとか。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2015-12-30
様々な歴史の経緯を踏まえて乱暴に言ってしまえば、「チョン監督時代のパリ・オペラ座のオーケストラの団員が自主的にDGと契約して演奏会用オーケストラを組織し、「バスチーユ管」と名告って録音活動をしていた」というのと同様に、「チョン監督時代のソウル市立交響楽団の団員がまるごとDGと契約し、「ソウル・フィル」と名告って活動し、事務局も外国向けにはその名前に乗ってしまった」という状況だった。わあああ、すげえええ乱暴だが、ま、それなりに正確な認識なんじゃないかな。

なんせ、ソウルには昔から「ソウル・フィル」という名前のオケがあって、オペラのピットに入ったりしてたわけで、考えてみれば乱暴なことをやってたなぁ、と思わざるを得ないが、ま、それはそれ。

んで、時移り、なんのかんのなんのかんの、訳が判らないことがいろいろあり、今はチョンさんは「ソウル・フィル」は振れないし、「ソウル・フィル」の事務局はメンバーがチョンさんが今韓国でやってるフェスティバルオケなんぞへの参加するのを厳禁しているという話も漏れ聞きます。この辺り、どーなってるんですかね。「ワン・コリア管」には「ソウル・フィル」のメンバーは参加していないのでしょうかねぇ。この正月明けにやってたこれとか…
037.JPG
あ、これはユース管だから問題ないのか。

もとい。韓国の音楽業界の面倒な話はさておき、我が日本語文化圏の話です。このシュタンツ氏のプロフィルを眺めた瞬間、「あ、ソウル・フィル、という表記は使わなくなったのかぁ」と思いました。それはそれで、筋の通った話。「ソウル・フィル」というのはチョンさんプロジェクトの名前で、オケはそもそも「ソウル市立響」だったのである、ということでんな。

んで、「…ということなの?」とNJPのスタッフに尋ねたらぁ…フィッシャー&シュタンツ時代になったこのオケが、「ソウル市立響」と再び公式に名告るようになった、というわけでもないらしい。どうしてこういうことになったか、ちょっと調べてみます、とのことでありました。

ま、それだけといえばそれだけなんだが、やっぱり日本語文化圏の音楽ファンの皆様に、「シュタンツ御大が今、ソウルで振ってるオケは、あのソウル・フィルですよ、チョンさんの後任ですよ」という事実は、是非ともきちんと知っていただきたいのでありまするよ。それだけのことなんだけどさ。ちなみにシュタンツ様、「ソウル市立響」での次の演奏会は、こんなに美味しいもん。
http://www.seoulphil.or.kr/en/perform/concert/detail.do
《ゲジヒネテン》は、シュタンツ様でケルンでお聴かせいただいたっけなぁ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2013-05-02

以上、平昌冬季オリンピック開幕記念、半島ネタでありました。開会式、オケ、出て来るとしたらどこなんでしょうねぇ。ワン・コリア管なのかなぁ。ってか、オケが出て来るか判りゃせんけど。

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