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アルディッティQ最強メンバー逝去 [演奏家]

ストラッド誌のwebサイトに、このようなニュースがアップされています。
https://www.thestrad.com/news/levine-andrade-has-died/8381.article
正直、ストラッドがこれだけ大きく(とはいえ、殆ど記事の内容はありませんが)報じてくれるのがどうしてなのか、いまひとつ判らないけれど、この情報がなければ知らないままでありましたでしょうから、有り難いことであります。お嫁ちゃまから教えて貰ったとき、え、まだそんな歳じゃなかろうに、と思わず叫んでしまいました。だってさ、今でもロンドンのオケを眺める度に、頭に座ってないかな、と気にしていた人ですから。

この記事には「アルディッティQの創設メンバー」という風に紹介されているように、今の「アーヴィン社長と若い仲間達」というフォーメーションになる前、それこそクルタークやらリゲティやらノーノやらがバリバリで、リームは「新ロマン主義の旗手」として出始め、ヴィドマンなんぞ影も形もない頃、アルディッティQがまだ若く滅茶苦茶元気良かった(今も元気良くないわけじゃないけどさ)初期最強フォーメーションを支えた方でありまする。わしら極東の僻地の人間らにすれば、「現代音楽の深海から浮上する」(初来日、かな、二度目、かな?)というキャッチコピーで帝都の「ゲンダイオンガク」愛好家を越えた多くの人々に衝撃を与えた「ウルトラ超絶技巧団体」としてのアルディッティQ、アーヴィン、レヴィン、ガース(初回はガースじゃなかったけど)、それにロハン、という不滅の、伝説のフォーメーション。そうねぇ、ロバート・マン、コーエン、ヒリアー、それにクラウス・アダムという伝説のジュリアードQに匹敵するメンバーのアルディッティ黄金時代の名前でありますな。

なによりインパクトがあったのが、オーストラリア人ジェニングスくんに交代する理由が、「家で子育てをするため」だったこと。ニッポン国バブルが今の中国みたいな最後の盛りを迎えんとしていた1990年代初めに、そんなことを理由にアルディッティ辞めるのかぁ、と吃驚させられたものでした。その後、ロンドン響だかのセカンド頭に座った(思えばアーヴィンもロンドン響コンマス時代があったわけだが)とか、コヴェントガーデンのピットにいたとか、噂みたいなものは耳にしたんだけど…

この人、ロハンと同じくインド方面からの出身者なんですけど、もの凄い知識人で、お嫁ちゃんがさっき学校に出て行く前に洩らしたお悔やみの言葉ってのが、「エウリピデスの古代ギリシャ語原文の『メデア』を巡って楽屋で議論になって、いかに自分に英語の語彙が足りないかを痛感させられた」とのこと。個人的にはもの凄く音程というか、音程の記憶力の良く、一度喋られた日本語を完璧な日本語アクセント、音程で記憶し真似ることが出来た人、って記憶が残ってるなぁ。ゲンダイオンガク専門家ってのはそういうもんなのかぁ、ってね。

先頃の東京Q創設メンバーの訃報といい、そろそろそういう世代が向こうの世界に呼ばれるようになってきてる。ま、やくぺん先生もこの商売、潮時、ってことなんでしょうなぁ。

あのアルディッティQ唯一のベートーヴェン録音たる《大フーガ》、オフィスからもってっちゃった奴、返してくださああい!せめて、あたくしめに代わって、アンドレイド氏追悼で聴いてくださいませ。

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