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BEETHOVEN2020シーズン開幕 [弦楽四重奏]

ババリアの旧王都での恒例のコンクールも今年はなんとチェロ部門で我らが同胞の若者がまたまた優勝!勝った勝ったまた勝った、って花電車繰り出しみたいな(なんだかなぁ、という気分がしないでもない)目出度さの際みに終わり
https://www.br.de/ard-music-competition/participants-and-results/index.html
いよいよ2019-20シーズンが本格的に始まりましたぁ。

このシーズン、なんといっても世界の関心は「ベートーヴェン生誕250年」でありましょー。半世紀ぶりのお祭りで、既にレコード業界なんぞもいろいろ動き出しているようで
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2019-08-01
コンサートステージでも楽聖がじゃじゃじゃじゃーん、と鳴り始めてる。当電子壁新聞の関心の中心たる小編成器楽に限っても、昨日午後、21世紀初頭の水曜日に弦楽四重奏の聖地として帝都の室内楽愛好家を集めた晴海トリトンは第一生命ホールで、ベートーヴェン2020最初のチクルスが始まりました。

なんせこの「第一生命ホール」という名称のヴェニュ、かつてお堀端のGHQ時代にマッカーサーも礼拝に足を運んだ旧第一生命ホールの時代に、岩淵龍太郎率いるプロムジカQ(この団体の最後の頃には第2ヴァイオリンを努めていらした堀伝さん、今や斉藤記念財団の理事さんですからねぇ)が日本人団体としては史上初のベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏を敢行した場所。そのレガシーを継ぐべく晴海に移った際に「クァルテット・ウェンズデー」なる無茶なシリーズを立ち上げたわけでありまするから。

時移り、最盛期には意外に硬派でモダンな、でも「これが俺たちの室内楽だ」って「深淵なる弦楽四重奏の道を究める」音楽をやっていたプロムジカQの21世紀への継承者として(なのか?)現在の第一生命ホールさんが記念年の大役を任せたのが、ウェールズQなのであった。うううん、なにせプロムジカQって、そのあまりの求道性とストイックさからレコーディングを拒否、結果としてまともな録音を殆ど遺していないので、スタイルや趣味を比較するのはほぼ不可能なんだけど、敢えて言えば「周囲がなんと言おうが、俺たちはこういう音楽をやりたいんだ」という明快な方向性があることに関しては、プロムジカQの偉業を継承する団体に相応しいかもねぇ。悪く言えば、「小五月蠅いマニアや小賢しい評論家どもから批判されても結構、俺たちはこういうやり方でいくんだ」ってのがハッキリしている。その意味では、あっぱれと言えばあっぱれ。ベートーヴェンの楽譜からドライヴ感やパルス感を全部落っことし、縦の響きの綺麗さを徹底して追求したらどうなるのか、って実験ですな。

世界にこれしかベートーヴェンの再現がないんだったら大いに問題はあろうが、ありとあらゆる可能性が探求され、それはそれでええんでないかい、って21世紀。こういうのもありなんでしょう。

ちなみに、現時点でオープンになっているベートーヴェン2020の弦楽四重奏全曲チクルスを、シーズン全体にまたがるやり方と集中的にやるやり方を一緒にして列挙すると、以下。

★ウェールズQ(晴海第一生命ホール)
★アトリウムQ(サントリーホール)
★プラジャークQ(鶴見サルビアホール)
★ベルチャQ(札幌ふきのとうホール)

あれ、これしかなかったかな…ま、ひとつの言語文化圏でシーズンにベートーヴェン・チクルスが4つあるなど、特別な年ならではでありましょう。21世紀0年代と10年代の首都圏のクァルテットの両聖地、10年代に始まった溜池初夏の室内楽お庭の恒例のイベント、そして故岡山先生が北の大地に遺した新たな室内楽の中心地と、やるべきところはちゃんとやってるわけでんな。名古屋とか、ないのかしら。

ちなみに、来年5月に開催される大阪国際室内楽コンクールの弦楽四重奏部門では、現時点では参加団体がどういう選曲をしてくるか判らぬも、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲が課題曲に挙げられています。一次予選からファイナルまで全部聴けば、半分以上の作品は網羅することになるんじゃないかしら。

ベートーヴェン室内楽のもうひとつの柱たるピアノ三重奏に関しましては、少なくとも首都圏ではふたつの全曲演奏会が予定されております。そもそもどこまで弾けば「全曲」なのか、案外と面倒なところもあるジャンルなんだけど、そのあたりを含め、まだ発表するわけにいかない某団体の全曲演奏会がアナウンスされたら、またご紹介いたしましょうぞ。

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