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秘曲たち [現代音楽]

相変わらず写真絵面なしの今どきの媒体にはあり得ない殺風景な紙面が続いておりますが、今週末にかけて新メインマシンの導入が予定され、またフォトショップなど搭載される予定ですので、それまで昔の「ストラッド」マガジンみたいなストイックな文字だらけの紙面をお楽しみあれ。

さても、世の中には「秘曲」と呼ばれる作品があります。要は、それなりに存在は知られているけど、実際の演奏に接する機会が殆どない音楽作品、ということ。前世紀80年代終わり頃からレコードではROCOCOとかマイナーやらインディズ系レーベルでそんなもんばっかり取り上げてくれるところが出てきて、CD時代に入ってもMarcopoloなんぞ妙なもんばっかり出してくるところが出現。ネット時代に入るや、どんなジャンルであれYouTubeの上にはもうありとあらゆる曲が耳に出来るようになった……とはいえ、やっぱりライブとなると話は別。

なぜ「秘曲」が生まれてくるのか、その理由を考えていくとそれはそれでとても興味深いネタなんだけど、それはそれ。とにもかくにも、この週末、一世紀前までは秋ともなれば一面のススキの原の中に狸が跋扈していた武蔵野隅っこは渋谷の谷で、こんな演奏会があります。
https://spice.eplus.jp/articles/253989

お判りになる方は「はあ、あの団体ね」ってお判りでしょう。この類いのものを一生懸命取り上げてくださっている団体がやっている「20世紀半ばくらいの前衛の裏に隠れていた日本音楽史を再発見する」ってちょっと流行のシリーズのひとつでありますな。正直、いわゆるメイジャーなプロの団体にはいろんな意味で手がつけにくいこういう作品、どうしてこうなってるかはともかく、うまい具合に棲み分けが出来ているとも言えるジャンルです。

やくぺん先生的には、やっぱり第4部の弦楽四重奏大会が最大の興味。なんせ、こういうラインアップですから。ほれ。

貴志康一 まつり(1926)
芥川也寸志 NHKラジオ「日曜随想」のテーマ(弦楽四重奏)
冬木透 モロボシ・ダンの光と影(弦楽四重奏)
蒔田尚昊 主題のない変奏曲(ヴァイオリン2重奏)
林光 裸の島の主題によるパラフレーズ(1987/無伴奏チェロ)
上野耕路  樋口尚文監督映画「葬式の名人」より3つのシーン(ヴァイオリン、チェロ、ピアノ)
黛敏郎 弦楽四重奏のためのプレリュード(1961)
小山清茂 江戸子守唄変奏(1987)
深井史郎 3つの特徴ある楽章のうちの一つ(1934)
團伊玖磨 小学 四、五、六年の音楽(1946)
芥川也寸志 弦楽四重奏曲(1947)

黛敏郎の超有名曲なんかも入ってますが、へえええええ、って感じですねぇ。こういう演奏会の楽しみは、もしも「へえ、なかなか良いじゃん」という曲だったらだったで、「じゃあ、どうしてこれが秘曲になってなの?」という次の疑問が出てくること。かの有名な山田耕筰の弦楽四重奏のように、やっぱりこれは隠しておいてあげた方が良かったんじゃないかぁ、ってのもあるでしょうしね(マーラーのピアノ四重奏みたいに、演奏されるたびに若きマーラーが可哀想にしか思えない、って悲惨な曲もあるわけですし)。

とにもかくにも、お暇でもお暇じゃなくても、この土曜日夕方は渋谷へ参りましょうぞっ。良かろうが悪かろうが、ともかく耳馴染みな音楽であることだけは確かでしょうから。

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