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シモン・ゴールドベルク没後30年 [シモン・ゴールドベルク・メモリアル]

今をときめく大スターのヴィドマン見物に古都金沢まで行くのならばと、シンカンセンで二駅冨山まで戻り、いろいろ懐かしいANAクラウンプラザを向こうに眺めるビジネスホテルで一泊、明けて春の朝ぼらけ、立山連峰も春の霞みの中にボンヤリまだまだ白い勇姿を浮かべるのを横目に眺めつつ、冨山県立近代美術館(と言うのかしら)まで詣でて参りました。ここまで来てるんだから、まさかシモン・ゴールドベルク翁にご挨拶していかないわけにもいかん、ということでありまする。

言うまでもなく、巨匠のお墓が冨山にあるわけではなく、イェール大学の裏と新帝都は護国寺の一隅。終焉の地となった立山を望む富山の地には、美術館内に滝口修造コレクションと共に寄贈された遺品なりが展示される小さな「シモン・ゴールドベルク・メモリアルコレクション」があるだけです。とはいえ、故人の業績を偲び、経歴を辿り、そのときなりに関わりのある20世紀の歴史の中での翁の生き様が、数ヶ月に一度の展示品変更で常時アップデートされながら辿れるわけですから、21世紀もそろそろ四半世紀が過ぎようという今、翁を知る者知らぬ者、誰にとっても最も容易に想い出に耽ることが出来る場所であることは確かでありましょうぞ。

なにしろ、この美術館の1階ミュージアム・グッヅ売り場には、しっかりと翁の講義録と、あの駅を挟んで反対側のお寺の向こう、ANAホテル裏の会場で収録された翁と山根夫人による生涯最期のリサイタルのときに録音されたディスクが売られている。
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今現在、常時翁の録音が平積みで並んでいる場所って、世界でここだけじゃないかしら。

上層階の小さな展示室、今、出ているのはこういうもの。
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昨年のヒンデミット記念年を受けて、ということなのでしょう。ヒンデミットから翁に送られた漫画付きの葉書とか、翁の書き込みのあるヒンデミット作品のスコアとか、数点が特別展示ということで並べられています。意外にも、館内を逍遙する方々もスピーカーから微かに流れるブラームス《雨の歌》の調べに惹かれ、ヒンデミットやらゴールドベルク翁を知ろうが知るまいが、入ってきてぐるりとしていって下さるようで、なにやら大いに安心しました。

そうかぁ、あの初夏の冨山での演奏会から、今年で30年になるんですねぇ。終演後、まだ胃があった嫁はまだ当時は走っていた夜行に乗って東京に戻り(それとも、どっかまで北陸本線で行って上越新幹線に乗り換えたのかな、演奏会そのものはよく覚えているのだが、マチネだったかすら記憶にないぞ)、あたしゃ大糸線で松本まで行き、シュタルケル様にインタビューし、なんかガッツリ怒られたという記憶は鮮明にあるなぁ。

もう30年、まだ30年…多分、館山の姿は全然変わってないんでしょう。
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翁が愛した館山連峰にも、もう春が来る。

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