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誰がプログラムを決めるのか [弦楽四重奏]

昨日、福岡県は筑豊地方、かつては大いに賑わった炭鉱産業の中心地直方で、この地に深く根付いた文化の灯を今に伝える「かんまーむじーくのおがた」の定期演奏会が開かれました。
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https://kammermusiknoogata122031.amebaownd.com/
出演はクァルテット・エクセルシオで、この時期に東京は上野と札幌はキタラ小ホールで開催される定期演奏会に合わせたツアーの一環とも呼べる、毎年恒例の演奏会でありまする。こういう団体が急行が停まる位の規模の人口数万の町毎に存在していれば、なんとか室内楽奏者もプロとして喰っていけるんだけど…という嘆きがまた聞こえてきそうな話は横に置いておいて、どんな団体か知りたい方は、上のURLをご覧あれ。

地方の室内楽、まして土曜日夕方の公演だからといって、今時の公共主催者が盛んに開催したがる「初めての人も聴いて楽しい、みんなに判る楽しいコンサート」ではありません。その真逆、昨今の古楽だHIPだ版はなんだ、なんてマニアックな客層がターゲットでもありません。あくまでも真っ当な普通の室内楽演奏会が、そういうことが出来そうな空間を会場に、普通に行われている。それだけです。

当たり前のことを続けるのがいかに大変か、それはまたまた別の話で、敢えて言えばやくぺん先生世を忍ぶ外の人が平井先生と共著した『クラシックコンサートをつくる・つづける』にこの団体の記述があるからそっちを読んでくれ、と無責任な放り投げでオシマイ。

んで、話をしたいのは、昨日の演目でありました。こんなん。

★ベートーヴェン《セリオーソ》
★ヤナーチェク《内緒の手紙》
休憩
★モーツァルK.464
アンコール:弦楽四重奏のための《鳥の歌》

へええ、と思うでしょ。なかなかない曲順ですよねぇ。この意図などは、この室内楽協会を主催する渡辺伸治氏が、こんな説明をしています。何を隠そう、この稿はこの渡辺さん発言をご紹介したくて書いてるんだけどさ。
https://kammermusiknoogata122031.amebaownd.com/posts/44170423

なるほどねぇ、と思われた方は、是非とも遙々筑豊は直方まで足を運ばれても良いんじゃないかしら。

この渡辺さん原稿にも記されているように、エクが当初出した曲順はまるで違うものでした。渡辺さんからの要求を、エク側も受理するにはちょっと躊躇いがあったとのことです。ですが、結果からすれば、これが意外にも、というか、渡辺さんしてやったりなのか、誠に上手くいった。へええ、こんなやり方、あるんだなぁ、って。こういうことになるんなら、例えばハイドンの作品76の6なんかも、演奏会の最後に持ってきてやってみてもいいんじゃないかしら、なぁんて思ったりして。

弦楽四重奏の演奏会を演奏する連中ではない外部の者が積極的な意図を持って作ろうとすると、往々にして上手くいかないものです。無論、プロの団体なら、それなりの格好を付けてくれるでありましょうが、それはあくまでもプロとしてのお仕事だから。きちんと演奏会としてまとめては来るでしょうが、はいいっちょ挙がり、であることは否めません。

昨日のように、プロデューサー主導のプログラミングが成功するのは、極めて稀な例です。やくぺん先生としても、へえええこういうことがあるんだなぁ、とビックリするばかりでありましたとさ。

直方、訪れる価値あり。

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