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アルデオQが久石譲 [現代音楽]

やくぺん先生が世界中のメイジャー弦楽四重奏国際コンクールをほぼ全て眺めて歩いていた現役時代、当然ながら無数の若い弦楽四重奏団が活動を始めようとする瞬間に立ち会っていたわけであります。そんな中には、なんでこんな個人的な相談事まで自腹切って付き合わなきゃならんのじゃと呆れてしまうような近しい関係になっている連中もいれば、ホントにコンクールのときしか聴いたことなくその後の活動っぷりが気になるけど遙か遠くから風の便りを聞くばかりって団体もある。コロナ禍のネットライヴ発達などで、遠く欧州やら北米大陸での演奏にライヴで接することも出来るようになったとはいえ、やはりオンラインはオンライン。近くに居ればもっと眺めていたいのになぁ、と心が残るあの顔この顔…

そんな団体のひとつに、アルデオQがあります。クスQやパシフィカQが出てきた頃に闘っていて、世代としてはヘンシェルやエクよりちょっと下くらいになるのかな。ディオティマなんかと同じステージで闘っていた感じはないなぁ。フランス拠点なんで、良くも悪くもその後に出現したエベーヌQやらと同じか、少し上になるのかしら。モディリアーニと一緒くらいかな。同じフランス女子チームとはいえ、ザイーデよりちょっと先か。

ま、なんにせよ、プロカルテットの活動が様々な形で結果を出し始め、地方音楽院も室内楽育成に本気になってきて、弦楽四重奏不毛の地だったフランスがあれよあれよという間に若くてちゃんと弾ける連中がひしめき合うウルトラ激戦区になってしまう真っ只中にいた連中です。

どういうわけか、「今年のアルデオQはこうなっております」というメニューみたいなリリースを毎シーズン送って下さっていて、日本時間の本日午後もメールが届き、刈り入れが済んだ田圃とまだまだ頭を下げる稲穂の原が入り交じる秋を眺め、ああまだ俺も現役扱いなんだなぁ、と感じ入ってしまったでありまする。

もう10数年も前にレッジョ・エミリアとかでちょっと喋ったくらい、ましてやその時のタンクタンクローみたいな元気の良いチェロねーちゃんはとっくにいなくなっているというのに、未だ律儀にリリースを送って下さっている。となれば、こんな影響力皆無の無責任私設電子壁新聞とはいえ、どこでどう関心ある方がいるかもわかりゃしないから、ご紹介しましょうぞ。なんといっても昨年だかに出した《ゴルドベルク変奏曲》の弦楽四重奏版が、今のこの団体の看板じゃないかしら。こちらをどうぞ。
https://arts-scene.be/en/asd-artistes-videos-Quatuor-Ardeo-1070
そうそう、この団体の今のヴィオラ奏者さん、ウェールズQがミュンヘンARDで3位になった後にバーゼルに留学してシュミット御大に習っていた頃、ヴィオラ奏者としてずっとやっていた原裕子さんです。日本にもラ・フォル・ジュルネで来たりしているから、ご存じの方も多い筈。

さて、今シーズンのアルデオQのレパートリー、送られて来たリリースからまんま貼り付けてみます。弦楽四重奏のみは以下で、テーマが付いていたりして。なお、他にもクィンテットや特別演奏会のプログラムも用意されています。こういうプログラムを交代しつつ、年に60回とかの演奏会を行うのが、「常設」団体なのでありまするよ。ほれ、こんなん。

Autour de l’Amour
Dvorak - Mendelssohn - Janacek

XIII Schöne welt wo bist du?
Purcell - Schubert - Crumb

Variations Goldberg - Bach / Meimoun

L’appel de l’Amérique
Adams - Hisaishi ou Rhorer - Dvorak

Terra Memoria
Mayer - Saariaho - Mendelssohn

Projet Razumovsky
Beethoven: 3 quatuors op.59

なかなか興味深いですな。幾つか極めて特徴的なプログラムが用意されているのは、いかにも弦楽四重奏マーケットの競争が激しい文化圏らしく、へええ、と思わされますね。

そんな中でもひときわ興味深いのは、「アメリカからの呼びかけ」と題されたもの。中身を眺めると、こんなん。
https://arts-scene.be/en/asd-artistes-programmes-Quatuor-Ardeo-795
へええ、まずはアダムスとはいえ最近の弦楽四重奏曲ではい若い頃の作品が最初に置かれ、メインはドヴォルザークの《アメリカ》。で、間の1曲が、なんとなんと、ローラー《夜の観察者》か久石譲弦楽四重奏第1番のどちらかお好みで、ってさ。

へええ、アメリカ特集に、「宮崎音楽で名高い作曲家のアメリカ流ミニマル」って紹介で久石譲のシリアス系作品が取り上げられてるんですわ。

今やドイツ・グラモフォンから自作自演アルバムが発売される久石譲、いよいよ秘曲とも言える室内楽作品をレパートリーに入れようという連中が出てきているんですねぇ。

さっきから、確か香港藝術中心の売店で買った個の曲のCDを探そうとしているんだけど…めっからない。流石にNMLには上がってないなぁ。YouTubeには第1楽章だけアップされてますな。こんなん。
https://youtu.be/fODcTofmqtI?si=AqSAVYl2xozfHFtq

ご関心の方は、こちらが楽譜でございます。ショットさんからしっかり出ておりまするよ。
https://shop.schottjapan.com/products/sjh007


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