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シンガポール室内楽フェスティバル2024開幕! [音楽業界]

遙かニッポン列島は雪に埋もれているらしい(のか?)春節前の厳冬期、皆々様におきましてはいかがお過ごしでありましょうか。やくぺん先生とお嫁ちゃまったら、先週は一年でいちばん気候の良い文字通りの新春の香港で旧交を温め、諸処雑用でいちど列島に戻り、一昨日に再び同じ道を(って、全然違う台湾より南の道だったんだけど)ほぼ倍のたびの空、連日30度で朝の7時に夜が明けて夜の7時に夜になる常夏の島、今や貧乏ニッポンを遙かに凌駕し韓国台湾と競いつつアジアでトップを走る先進国、シンガポールにやってまいりましたです。

ぶっちゃけ、1940年代半ばに日帝支配が終わり、国共内戦から朝鮮戦争、インドシナ独立戦争、越中戦争終結までの激動の30年が終わってから後の半世紀弱は、戦争を煽って商売したり政権維持したりしないといけん方々の思惑はどうあれ、ミヤンマー以東のアジア地域は歴史的にも珍しい「戦争のない半世紀」を過ごしているわけで、19世紀半ばから20世紀初頭の欧州で近代市民国家を育んだ半世紀の平和にも匹敵する発展の時期になっている。ましてやここシンガポール島ったら、世界最後の分断国民国家が南北共に極めて歪な形でのスーパー成長っぷりを見せてしまった朝鮮半島というこの地域で唯一の地勢的に面倒なところからは遙か遠く、イーグルくんやらファルコンくん、はたまた買ったばかりの空中給油A330なんぞが轟音立てて高層ビルやスーパー観光ホテルのスカイラインを縫うように行き来しようが、「うちの軍隊が戦争する相手っても海賊くらいしかいないし…」ってノンビリした場所。地震はないし津波もない、台風もまず直撃はないそうで、滅茶苦茶暑くて湿ってるくらいはしょーがないわね。

かくて、朝鮮戦争の後方基地になって稼げたとかいろんな偶然が重なりこの地域で一足早く突っ走っちゃったニッポンで、80年代後半に起きた経済バブルと同じような状況が、朝鮮半島南、フォルモサ島、大陸湾岸部大都市、そしてここ赤道直下の島と、微妙なズレはあるものの、次々と到来しておる21世紀20年代なのじゃ。最初にバブルったニッポンの90年代以降の大失敗を冷静に見つめ、分析するだけの賢い御上を持てたラッキーな地域は、今や世界経済を牽引する大繁栄の中にあるわけでありまするな。

さてもさても、そんなシンガポールという場所で、いよいよ本日から「シンガポール室内楽フェスティバル2024」が開催されます。回数がないのは、ディレクターさんに拠れば「20年前にやったが上手くいかなかった、まだ時が至らなかった」とのことで、仕切り直しで今回からまた頑張るぞ、といういことのようです。

一般公開のイベントは以下。ご覧あれ。なお、コンサート告知チラシというものが日本ほどは定着していない文化なので、こんなものしかありません。
IMG_E3360.JPG
Webサイトはこちら。
https://www.sgchamberfest.org/
日程が24日からになっているのは、もう昨日からセミナーが始まっているからですな。

ええ、話は前後しますけど、このフェスティバル、普通の意味での「世界から室内楽の名人を集めて鑑賞する」というのではありません。先週の香港は、正にそういうものでしたけど、ここはちょっと軸足が違う。無論、室内楽コンサートはあり、メインゲストは我らが葵トリオ、もうすぐチャンギ空港に到着するところです。明後日の夜に最初のメイン演奏会としての公演があります。
https://www.sgchamberfest.org/concert-series/festival-concert-i-aoi-trio

で、このフェスティバルのもうひとつの柱が、アカデミーと題されたコーチング・セッション。シンガポールやその周辺、マレーシアやらインドネシアからのプロアマ年齢問わぬアンサンブル28団体が会場のヨン・シュ・トウ音楽院に集まり、葵トリオを筆頭に、シンガポールが誇る我らがヴェローナQの第1ヴァイオリン「オンちゃん」以下、フェスティバル・ゲストがコーチングをする教育セッション。
https://www.sgchamberfest.org/academy-series
実は隠れたテーマは、タンQの次の世代としてフェスティバル・ディレクターさんが育てている地元のコンコーディアQにこれら外国からのコーチからみっちり学んで貰おう、というものなのでありますわ。

ニッポン、特に東京にいると、次から次へと世界の主要弦楽四重奏団がやってきて、学校やらアカデミーやら、はたまたプロジェクトQみたいな民間のコーチング・セッションやら、なんのかんの若いプロ連中が教えて貰う機会が山のようにある。敢えて言えば、溢れていて些か消化仕切れなくなっている、と言っても過言ではないでしょう。

ところが、ソロならともかくグループのセッションとなると、サンフランシスコから直行便で17時間という地球の反対側の南の島やその周辺の室内楽志望音楽家にすれば、なかなか経験があって若く力のある先輩達に習う機会は少ないのであります。それをなんとかしたい、というのがディレクターさんの悲願。それ故に、こんな突拍子もない数のコーチングの枠が準備されたのでありました。

シンガポールの室内楽状況、正に80年代バブル頃の日本の状況に近いのかも。最初のホントのプロの団体としての巖本真理Qの活動が終焉し、初めて室内楽で世界に出た東京Qの第1世代が国に戻ってきて、本気で教え始めた頃。アマデウスQのセミナーが室内楽志望者を爆発的に増やしたあの頃のニッポンの空気が、ここ南の島に流れている…のか。

仕切り直しで再び始まったシンガポールの室内楽音楽祭、来週土曜日まで、お暇な方はどうぞ。ニッポン列島からなら、せいぜい5時間ちょっとで来られますよ。

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