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雨の歌たち [シモン・ゴールドベルク・メモリアル]

東には裏山の蔭に立山の勇姿が聳え、西には畑や林の向こうに日本海を望む魚津市郊外「天神山交流館」での「シモン・ゴールドベルク・メモリアルセミナー」もなんとか2日目を終えました。

昼間のレッスンも始まり、ニックがまだヴァイオリンがひとり到着しない藝大のクァルテットに入ってハイドン弾いたりしてます。写真は出せないので、北日本新聞の記事をどうぞ。何を隠そう、この事務局提供のショット、アマチュアカメラマンやくぺん先生の撮影であります。えっへん。
http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20070912/7122.html
さても、このセミナー、毎晩7時半からの「夜の勉強会」なるものが公開になっております。どうも地元では魚津の様々な情報伝達手段を通してそれなりに告知されたようで、昨晩も6名の聴衆がいらっしゃいました。お疲れ様でした。

前回のこの電子壁新聞にも貼り付けましたけど、この勉強会の内容、セミナーの進捗状況や前日の勉強会での参加者の反応などを踏まえ、連日内容が変わっていってます。昨晩も、当初は1988年6月にゴールドベルク翁が桐朋で戸田弥生さんを相手にブラームスの1番のソナタをレッスンするヴィデオの続きを眺める筈だったんだけど、いろんな意味で難しい部分があるということで、昼間にニックとマンチェが喧々囂々、やり方がガラリと変わってしまいました。なんせこのふたり、良くも悪くもアイデアマンたちで、文字通り始終相談なんであります。もーそーぞーしいったらありゃしない。

ゴールドベルク翁のレッスン風景が100インチのモニターで流れるということで、おおおおお、と取材に訪れて下さった富山のメディアの皆様、そんなわけで勉強方法が替わってしまい、映像取材はシャットアウトになりました。なんせ、この資料ヴィデオは絶対に公開禁止、レッスンを起こし必要な譜面を付けた対訳パンフレットも全て番号を振って完全要返却、レッスン室の外に持ち出し禁止になってます。ゴールドベルクのレッスン姿を眺めたい方は、魚津の山奥まで入らしてくださいな。

ゴールドベルク翁の言葉は、短い中に様々な意味が込められています。昨晩の勉強会では、ブラームスのソナタの冒頭部分に集中し、そこで翁が語ろうとしていることの意味をみんなで議論しました。とはいえ、多くの受講生には母国語ではない言葉を介して議論するのはなかなか難しい。うううん、じゃあここで指摘されていることを実際にやってみよう、ということになり、みんな楽器をゴソゴソ取り出し、翁曰く「フーベルマンはこの部分はベートーヴェンの第10ソナタ冒頭と同じだと指摘した」という「雨の歌」ソナタ冒頭数小節を、ヴァイオリン9人、ヴィオラ4人、チェロ5人、それに講師も加わった大合奏で弾いてみます。「Suzukiじゃないんだけどね」と苦笑するニックでありました。それから、ひとりづつ弾いてみて、翁がヴィデオモニターから仰ってることの意味を、自分のボウイングでやってみて、それをみんなが眺める。音程の問題があるヴィオラやチェロも、ともかくやってみる。

結局、1分にも満たない部分の音楽にゴールドベルク翁が伝えようとしたことの意味を捉えようと、延々2時間半近くが費やされました。ニックは、「私が最初にゴールドベルク先生に習ったのはモーツァルトのイ長調協奏曲。最初の2つの音の出し方だけで、レッスンが3回費やされましたっけ」と苦笑してる。

かくて、夜半を過ぎ冷たい雨が降り出した天神山の麓では、宿舎の風呂でも、娯楽室でも、誰かが口ずさむ「雨の歌」冒頭がどこかで聞こえ続けておりましたとさ。

本日の勉強会、1993年6月15日、翁が没する数週間前に桐朋学園で行われたモーツァルト弦楽五重奏曲K.516のレッスンを検証する予定。とはいうものの、毎度ながらランチタイム以降にならないと、どうなるかは判りません。悪しからず。


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