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ハイドンだけじゃないハイドン祭 [弦楽四重奏]

今朝、無事にベネヴィッツQが湾岸からプラハに戻り、月始めからの嵐のような日々にやっと一息…でもないんだけどさ。

てなわけで、このところ書きそびれたネタを落ち穂拾いしておきましょ。こういうの、出さないとタイミングを失いそうな情報なんで。

さても、「記念年のくせに日本では殆どやられない」という形容詞句がすっかり枕詞として定着してしまった感もあるパパ・ハイドンでありますけど、ま、やられてるところではいっぱいやられてるんだからめげる必要もない。なんせハイドンは、作品の7割までが「エンスー」向けに書かれてるんだから、大衆相手に商売していたロマン派作家なんぞに比べれば人気がないのは当然のことでありましょう。エステルハーザー晩年のパリ交響曲やら、退職後の作品になるまで、大衆を意識する必要なんてなかったわけですからね。

遙か極東の島国がどうあれ(ちゃんとこんなのだってあるんですけど、いずれまたhttp://www.ryutopia.or.jp/schedule/09/0929c.html)、ハンガリーのオーストリア寄りの一部では、今年稼がねばいつ、とばかりに次から次へとハイドンがらみの音楽祭が開かれてます。先頃彷徨ったヨーロッパの空では、たまたま記念日が近かったためか、どの航空会社の機内誌を眺めても「ハイドン記念年なんでエステルハーザーにいらっしゃい」って調子の特集記事ばかりでした。

無論、クァルテットだってやりますよ。それこそ日本ではまるっきり宣伝すらされてないけど、こんなのがあります。ほれ。
http://www.haydnexplosiv.at/en/programm/esterhazy-string-quartet-festival.html
先月末、ヴィーンのシュテファン教会の脇やらリンク通りに、こんな綺麗なおねーさんのでっかいポスターがいっぱい貼ってありました。なかなか派手にぶち上げておるようです。
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ご覧の通り、10月半ばの週末3日間、エステルハーザーにモザイク、ケラー、アルティス、カルミナ、ハーゲンとバリバリのクァルテットを5つ集めハイドン三昧しましょう、ってイベントです。

なるほどねぇ、これは商売の取材になるかギリギリのところだなぁ、なんて思ってて、数日前にカルミナQの誰やらに「なんだか10数年前にボンでベートーヴェン全曲をよってたかってやった連中の同窓会みたいなフェスティバルだねぇ。で、あのフェスティバルって、どの団体がどういう割り振りでやるの?」って尋ねたら、「ハイドンだけじゃないのよ、よくみなさいよ」って呆れられました。

あらためて上述のウェブサイトを開くと、なーるほど、確かにそうだ。これって、「ハイドンの記念年にハイドン縁の地に今や現役バリバリ連中のクァルテットを集めてハイドンのクァルテット選集をやる」ってんじゃなく、「ハイドンとハンガリーのクァルテット名曲選」なんですねぇ。うううん、ケラーQが例のクルタークの「楽興の時」を弾いてくれるんなら、もう一も二もなく駆けつけるんだけどなぁ、うううううんん。昨年、北米ツアーに持って歩いてるんで、弾いてくれても良いじゃないか。http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-07-09

それにしても、「ハイドンの記念年だからハイドン特集」ってプログラミングは、ある意味、とっても簡単で誰でも考えつくことだけど、「ハンガリーの作曲家としてのハイドンを顕彰する」ってのは、案外とありそうでない。クァルテット以外のジャンルでは出来ないでしょうし(あらためて考えてみるに、クァルテットの文献でハンガリーの作品って、そこそこ数があるもん)。とっても興味深いイベントであります。

一体誰が企画したのか、肝心なことを質問し忘れちゃってるんだけど、ま、ともかく、こういうイベントが秋にありますので、お暇な方はどうぞ。ちなみにカルミナQは、先頃のフェスタで弾いたハンガリー20世紀作品を担当しています。なーるほどね。

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haydnphil

ご指摘の音楽祭はエステルハーツィー宮殿内のハイドンザールと書いてありますから、オーストリアのハンガリー側(アイゼンシュタット)です。ハンガリーのオーストリア側(フェルトード)にあるエステルハーザではありません。

ブルゲンランド州のアイゼンシュタットはかなり以前から没後200年の計画をしていて、命日の「天地創造」演奏会は州政府から委託されたハイドンフェストシュピーレが開催しました。(この演奏会には例のママさんもお見えでした。)このハイドン・エクスプローシブは違うようですね。

アイゼンシュタットの事情通から聞いた話では、エステルハーツィー宮殿はエステルハーツィー家の個人の持ち物で、今までは州政府とアイゼンシュタット市が無償で借り受ける代わりに管理し、演奏会を開いていたのですが、その契約が今年3月で切れてしまいました。それを機にエステルハーツィー家自身が城を利用した事業を始めたらしく、ハイドン・エクスプローシブはエステルハーツィー・エステイトという組織が主催しています。公爵家自身が音楽ビジネスに参入を考えているようです。

ハンガリー側の城は共産主義時代に国に没収されたので、現在公爵家の持ち物ではありませんが、こちらでも室内楽中心のハイドンのイベントが開かれています。その企画はブダペストの知人がやっていますが、このパンフレットにも現在の当主が紹介されていたので、こちらも支援しているようです。だからこの弦楽四重奏フェスティバルの企画もブダペストの誰かが考えたのでしょう。オーストリアのハイドン・フェストシュピーレではないと思います。
by haydnphil (2009-06-19 09:01) 

Yakupen

Haydnphil様、コメント有り難うございます。一番信用できる方からの情報、感謝いたします。なんかいろいろグチャグチャしてて、頭がクルクルしてくるような事情があるみたいですからねぇ。まあ、ヨーロッパの貴族の末裔の話は、正直、それ専門のジャーナリストがいるくらい面倒くさいもんですし、所詮はあたしら貧乏庶民には関係ない話ですから、なるほどねぇ、と思って納得させていただきます。

それにしても、ヴィーン旧市街のあちこちにこんなスゴイポスターを貼るような派手な内容とはとても思えないんで、不思議に感じた次第。この内容でこの宣伝のあり方が当たり前ということなら、流石、懐深いぞハイドン、って感じです。

ボーッとしている間に、もう年末に日本ツアーまで半年ですねぇ。恙なく事が進みますようにお祈りしております。



by Yakupen (2009-06-19 09:54) 

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