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文化財修復費って安くならんのかい [音楽業界]

各方面に大騒ぎを巻き起こした「仕分け」騒動の結果たる日本国の来年度予算が出ましたねぇ。
http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan.htm
全部を眺めて論評するのはあたくしめにはとても無理なんですけど、文化関係については以下のような便利な報告書があるので、ご覧ください。ポイントは5ページ目の「文化芸術の振興」ってとこです。
http://www.mof.go.jp/seifuan22/yosan009.pdf
おやおや、「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」なんて新規がある。「地域住民等が主体となって取り組む、音楽、舞踊、演劇等の芸術活動を支援。」って書いてあります。「地域住民等が主体」ってわざわざ仰ってるのはどーゆーことなんでしょーか。こんなこと言われても、ぼーっとしてるとまた地域の既得権保持者が高笑いするだけだぞぉ。科学技術では、大騒ぎだったスパコンが「え、なんかあったんですかぁ」って顔して載ってるのがなんだか…

この予算、メディアでもいろいろと説明があることでしょう。プロの分析をお願いするとして、常々感じている疑問をひとつだけ。

御上が税金を振り分けている文化予算のうち、非常に大きな部分を占めているのが「文化財の保存修理・防災施設等の充実」なんですね。上のPDFファイルをご覧になればおわかりのように、創造事業の7倍に近いお金が投じられている。文化財ってのはそんなにいっぱいあって、そんなにお金がかかるのかぁ、維持管理だけでこれだけ必要なんですか、って、あらためて吃驚だ。

まさか警備会社や保険会社にこのお金の多くが流れている、ということもないでしょうけど、どうなんでしょう、もうちょっと削減できないのでしょうかね。せめて1割減らしていただいて、その分を創造事業にまわしてくれんもんかのう、なんてムシの良いことを思ったり。

そもそも文化財を保管したり扱ったりしている現場に、「文化財補修や管理の費用を少しでも合理化して縮小しよう」という意識はあるのでしょうか。小生の商売では、そういう方に出会ってもお金や予算のことを質問する機会などまるでないので、あくまでも単なる素朴な疑問なんであります。なにを仰る素人さん、うちは頑張って管理費のコストカットしてるよ、なんて例を知りたいものであります。

というのも、このところすっかり顔を出せていない我が佃二丁目町会の寄り合いでも、このところ「文化財補修」の問題が起きているのであります。いろんな議論をぼーぜんと聞いているに、身近すぎる文化財保全にもなんとお金がかかるか、と感じざるを得ない。

具体的には、夏の佃祭りのハイライトとして名高いあの八角御輿。あれがそろそろ限界に来ていて、作り替えねばならないという。そのために必要となるお金たるや、まさかここに書くわけにはいかないけど、皆様のご想像通り、かなりな額なようなのでありますわ。
これをどう調達するのか、この次の例大祭に向けて、大きな問題になってくる。神社は当然だけど、町会上層部の指導力が不可欠になってくることでありましょう。
なんせ、今や驚異的な人口増加率を誇る東京都中央区とはいえ、その殆どは所謂「縦長屋」の住民さんで、町会とか老人会とか、旧来の自治組織(というか、法律的には自治組織なんて認識以前のヌエ的任意団体なんだけど)とは直接結びついていない。そんな部分をベースとしている睦だとかお祭り関係の委員会などは、はっきりいえば先細り。御神輿を作り直すような大きな負担にどこまで耐えられることやら。

ま、八角御輿レベルになると、それこそ日本財団みたいな民間の文化財団からの支援を得る、なんてこともあり得るのかもしれない(佃例大祭は日本財団から援助を受けてますし)。でも、町会神輿の修理代の額などを耳にするに、もちょっとなんとかならんのかね、と思うわけですよ。

壮大な日本国の国家予算で始まった話が、いつのまにやら町会の御神輿修理代の話に化けてしまってるけど、よーするに、文化にかかる金とはそういうもんです。御神輿の修理代を高いと感じるか、まあそれくらいなら仕方あるまいと感じるか、ですな。今、御上が「仕分け」で言ってきたのも、極論すれば、御神輿の修理をもうちょっと安くできないのかね、ってのと同じようなこと。

つまるところ、文化とは「役にも立たないことが明白なものに、どこまで金を出しても、みんなが文句を言わないか」の体系だものね。

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