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「原爆博士」メト版今晩BSHighで放送 [現代音楽]

ご存知の方はとっくにご存知の筈の情報。今晩、2月2日の深夜、NHKBSハイヴィジョンで、ジョン・アダムスの「ドクター・アトミック」の一昨年秋のメト版を放送します。

指揮はアラン・ギルバート。DVDやブルーレイになってるサン・フランシスコ初演版演出のアムステルダム収録を指揮してるローレンス・レネスに比べると、奥さんとの寝室でのやりとりなどの叙情的な場面がうんと叙情的になってて、ある意味で、スター指揮者的な整理が上手な聴きやすい音楽になってます。レネス君の方が生々しいのは、ハコの規模の違いもあるんだろうけど。なお、NYでのアランの評価は、NYP新監督発表後はどことなくご祝儀先行という感じだったけど、この舞台の成功によりホンモノになったようです。

蛇足ながら、先頃香港でちょろっとインタビューさせてもらったレネス君は、「ここだけの話、正直、僕はセラーズ演出の方が…」って仰ってました。ちなみにレネス君は、アムステルダムで初演演出、ロンドンのENOではこのメト演出と、世界で唯一両方の演出を振ってるこの作品の専門家中の専門家であります。小生の個人的な感想を述べれば、この作品はフィナーレに向けてドンドン中身が抽象的になっていくので、メト流の具象的処理ではやっぱり追いつかないんじゃないかぁ、という気がしております。ハイ。

なお、来月だか、交響曲版を作曲者がロンドンで指揮するようです。レネス君も交響曲版はあちこちで振ると言ってました。でも、残念ながら、このふたつのステージが終わったあと、昨年11月時点での「ドクター・アトミック」の再演は予定はないそうな。まだ発表段階ではありませんけど、日本でも交響曲版の初演は予定があるようです。乞うご期待。

来シーズンに予定されていた「中国のニクソン」のイースト・リヴァーを越えたマンハッタン初上陸、予定通りやるのかしら。メトの新シーズン発表って、この数日の筈だろうけど。

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コメント 5

アホストロ

ジョン・アダムスといえば、NYPのサイトで The Wound-Dresser というのがハンプソンの歌で聴けます。今月の12日まで。急げ!

http://nyphil.org/attend/broadcasts/index.cfm?page=broadcastsByMonth

この曲のことはなにも知らんので、やくぺん先生、お暇な折りにお願いします。(タダ働きご免)
このNYPのブロードキャスティングは、直近の演奏(上記は先月のライブ)をMP3ながら高音質で聞くことが出来るので重宝しています。英語での解説やインタビューもあるし。

というか、これ聴くと在京オケのコンサートにはあほらしくて行けなくなります。だって、NYPは指揮者もソリストもオケも、やっぱり上手いし良い演奏がタダなんですから!\(^O^)/(

スポンサーはクレディスイスということは、日本からも多大なカネが渡っているはずですから遠慮は不要でしょう!)

で、ここからはめずらしくまともな話。

「24」とか「LOST」などのアメリカのドラマはハリウッドの映画会社が制作しています。なんでかというと、アメリカのテレビ局には一定の番組枠をハリウッドに発注しろと法律で決められているからですね。なので、ハリウッドには一定の安定財源が、「国家予算ゼロ」でばらまかれているわけです。

昨年の音楽についての仕分け論議がつまらないのは、アウトリーチにしても演奏者派遣にしても新国立劇場にしても、「守れ!」というのは、まさに、今そこでカネをもらっている企業/団体の連中を守れというのと一緒でしょ?と思うからですね。

なので、直接的にカネくれと言うのではなく、例えば、放送局に番組の一定枠を「クラシックのオペラやコンサート」とすることを義務化しろという運動をやったら?ということです。

放送というのはまず第一に公共財の電波を使っているはずなのに、各局は視聴率のための「オバカ」や「オザワ疑惑」などのバカ騒ぎに終始しているくらいなら、少しは音楽文化に貢献しろよと言えばいいのにということですね。

これ、国費ゼロです。

但し、「系列団体および主催公演番組は除外」という一項は必要でしょう。だって、日本テレビがY響の番組ばかりになっちゃうものね。

もちろん、義務化だから、当面は視聴率は関係無し!(大爆笑)になるけど、だからこそ、人々に受け入れられる努力が始まるのではないでしょうか?

アメリカのテレビドラマも一時は低迷していたのが、盛り返して今の状況になったのですから!
by アホストロ (2010-02-05 09:43) 

Yakupen

アホストロさま

この数日、猛烈に忙しく、電子壁新聞本編も掲示できない状態なので、手短に前半のみ。後半は書き始めるとアドレナリンが出まくって長くなるので。

ええ、このアダムスの曲、小生、3日目の昼間の定期を聴いてます。流石に地味なプロ過ぎたか、NYPって、余りにも売れないと「直前安売り券」の案内が来るんですね。アランの回はそこそこ混んでるのに、比較的客席に余裕がある感じでした。まあ、金曜昼の伝統のじじばば定期で、冬の最中で、アダムスとかベルクとかじゃあ、サボりも多いんでしょう。

もとい。この曲、名曲ですよ。アダムスがミニマリズムを図式的なものから、より劇性の高いものへと変貌させていく過程の、創作史的にも貴重なものだと思います。ただ、英語でこういう曲をやると、みんなブリテンみたいに聞こえちゃうのは、まあ我々聴衆の馴れが悪いんでしょうねぇ。このような努力の先に、あの「ドクター・アトミック」の21世紀に生まれた現時点で唯一バリトンのレパートリーになりそうなアリア「ばったー・まい・そーうる」があるんだなぁ、って思わされました。

てなわけで、お暇な方はお聴きあれ。なお、一緒にやられたベルクの3つの小品、みなさん期待の最後の楽章のマーラーハンマーですけど、それほど派手は出にドッカンドッカン鳴らしてませんので、肩すかしと思わぬよーに。

by Yakupen (2010-02-05 10:18) 

アホストロ

お忙しいところ、ご返事ありがとうございます。

アダムスの曲は、NYPのサイトからプログラムノートもダウンロードできますね!サービス満点です!(英語だけど)

英語の曲はみんなブリテンに聞こえる というのもごもっともです。でも、途中のトランペットのソロの音型はコープランドに代表されるアメリカの作曲家に共通する(と私が勝手に考える)「荒野の音景」だと思います。

そういえば、アランギルバートですけど、今まで聴いていて感心するのが、基本的に「繰り返しをカットしない演奏」ということです。昨秋、幻想の第一楽章の繰り返しを初めて聴きました。さらにびっくりしたのが、野外コンサートでのベートーヴェン「7番交響曲」も、全部繰り返していました!「お客も偉い!」と関心しました。そういう資料的価値も大きいので、毎回録音して残しています。

あ、決してNYPからカネもらってませんから!(^○^)/

続けておじゃましました。m(v_v)m
by アホストロ (2010-02-05 10:42) 

ほっぺけ

原爆博士の交響曲版がCDになったという話題はありましたでしょうか?
あと、某クラシカで話題に挙がった「高慢と偏見とゾンビ」、日本語訳はなんと文庫で上陸しました。これって需要があるってことだよなぁぁ・・・・;
by ほっぺけ (2010-02-09 16:53) 

Yakupen

ぽっぺけ様

情報、有り難う御座います。たしか、やったような。ダヴィッド・ロバートソンが指揮してるノンサッチの奴ですよね。先頃、ロバートソン氏はシカゴのシンフォニーホール楽屋でホンのちょっとだけ立ち話が出来ました。アダムスのことは訊けなかったのが残念。ハッタリのない良い指揮者さんで、こういう人が偉くなるのは良いことですね。

交響曲版の日本初演の話は、ずっとしたくてたまらないんですけど、諸事情で口止めされてるのでまだ言えません。いずれ、解禁になったら。
by Yakupen (2010-02-09 20:42) 

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