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ぐるぐるグルッペン [現代音楽]

NYPの実質上シーズンを締めくくる演奏会、いつものリンカーンセンターからセントラルパークを挟んで丁度反対にあるでっかいイベント空間を利用した「フィルハーモニック360」から戻って参りました。ここが会場。
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明日朝の5時前にマンハッタン厄偏庵を出て、えいっと大陸を横断、サンフランシスコに至り、夜は戦勝記念オペラハウスで「中国のニクソン」を見物するので、もう寝なければ。長々と書いているわけに行かぬので、ひとことだけ。

皆様よーくご存じのように、シュトックハウゼンの「グルッペン」という作品はほぼ同規模の3群オーケストラをぐるりと120度づつの円上に配置、聴衆は園の内側に入って聴け、ということになっている。小生もライブは数年前にサントリーホールで演奏されたのを聴いただけで、これが2度目。本日は、なんせこの日にちゃんとNYに来ているか判らない状況だったもので、こっちに居る方に「ダメ元で、いちばん安い券を買っておいてちょうだい」って頼んだ。というのも、何故かこの演奏会、発売直後はネットで切符が買えなかったんですよ。NYPの仕切りじゃないのか、って感じだった。んで、3つのオケの円の外で上から見下ろすみたいな天井桟敷立ち見券を持っていた。なんとか別の仕事を絡めてマンハッタンまで来ることになった頃に、じゃあオケの中の席を買うか、とNYPのウェブサイトにいったら、もう売り切れ。おおおお、まさか売り切れるなんて、とビックリ。考えてみたら、サントリーホール夏の現代曲祭りでも、あの演奏会は早々と売り切れてたもんね。みんなシュトックハウゼンが大好きなんだなぁ。うん。

本日はなにもないだだっ広い場所の真ん中に、半分寝転がって聴く席が設けられ、その周囲にきっちり120度でオケが配置されてました。こんな。ホントはダメなんだろうから、ちっちゃく。
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詳細は、恐らく、日曜日のNYタイムズに写真入りで批評が出るでしょうから、そっちをみておくんなさいな。

驚くなかれ、この会場、案外と響きは良い。無論、表がパークアヴェニューで車も通ればヘリコプターも飛ぶ場所、昔は工場だか倉庫だか、そんな空間だから、遮音などある筈もない。でも、結果的に、丸く配置された中でオケ群が音をまわし合う、って効果はとてもよく判りました。サントリーではどんなに頑張ってもやっぱり丸くは置けなかったし、音響も第1オーケストラと他では条件が違いすぎた。無論、頑張っていたことは判るけど、ホントにまん丸でどのオケも音響条件は同じ、というわけにはいかなかったんだなぁ、とつくづく思いましたとさ。

今更こんなことを言うと笑われそうだけど、この曲が存在するだけのために、セリエリズムという些か無理のある音楽語法が存在して良かったなぁ、とも思ったです。だってさ、この曲、妙にキャッチーなメロディとか印象に残る和音とかがあったら、絶対に成り立たないもん。そういうものを全部捨てたからこそ出来た、純粋な音響の饗宴。なんと贅沢で美しいことか。

ま、語り出せばキリがないので、これでオシマイ。アンコールみたいに演奏された「答えのない質問」が、まるで昨日眺めたリドリー・スコットの新しいエイリアン・シリーズ映画みたいに感じられた、90度の暑さのマンハッタンでありましたとさ。

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