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フィリアホールについて [指定管理者制度]

久しぶりにフィリアホールに行ってきました。アルティQのベートーヴェン最終回。作品18の3やって、6やって、休憩挟んで作品135やって、アンコールに作品130の改訂版終楽章をやる、って演奏会。短くないか、と思ったんだけど、3時から始まった演奏会は終わったら5時過ぎでした。アドヴェントの夕日ももうすっかり丹沢の向こうに落ちています。これ、ホールのロビーから見える西側の風景。
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このプログラム、なんか、凄く格好いいというか、勇気があるというか、1回の演奏会だけをと考えたら絶対にやらない極めて興味深いものですねぇ。要するに、ベートーヴェンという作家が自分の先輩格の方々のやったフォーマットに敢えて似せて書いたものばかり、それも一番最初の作品と、一番最後の作品を並べる。その間に、先輩タイプ書法での最も完成度の高い作品を挟む。そして、アンコールは、この作家がもうちょっと長生きしていれば作品135の2だか3だかの終楽章になった可能性もある(一部の論者が最近言うようになった「作品135はハイドン・タイプの小規模作品3曲から成る曲集という構想だった」という説が正しいとすれば、恐らくはニ短調作品が作品135の2になったろうから、これが曲集を締めくくる作品135の3のフィナーレになったかも)最後の弦楽四重奏作品を置く。いやぁ、凄く勇気のあるプログラム。普通、これじゃ客は来ない。

中身を議論する気はないけど(一言だけ言えば、先週京都で本番をやり、前日前々日にまたみっちりフィリアで練習したといえ、こういうスター集合タイプの団体の見所は「いかに見切るか」で、その意味で、18の3と6のそれぞれで頭に座った豊嶋氏と矢部氏の見切りのポイントの違いがこういう古典タイプだと非常にハッキリ判り、とっても興味深かったです)、無事にこういう演奏会が行われ、土曜日の午後にそれなりの人がいたというのは、なかなか大変なことです。フィリアホールという場所、聴衆と一緒に育っちゃった感は強いが、とにもかくにもよくもまあここまで頑張ってこれたものだ。うん。

んで、そのフィリアホールです。横浜市民はご存じだと思うのですが、来年の4月からついに指定管理が入ります。この建物をが完成してからずっとやってきた東急さんが引き上げるという話が出て以来、いろんな状況があったようだが、結果的に10月の終わりくらいに以下のようなことになりました。説明が面倒だから、直接資料をご覧あれ。
20120920chishin-senteihyoukahoukokusyo.pdf
なんのことはない、と言ったら怒られそうだけど、ホール完成時から横浜市と共同でこの空間を管理運営していた東急さんがあちこちと組んだグループが、5年間の指定管理を取ったわけです。なーんだ、って思われても仕方ない、ってか、良かった良かった、なのかな。そーゆー結果ですね。

とはいうものの、担当者さんによれば、いろいろと変化はあるとのこと。基本的には今の現場スタッフがそのまま移行することになるようだが、他の会社からも何人か人が入ってくる。
それから、当然のことながら、地方議会との関係が出てくる。正直、小生は横浜市の区という制度がどの程度の権限を有するどんなものなのか、知りません。東京都の特別区は実質的に市に近いものだけど、どうもそういうもんじゃなさそうだ。で、今後、横浜市だけのものとなったフィリアホールは、なにやら区と横浜市と両方の議会で議論の対象になり得るらしい。横浜の区議会って、どんなもんなのかしらんけど、ともかくそうらしい。

そこで怖いのが、今、あっという間に化けの皮がはがれて失速気味で、一生懸命一部メディアがもり立てている維新さんとかの動向。なんせ、地方議会では文化なんて関心のある議員はひとりいれば良い方。なんかの拍子に声のデカイ奴が「あんなのいらん」なんて騒ぎ立てると、周囲の議員の殆どは「そうだそうだ」となるか、せいぜいが「そーゆーもんなのかぁ」という程度の反応。過去数年の指定管理の騒動を眺めるに、地方議会議員の多くは、残念ながら、所謂B層と呼ばれる有権者とさほど違わぬ行動を取るようです。なんせ殆どの議員は、地元土建屋さんとか有力者とかですからね。自分の所の利権を守るために議会に出てきているだけで、文化行政に関心があるとすれば、建物建てるときにどこの建設業者が落とすか、ってくらいでしょ。かくて、少人数の議員の突出したおかしな動きでも、文化施設予算などには致命傷になる可能性がある。これ、大いにあり得る。なんせ、維新さんの勢いがまだあった秋の終わり頃に、文化庁も非常に焦っていて、いろんなことを民主党政権の間に前倒しでやってしまおうとしてましたからねぇ。

てなわけで、この先何が起こるか判らぬが、ともかく、現時点でフィリアホールはこんな風になってるぞ、というお話でありました。

なお、来週の土曜日、こんな催しがあります。お暇ならどうぞ。小生は佃オフィスにいても、葛飾厄偏舎にいても、選挙最終日で路地まで候補者が入ってきて五月蠅くてしょうあがないんで、静かなかねやすむこうのお江戸の先まで覗きに行くつもりです。
http://mari-semi.blogspot.jp/2012/11/1215.html

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Yakupen

追記にすべき内容ですけど、直接メールでいただいたことなので、コメントにしておきます。

ある関係者の方から、横浜市の議会の在り方について、ご指摘をいただきました。メール内容で問題ないと思われる部分を引用させていただきます。以下。

「横浜には「区議会」というものが無く(「区単位で選出される市会議員の先生方」はおられますが)、区の文化行政かくあるべし、というのは、各区の地域振興課があれこれ知恵を絞って区長がまとめて、然るべき方々に「ご説明」して進める、という状況のようです。」

なるほど、横浜の区というのは、中央から知事が任命されていた戦前の地方自治体みたいな感じなんですね。勉強になりました。東京都民だと、区、というのは実質上の市レベルの権限を持っている特別区のことしか頭に浮かばないので、こういうご指摘は有り難いです。なるほど、大阪で問題になってるのはこういう権限のことなのね、とあらためて理解したりして。

by Yakupen (2012-12-10 10:55) 

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