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葛飾の動物たち [葛飾慕情]

年があらたまって実質的に最初の勤労日となった冬の光射し込む月曜日、葛飾オフィスで地味に作文仕事に取り組み始めたところに、佃から同居人のブンチョウさんの体調不良&緊急入院の連絡が飛び込み大いに心配な今日この頃、皆様、いかがお過ごしでありましょうか。

遙か大川端のセレブなブンチョウさんの食べ残しを中心に葛飾巨大柿の木の下に厳冬期限定で開設されるシジュウカラ・レストラン、この冬はダラダラとローリングスタートのように数週間前から始まってしまい、「さあやるぞぉ」という感じが無かったからなのか、どういうわけかボーナスの蜜柑や解凍柿の実を出すとヒヨちゃんがやってきてぎゃーぎゃー叫び、突っついてはアッという間に喰らってしまうのは毎度ながらなんだけど、めじろんたちの小さなぴぴぴ声は稀にしか聞くことなく、相方を呼ぶつつぴぃも殆ど聞こえない。もっと不思議なのは、普段ならブンチョウご飯を目当てに向かいの電柱の変圧器の中に塒を作り始める雀たちが、殆ど姿を見せない。

なんなんねん、今年は。

佃大川端のやくぺん先生定番ノマド場は裏にあった藪が昨年秋の終わり頃に綺麗に刈り取られちゃって、「くれないの、くれないの」と擦り寄ってくる雀たちの緊急避難場がなくなってしまい、佃公園の雀らがこの冬は溜まるところがなくなって困ってる、という惨状なのだけど、ここ川向こうは葛飾の過疎化が進むかつての町工場街では、雀やらめじろんなんぞ柿の木空域でのヒェラルキー下位の小さい飛ぶ方々が上位集団たるヒヨちゃんなんぞから慌てて逃げ込むための藪やら椿やら柘植やらの低い常緑樹がゴッソリ伐採されちゃった、なぁんて感じもないし。

昨日は、これ以上新年っぽい盛り上がりはない日本フィルの半島ツアー凱旋演奏会を都内某所でマチネで拝聴し、その後に同業者某氏と延々と話込み、月曜朝は新年初の燃えるゴミ出しだぁ、と慌てて葛飾オフィス最寄りの私鉄駅に至ったのは午後の10時も大きくまわっているのであった。柿の木が葉っぱや柿の実まき散らす町工場駐車場に出入りするトラック群が明日からは溢れるであろう夜更けの道は、明日からしっかり働くぞぉとばかりに寝静まり、駅前の路地から晴れ渡った闇夜に聳えるすっかり裸になった巨大柿の木に向け、廃業後もそのままに店舗の姿を晒す貸本屋さんの前を歩いてくると、かつて親爺がこの新開地に出て来て仕事を始める理由となった亡くなった叔父の小さな町工場跡地、今は小綺麗に整理され住宅区画になってる路地に入る暗い夜道に、なにやら小ぶりの犬さんのようなもんがぼーっとしてる。この界隈、とにかく猫さんたちはいっぱい自由気ままに暮らしていて、実際のところヒヨちゃん以上に雀らの宿敵となってるんだけど、さっきも駅からの路地で目の前を突っ走って消えていったワイルドキャッツなんぞとはちょっと違う体型。佃近辺には小型犬が多いけどさ、この時間にひとりで出歩いている犬さんは川向こうの新開地には珍しいなぁ、どうしたのかしら、とこっちも足を止めたら…

あれぇ、なんじゃ、こいつ。

むこうも暫くこっちを眺め、おもむろに暗闇の方に、じゃなくて、住宅地の私道の照明が照らしている方へと、逃げるともなく、ノンビリ歩いていらっしゃいます。
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んで、わざわざ光の中に入ると、こっちを眺めてら。
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しばしお見合いをし、こいつはなんもくれないな、と判断なさったか、悠然と奥の暗闇へと歩き去っていかれましたです。

いやぁ…団地の向かいの米屋さんの裏の貸家の窓からブルーインパルスが遙か向こうの空に五輪の輪を描くのを眺め、今は老木となった柿の木を玄関横に残すように角地に職場兼住居を親爺が建てしばし過ごし、昭和の終わり頃になんのかんのお袋から勘当されるように追い出され各地を彷徨い、地震の年の秋にお袋に先立たれて仕事も止めた親爺が没して遺言で此の地に戻ってくるよう命じられ、佃の長屋から仕事場を移し数年。それほど一生懸命にこの新開地で暮らしていたわけではないけど、それでもそれなりには生きているこの場所で、こんな生命体と出くわしたのは初めてのことでありまする。

増えに増えている空き家をハクビシンさんがお住まいになさっているという話は盛んにきくし、水元公園には昼間でもウロウロとなさっている狸どののお姿にお遇いしたことはあるけど、まさかシンフォニーヒルズやら区役所からも遠くない、成田空港にも羽田空港にもきっちり1時間というこんな場所を悠然と闊歩なさっていらっしゃるとは…

我が川向こうの新開地葛飾、自然に溢れる素晴らしいところなのであーる…ってことなのかしら。近くにいらっしゃると知ってしまった小さな命、冬を生き延びるお手伝いをしてさし上げる、というもんでもないのだろーしなぁ。

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