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半島のリング事情 [音楽業界]

今、朝から舞浜の夢の国に向かう親子連れカップル外国人観光客の皆さんに交じって、東京湾を眺めてました。舞浜で下車しない若い人がそれなりにいるのは、この先に学校でもあるのかな。

さても、本日は千葉の付け根の真ん中で開催中の「ながらの春」音楽祭最終日であるばかりか、遙か対馬海峡の向こう、海を眺める丘の上のイサン・ユン・メモリアルホールで開催中の統営国際音楽祭も最終日。香港現代音楽アンサンブルによる「アジアの若手作曲家作品集」と、先頃日本フィルにも客演しルトスワフスキやら指揮なさったアレクサンダー・リプライヒ指揮する統営祝祭管弦楽団に拠るファイナル・コンサートでありまする。んで、後者のメインとなるのが、《ヴァルキューレ》第1幕演奏会形式上演。先頃、ルツェルン管がザンテルリンク息子(って言うのは昭和生き残り爺だろうなぁ)が《ドイツ・レクイエム》やったときに歌ったベルリン・ドイツオペラだかのバリトンさんがやたらと立派だったので、「ヴォータンの告別」でもやるのかと今まで思ってたら、それはなしなんだなぁ。

で、音楽祭CEO(実質上のプログラム・ディレクターです)フロリアン・リーム氏と飯食いながらいろいろどーでもよかったりどーでも良くない深刻な話をしたりした折、この《ヴァルキューレ》の話になった。これなら最終日も満員ですね、と気楽に言ったら、「いやいや、なかなか大変なのよ。去年の秋のソウルの、あの偉い演出家がやった《ラインの黄金》も、集客は7割くらいだったもんねぇ…」って。

ええええええ、去年の秋にソウルで《リング》やってたんですか、うん、知らなかったの、韓国では初めてで、演奏よりも衣装とかの方が話題になって、そう、全曲チクルスで、今年は《ヴァルキューレ》やる予定の筈よ…

なんと、いやぁ、恥ずかしながら、ぜーんぜん知らなかった。慌てて調べると、何故か公式ページらしきところは開かないんですが、いろいろと批評なり紹介記事は出て参りました。ああ、欧州バタバタの頃で、半島の状況はまるでチェックしてなかった辺りだなぁ。
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20181113000686
https://www.youtube.com/watch?v=TaO-U7xQWZ4

あ、なんのことはない、エッティンガーが振ったしDVDも出てるので日本でもお馴染み、「マンハイム・リング」じゃないの。マンハイムとはちょっと違う感じもするので、ロサンジェルス版の方なのかな。

このプロダクション、やくぺん先生も最初のふたつだけ眺めているいて、劇場の規模といい、やってることといい、なかなか興味深いものでありました。コスチュームの基本コンセプトに違和感を感じなければ、ですけど(わざとやってるんだから、感じないわけはないわなぁ)。なんせあの衣装ですから細かい演技など出来る筈もなく、二重の回り舞台の上に登場人物とそのちっちゃな人形が出して反対方向に速度を違えてグルグル回し、極めて抽象的に心象風景を説明していく、というやり方。
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25

どうやらこれで《ジークフリート》が近場で観られそうでありがたいのだけど…ソウル・アーツセンターの日程表を眺めても秋以降はまだ出ていない。ま、焦ることはないでしょうけどねぇ。ソウルの《リング》って、ゲルギエフがマリンスキーでやってると思い込んでいたが、そうじゃなかったんだ。へえ。

ちなみに、ソウルの《リング》チクルスといえば、2013年だったか、香港と上野の春祭りとソウルとで競うよう演奏会形式でスタートしたことがあり、ソウルフィルは定期の中でチョンさん指揮で毎年1作品づつ取り上げ始め、《ラインの黄金》はハープずらりと並べてお得意の大音響で鳴らしてくれた。当電子壁新聞にはそのときの感想文はないなぁ。ま、またかぁ、という感じだったし。結局、翌年にソウルフィル(ってか、ソウル市長かな)とチョンさんの間の騒動が始まり実質的にチョンさんが追い出されてしまう事件があって、《ヴァルキューレ》はその真っ只中になってしまい、指揮者がチョンさんじゃなくなって演奏はされた。
https://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2015-05-22
このときは、神楽坂某音楽雑誌編集者と開演前に近くのフライドチキン屋で山盛りのチキンをビールでかっくらっていて第1幕に遅刻する、という本末転倒なことをやらかしているのだが…ま、それはそれ。結局、チョンさんがソウルフィルでは指揮出来なくなってしまい、企画そのものが途中で頓挫してしまって、ソウルのヴァーグナー愛好家は…を見上げてあいごーと叫んでいたわけでありまする。

とにもかくにも、歌手陣の層の厚さと合唱の実力では東アジア地域でダントツの韓国クラシック音楽界、男声合唱が大声を出す《神々の黄昏》まで、今度こそなんとか頑張って辿り着いて貰いたいものであります。ともかくヴェルディとかプッチーニとか大好きなお国柄なんだから…って、やっぱり《リング》は客層が違うのかなぁ。

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