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協奏曲のソリストもpad [演奏家]

先程、溜池はサントリーホールで、日本フィルの定期演奏会が開催されました。別になにか特別な回というわけでもないのだけど、演目はこんなん。
https://www.japanphil.or.jp/concert/23226
なんじゃこれ、ってビックリするでしょうけど、ともかく、ラザレフ御大とすればこれはこれで筋が通ったプログラムだそーな。

やくぺん先生とすれば、最も弱い(ダメな、という意味)タイプの音楽総代表みたいなもんが後半にどかんとあるわけで、会場に出かけるのもなかなか躊躇したというのがホントのところなんだけど、ま、こういうものもちゃんと聴いておく得がたい機会であろうというわけで、ノコノコ出かけた次第。お目当てだった前半のメトネルは、正直…ううううん、こういう音楽趣味もある時代のある場所にはあったのだなぁ。アンコールで弾かれたロマン派趣味で歪められたバッハ(とぶった切ったら叱られそうだけど)みたいなスカルラッティと合わせ、「ああああ、こういうもんが古き良き英国のクラシック音楽趣味なんだろーなー、こういうヴィルトゥオーゾ性に特化したもんを心から楽しめる、って世界があったんだなぁ」と、遙か平成昭和を通り越して大正時代くらい、ロイヤル・アルバートホールのバカでっかい、妙に古びてよく見ると薄汚れた空間を懐かしく回顧するよーな音楽の在り方、って感じ。ある種、究極のサロン音楽ですわ。

ま、たまにこういうものに接して、世界の広がりを知るのは意味があるであろー、という大人な纏めでオシマイにしたいところなのだが、この演奏会、もうひとつのビックリがありました。これ、終演後の舞台を眺めたところ。
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ピアノの鍵盤の上に、ちょこんとpadが置いてあるのがお判りかな。そー、なんとなんと、独奏者のスドビン氏、ラフマニノフの3番よりも難しいと言われるメトネルの第2協奏曲を、iPad譜面を眺めながらお弾きになられたのですよ!

ボロメオQが自作のパソコン譜面を持ち出してから10年以上経つかな、ジワリジワリと拡大しつつあるパソコン譜面は、10年代のiPadの出現で爆発的に広まり、今や既製品が何種類も出まわるようになってる。とはいえ、暗譜で弾くのが当たり前とされてるロマン派協奏曲の独奏ピアノパートを、天下のソリストが電子譜面で演奏したのを眺めたのは初めてでありましたぁ。いやぁ、ホント、驚いたです。

出て来て、ポンポンと画面をタッチして始めたので、まさか休符のところで画面タッチして譜めくりするのかと思ったら、流石にそういうことはなく、指があと10本あっても足りないんじゃないかというような膨大な音符がぶちまけられたウルトラハイパーヴィルトゥオーゾ作品をどうやってか捲ってる。明らかに足で操作しているとしか思えない。

流石に演奏中には判らなかったんだけど、終演後、お馴染みの日本フィルのステマネさんが出て来てピアノを撤収する前にまずpad楽譜を引っ込めたときに、下に潜ってゴソゴソ
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んで、どうやら手にマウスくらいの大きさのものを持って袖に引っ込んで行かれました。
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やっぱり、ペダルの辺りに譜めくりスイッチが置いてあったんだなぁ。

ま、あの譜面を処理出来るヴィルトゥオーゾなら、ペダルがひとつ増えるなんてなーんでもないんでしょうし、なにより世界一難しいとすら言われるメトネルの第2番の譜めくりなんて、どんなプロが必要なんだと考えれば、極めて合理的なやり方なのかもねぇ。

この調子だと、あと数年で譜面台に電子楽譜のスクリーンが埋め込まれ、ペダルの横に譜面めくりスイッチが設置されたピアノが出て来るんじゃないかなぁ。

padで「世界一難しいピアノ協奏曲」を弾くピアニストを眺めたいなら、土曜日午後2時に溜池へどーぞ。

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