SSブログ

全ての書物は「限定品」なのじゃ [売文稼業]

なーんの意味も無い暇つぶしの雑談ですから、読んでも意味は無いよ、忙しい奴は返った返った。

田園都市線青葉台駅ホーム下のタリーズ・コーヒーで、フィリアホールでのタレイアQ&とこさんの開場を待っております。帰りはちゃんと東急が走るか心配な大雨、ましてや携帯不携帯。手持ちの金になる原稿のいちばん近い締め切りが20日過ぎなんて情けない貧民三文へっぽこ売分業者状態だから、問題ないといえば問題ないんだけどぉ、世間は一気にコロナなんてなかったような景気拡大イケイケになりつつあるのに、これを機会に構造改革リストラされてしまったのは明白な業種の従事者、「目指せ月収5万円」状況に変化の兆しは見えませんぬ。いやはや、冗談じゃなく、主食は裏の畑で取れる馬鈴薯と茄子、米は近くの農家でいただくしかない生活にせざるを得ないじゃないか、いやはや…

んで、まだ時間があるからとフィリアホール隣の東急デパートだかに入っている本屋さんを眺め、貧乏である事実鑑みず、フラフラと紙の書物を購入してしまったぞ。なんせ、アジアの生産国がコロナでラインが滅茶苦茶、水周り部品がニッポン列島はキューシュー島に到着せず、石武オフィスのリフォームが遅れに遅れとうとう今月末の音楽祭には間に合わず、温泉県盆地で人生最後の宿屋に泊まることになりそうな惨状とはいえ、とにもかくにも「本」という旧来型メディアの王様を納める空間は確保されたことにより、半年ぶりに書籍購入が解禁されたのじゃ!あら嬉しや、おお楽しや!

やくぺん先生、ぶっちゃけ本フェチの系列ではないものの、図書で埋め尽くされた空間ほど落ち着く場所はないと感じる人類に分類される方ではありまする。ある時期から「もうこれ以上本は買わないぞ」と決意し、圧倒的に購入量は減ったとはいえ、流石に葛飾オフィス破棄決定後の「当面は絶対に本は増やしちゃダメ」状態はなかなか心理的に苦しいものがあった。よく耐えたものだ、偉いぞ、あたしっ!

ちょっと真面目に言えば、そんな状況がマズい理由はしっかりあります。21世紀20年代の今、「本」という形であたしらが出会う情報媒体は、商品として見れば、全てが「1000程度の生産数しかない限定商品」と考えるべきだからであります。本というポータブル型不動産、全てが限定生産品で、目の前にある現物を逃したら二度と手に入らない、とても困った商品なのでありまする。

本なんてアマゾンで探せばいくらでも売ってるし、電子書籍で買えば場所も取らないでしょ、と反論されれば、あーそーですねぇ、としか言い様がない。だけど、まあ実感している皆様には言うまでもないことでしょうが、日本語文化圏の電子書籍は極めて偏ったジャンルしかなく、著作権が生きている戦後から今に至る文学作品とかって、電子化率が極めて低い。西脇順三郎とか内田百閒とか、はたまた吉田健一とか田村隆一とか、現代日本語のきちんとした作家の仕事が全然電子化されてません。所謂戦後文学以降の古典も、『死霊』はもちろん、大江健三郎から筒井康隆に至るまで、まるで電子化レスです。なんなんねん。つまり、電子出版や電脳画面の世界の日本語のレベルって、もうニッポン語のシロートが跋扈する滅茶苦茶低いレベルで推移しまくっている、ってことでありますわ。

もといもとい。ま、とにもかくにも、本を買って良いのだよ、やくぺん先生、ってか、必要と思った本はどんどん買っておかないとマズいのだよ…と貧乏である現実を突きつける冷静な己を強引に説得し、本を買うのじゃ。

思えば、去る日曜日に恐らくはやくぺん先生が聴いた最も高齢なヴァイオリン奏者さんの演奏会で、こんな著作を購入してしまったのが引き金であるのじゃ。
IMG_6102.jpg
コロナ禍で絶えていた物品販売がやっとコンサートホールのロビーに戻ってきて、売り子のオジサンに「もう先生の手元にあるこれしか在庫はありません」などと言われ、思わずフラフラと財布を開き、現金を出してしまったのであーる。

たいへんに良い買い物をした、えらいぞ、やくぺんくん、と己を褒めていたら、某ヴァイオリニストさん曰く、「これ、確か古賀書店にあったような…」。

うーむ、いやいや、それならそれで古賀書店さんがしっかりと本来のお仕事をなさっている、という喜ばしい事実であーる、と考えるべきじゃな。本書も、温泉県盆地の新オフィス図書室が完成した折には、しっかりとアレクサンダー・シュナイダー自伝の並びに配させていただきましょうぞ。

さて、そろそろフィリアホールに向かわねば。ちなみに本日購入したのは、岩波現代学術文庫に昨年入った佐藤卓巳『「キング」の時代』
https://www.iwanami.co.jp/book/b492289.html
それに、筑摩選書で昨年暮れに出た武田徹『ずばり東京2020』
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480017208/
でありまする。

前者は、岩波のこの文庫、よくまあこれくらいまで文庫に入れたなぁ、と驚くギリギリ感漂うもので、恐らくは2刷は難しい、あるだけでオシマイの類いだろうから、こりゃ買っておかないと。後者は、何を隠そう、やくぺん先生に人生で初めて「原稿を書いて金を貰う」というアルバイトをくれた研究室の同輩というか、先輩というかで、日本語文化圏最高の大文筆業者の著作に真っ向から挑戦する恐れを知らぬ題名といい、えええ今は大学の先生やってるのかぁ、でも相変わらずやなぁ、と苦笑しつつのお布施であります。これ、褒めてるんだからね。

そうそう、去る土曜日には、浅草橋の出版社さんの某音楽雑誌も、ホントに四半世紀ぶりくらいに銀座のヤマハでお金を出して買いましたっけ。ま、それはそれで別ネタなので、また暇つぶしに、いずれ。

なお、「目の前にあるものは全て限定品と思え」という商品は書物だけではなく、CDやらDVDもそうなのでありますが、それもそれでまた別の話。本日これから目の前にタレイアQのCDが売っていようが、買いませんっ!まだそっちはどう処理出来るか見えてないんじゃわ、ゴメン。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。