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他人様のやるインタビュー [売文稼業]

やっと某専門誌からミュンヘンの記事のレイアウトが決まったと連絡があり、原稿作業に着手しております。で、インテグラが本選を終わったあと、結果発表までの間に楽屋でやったインタビューがあるよ、共同通信さんと一緒だけど、と伝えていたら、予想外なことにそれも囲みの形で小さな記事にしろ、とのお達し。かくて今、テープ起こしを終えたところ。ふうう…

無論、中身については「来月頭発売の本紙を見よ」なんですけど、いろんな意味でなかなか興味深いなぁ、と思ったです。何を言いたいかといえば、「一般記者さんというのは自分が全然判ってないことを記事にしないといけないんだから、とんでもなく難しい商売だなぁ」という当たり前過ぎる感想と、「やっぱり小生らのような専門記者というのは視点が極めて狭くなってしまうのであーる」という己に対する反省でありました。

国際コンクールの結果が日本語の各メディアにニュースとして取り上げられ、大いに話題になったり、へぇそれがなんなんだいだったり、ってのは皆様よくご存じでありましょう。そんなニュースのソースって、実は往々にして共同通信などの通信社で、通信社が各メディアにニュース記事を売り、メディアはそれを買って、自分の媒体に掲載するわけですね。ミュンヘンのクラスのコンクールでも、NHKや大手新聞社が自分の記者を派遣するなんてことはまずありません。そもそもミュンヘンなどというドイツで最大の州の州都でも、自前の支局を持っている日本のメディアはひとつもないんじゃないかしら。かくて、日本でも名が知れたコンクールで日本人参加者がファイナリストになったりすると、ことによると優勝してくれるか、入賞でもその音楽家の地元の新聞やテレビ局が「我が市出身の若い音楽家が〇〇コンクールで堂々の2位」なんて報じてくれる、即ち、記事を買ってくれる可能性が大いにあるわけですから、通信社の社員記者さんが遠路遙々やってくるわけですわ。

ミュンヘンは、ファイナルに日本人が残るとベルリンから共同通信がやってくるのは毎度のこと。やくぺん先生が前回ミュンヘンに行ったのはいつだったか、ウェールズだかアマービレだかがファイナリストになったときは若い男の子の記者さんが来て、こいつがもう「ドイツの劇場」というのがどういうシステムなのかまるで知らん奴で、お前、ベルリンで劇場やホールに個人として行ったことないだろー、って呆れる困ったちゃん。なんせ、いくらプレスパスを振り回そうが、クロークのおばちゃんは背負子やでかい荷物をオーディトリアムに入れさせてくれない。でも、どんなに大きかろうが、トートバッグならOKもーまんたいなのであーる、という基本的な劇場対策すら知らない。で、客席前でもめていたりするもんだから、まあまあと間に入ってあげる。そんなとこから始まり、カメラ撮影の無言のルール(通信社さんは、大会提供公式写真じゃなく、自分らのクレジットが入る自前撮影写真を撮りたがります…カメラマン受難時代ですなぁ)、入賞者へのインタビューの仕方、審査員に話聞きたいけどどうしよう、等々。なんで俺はこいつのご指導をせにゃならんの、汐留の共同通信本社に請求書持ってっちゃうよ、って有様。

今回はどんな奴が来るんだろうか、と不安だったんですが、なんとなんと、今回ベルリンから押っ取り刀で駆けつけた記者さんは、極めて優秀な女性でした。自分が知らねばならないこと、自分が何を知らないのか、きちんと把握している。んで、いろいろ教えてくれと言うから、予選からの状況の説明とクァルテットのコンクールとはどいういうものかの基本レクチャーを休憩中にしっかりやる。で、この人は大丈夫だと思ったんで、広報さんから「終演後に話きく?」と言われていたのにお誘いし、一緒に囲み取材をすることに。こっちはいつでも話は出来るからそちらの関心で全部やって下さい、と放り投げ、横で録音機を回し、まるで「解説者」かなんかのように、インテグラの皆さんの発言がどういう意味なのか説明したり、重要なポイントを突っ込んだり。
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商売として短い原稿に必要なことを突っ込むためのポイントを押さえたインタビューをなさり、へえ、そういうことを知りたがるのかぁ、と大いに勉強になった。かくて、以下のような原稿が終演後のパーティの席でひとつ机占拠して書かれ…翌朝にはニッポンに伝わり、世間の話題となったのかならなかったのか。残念ながらインテグラは首都圏出身者ばかりで、地方紙への販売や追加取材の要請はなかったんでしょうけど。あ、西日本新聞、全文は読めないんだなぁ。讀賣朝日毎日はどういう風に記事を作ったのかしら。写真、やっぱりひとつしかないのか。
https://www.nishinippon.co.jp/item/o/986830/

ま、いくらなんでもあたしゃもうちょっと音楽ファン向けの内容の記事を入れますので、しばしお待ちを。

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