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東方教会イースター巴里の4日間 [たびの空]

水曜日の夕方にフランクフルト空港に到着、明けて翌木曜日朝6時前のICEでフランス西部を吹っ飛ばし、イースター休暇明け、東方教会暦だとイースター週末にならんとする春も盛りの華の都巴里東駅に午前10時前に到着いたしましたです。

半端に早いので、東駅優等列車ホームを出た道を延々と2キロくらい歩けば10年代に入ってからのやくぺん先生んちの定宿に到着するので、シンガポールはチャンギ空港で8時間の乗り継ぎ(巴里・オペラ座の有料配信《中国のニクソン》をラウンジで全幕眺めてしまいましたぁ)戦争真っ最中の海を左に眺め
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30時間のたびの空、やっと平らなところで数時間ガッツリネタとはいえ、いきなり巴里までのパツパツ満席の車中はインドの若いご夫婦と将来のボリウッドスター女優かって可愛らしいお嬢さんとのテーブルボックス席という恐ろしく気を遣う席で
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思いっきり「良い人モード」を使い切って既にボロボロ。不機嫌そうな顔で桜も散る運河からアフリカ系イスラムやら東方教会系の方々が多い庶民街を「巴里の北千住」ラ・ヴィレット地区に向けてダラダラ歩いて行くと、某若い演奏家さんから「今、パリにいらっしゃるんですよね、昼に遭えますか、ちょっと話しが…」との連絡。

おいおいおい、夕方には若い同業者さんと遭うことになってるし、いきなり悩める若者二連発の御隠居仕事かいなぁ、とSNSの発達をちょっと恨みつつ、宿に到着。まだチェックインが出来ないので、荷物預けて、クロウタドリさんやらキバシリさんやらの声に欧州を感じながら運河渡ってシテ・ド・ラ・ムジークまで歩き、ボックスオフィスで夜のIRCAMアンサンブルのチケットを拾い、ついでに本日発売の来シーズンのチケットを買おうとしたら、一回券は来月15日からなんでまた来てね、ともう電話はとりたくない、っておねーちゃんに手を振られる。

あとはもう、高等音楽院に勝手に入れなくなってからは、この空間ではもうここしか待ち合わせ場所がないシテ・ド・ラ・ムジーク隣のカフェ・ド・ラ・ムジークに座り込み、途中で宿まで戻りチェックインしてくる中座を挟みつつ、昼から夕方まで延々と若い人の愚痴聞き二件。
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慌てて大人気の若手シェフ&ユジャ・ワンなんてこれ以上の人気カードはないパリ管に走る若い同業者さんを横目に、同じ大混乱の入口ながら大ホールとは一転してノンビリモードの小ホールで長野秀樹さんのブーレーズなんぞ気持ち良く拝聴し
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まだ《悲愴》真っ最中の大ホールを横目に、この空間なら確実にヘリ4機離着陸できるなぁ、と思いつつ夜の公園抜けて宿に戻り、ぶっ倒れるパリの夜なのであった。

一夜明け、時差調整のお休み日のつもりだった東方教会イースターの金曜日、昨日のカフェではまだ話し足りなかった若き同業者さんがアパートのある某所に貧乏人バスで戻る前に、ちょっとお昼でも…とのことで、またまたのこのこと北駅近くまで地下鉄乗ってでかけていき、世間は年金受給年齢引き上げ抗議集会で市内は要注意との連絡がニッポン国外務省さんから来てるものの、北駅前なんてスリと置き引き注意のいつものここは京都かフィレンツェか、はたまたゆふいんは湯の坪街道か、って状況。大人気のパン屋さんに観光客です、って顔をして並び
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イートインに陣取ってバス出発まで延々とまたなんのかんのなんのかんの。じゃあまた、と去って行く若者ぐぁんばれ、と願いつつ、運河沿いの規模だけは世界で一番デカそうなスーパーに行き、日曜夜までの食材買い出しを済ませたら、もう疲れてしまって、買って来たパエリア二人前をチンして半分喰らって、パリ管チケットにならんだりもせず、寝てしまう爺なのであったとさ。

んで、東方教会ブラックサタデー、朝から目の前の枝にやってくるコガラやらシジュウカラやらアオガラやらを眺めつつ
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ひたすら泥縄勉強。夜は友人夫妻と、音楽院向かいのこの辺りではここしかないレストランで夕飯、というだけの予定が、なんのかんので急にセーヌ河畔の「多様性美術館」としかいいようのないところのオーディトリアムでル・バルコンがオーストラリア人作曲家のテノールとバリトンと小編成オケ(ヴァイオリン無し)と映像コラボ作品をやるという。ル・バルコンの何でも屋スーパー裏方くんに連絡すると、自由席だけど全体が見えるのは前の方の真ん中だけだから早く来い、と言ってくるではないの。6時開演なんだけど、慌てて地下鉄乗り継いでアルマ橋まで辿り着けば、もうそこは東京天樹眺める吾妻橋状態
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その向こうに聳えるパリのクレムリンみたいなロシア文化センターがキラキラとイースターの光を浴びてら。人を掻き分けるようにあずまばしじゃなくてあるまばしを跨ぎ、オーディトリアムに据わると、おおお、今日はマキシムくんはどっかで指揮のお仕事してるんで指揮者は誰なんじゃと思ったら、懐かしや、コロナ前の金沢にマキシムくんチームで客演しベルク《室内協奏曲》独奏弾いた、《光の土曜日》のルシファー君ではないかい!

へえ、これがル・バルコンの日常業務なんね、といろいろ思いつつ、またまたラ・ヴィレット地区に戻り、パリ管、フィルハーモニー、音楽院関係者御用達の混雑したレストランで、昨年初夏に温泉県盆地のオフィスを尋ねてくれて風呂に入っていってくださった友人夫妻と歓談。ま、基本は碌でもない話で、今の地球上、まともな政府は存在していないという結論に達し
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じゃまたね。土曜の夜も騒々しい公園と運河越えて戻って来て、すっかり出来上がっていて何もせずにぶっ倒れてしまうのであーる。

かくて、当ツアーパリ滞在4日目にしてやっと本来のお仕事、バスチーユへとデュダメル指揮ハンプソン&フレミングの《中国のニクソン》最終公演に参りましょか。終演後にアフタートークがあり、終わると7時かぁ、夕飯はチキン暖めて、と思ってたら、またまた当地にお住まいの別の同業者さんから「明日まで居るんだって、遭える?」との連絡。これはチキンは無理しても昼に喰ってしまわんとマズいなぁ。なんせ明日は朝の6時過ぎにはオルリー空港に向かわにゃならんので。

田舎者の隠居には、大都会巴里は据わってるだけであちこちから人がやってくる街。これが都会というもの、なんじゃろなぁ。

来週の今頃は、もうシンガポールに向けて帰国の途。ノンビリ巴里の4日を終え、残るあっという間の1週間、マドリード→フランクフルト→ホンブルク→ベルリン→コットブスと駆け抜けながら、原稿やっつける難行苦行のたびの空、いよいよ本番の始まりじゃ。

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