SSブログ

弦楽四重奏の配置について [弦楽四重奏]

些かどころがガッツリ旧聞に属し、惚け老人候補やくぺん先生個人としても南の島シンガポールやら新帝都の祭りの彼方の記憶になりかけていることなんだけど、こういう演奏会がありましたです。
365936755_1394216547822551_8059128008172444032_n.jpg
演奏しているマイ・ハート弦楽四重奏団ひろしまについては、こちらをご覧あれ。
https://takashiokita.jp/

要は、そろそろ高齢者くらいの世代の広響ベテラン団員さんなどがやっている、オケベースのローカル団体です。当電子壁新聞を立ち読みなさるような酔狂な方なら、やくぺん先生が使う「ローカル」という言葉はネガティヴな意味ではないとご存じでしょうから、ま、どーのこーの言いません。この団体の活動やら評価やら、知りたかったら勝手に調べて下さいな。

んで、翌日に遙かシンガポールに向かうというこの日、わざわざ関空対岸の宿に仮眠みたいな宿泊をすることになっておったわけですがぁ、そんなときに大阪は伊丹空港最寄り阪急駅から15分くらいの川西能勢口駅南口真ん前の駅ビル「アステ市民プラザ」上層階に入ったアステホールなる半端に広いコミセン講堂みたいなところでこの団体がドヴォルザークの作品105なんぞ弾くとなれば、まさか知らんぷりもできまいて。かくて、朝っぱらに温泉県盆地からバスで熊本空港まで向かい、台風であちこち混乱、到着が遅れるANAさんのダッシュ8君に無事に飛び乗り、阿蘇眺めながら豊後竹田、大分半島先っぽ空港を眺め、瀬戸内海の島々を跨ぎ、今晩はあそこに泊まるんじゃなぁと関空島対岸の本来ならばツィンビルになる筈だった半分が大阪湾の光に逆行を晒すのを見下ろし、伊丹空港に着陸。なんとか開演時間に駆け込めた次第。

この団体には、知る人ぞ知るもの凄い特徴があります。それは、こちら。ほれ。
365988999_1336251733994254_3069910315788283176_n.jpg
お判りかな。配置であります。

弦楽四重奏の配置はどうあるべきか、永遠の正解のない議論でありまするがぁ、正直、歴史的には正解などない、というのが正解でありましょう。演奏するご本人らが弾きやすく、聴衆を想定している場合には聴衆にとって猛烈におかしなバランスになるとか物理的に聴こえないとか、そんな困ったことにならない限り、どんな風に座ろうが立とうが、はたまたヘリコプターに乗り込もうが、そのグループのお好きなように、はたまた作曲家さんが指定したいならまあ敬意を持って可能な限りはそれに従ってあげましょうか、って以上のことは言えません。

とはいえ、やはり結果として行われている配置にはいくつかのパターンが出来ているわけですが…このマイ・ハートQ という団体、恐らく一回こっきりの臨時編成ならともかく、メンバーの交代はあろうが数十年に渡って活動してきている団体としては唯一無二の、トンデモない座席配置で弾き続けているのですよ。

上の客席から眺めたスチール写真では、開演前にガチャガチャ椅子が置いてあるだけのように見えますので、動画でご覧あれ。ほれ。昨年の収録のようですね。
あれ、チェロさんがいつものメンバーじゃないような気がするけど、ま、そこはそこ。ご覧のような絵面ですわ。なかなか衝撃的ですよねぇ。弦楽四重奏にお詳しい方であればあるほど、この映像眺めて、頭がクラクラしてくるでしょ。なんじゃこりゃあああああ、ってね。

ちょっと斜め方向を向くように客席を向いた椅子が前後2列並んでいる。演奏家が出てくると、前列は客席から見て左が第1ヴァイオリン、右がヴィオラ。奥の列は左が第2ヴァイオリンで、右がチェロです。で、前列の2人は後列の2人を振り返って見ることもなく、みんな客席方向を向いたままで演奏します。つまり、第1ヴァイオリンとヴィオラは、第2ヴァイオリンとチェロとのコンタクトは完全に音のみ。アイコンタクトなどは一切ない、ということ。

動画では「へええ」って感じでしょうけど、これ、ライヴで眺めると、ちょっと驚きますよ。実際の音の出方は、下手から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、と半円で座っているスタンダードな配置と、見かけほど大きな違いはないんですけどねぇ。

なんでこんな配置をするのか、正に「誰もやらないには訳がある」だろうことを敢えてやっているのですから、演奏している方々にはハッキリと意図や意味があるのでしょう。その部分を突っ込んでる同業者さんの記事やら、演奏家さんたちが説明している文章などは、寡聞にして目にしたことがありませぬ。

じゃあ、お前、自分で尋ねろ、って言われるでしょうから、もうこれでこの話はオシマイ。関心のある方は、演奏会に出かけて、直接きいてみてくださいな。

この演奏会、もうひとつ極めて興味深いことが。当日配布の刷り物、ピラっと開くと、こういうページがありました。
IMG_E7870.JPG
お気づきかな。真ん中から下のところ、川西市長、広島市長の前に、「衆議院議員 岸田文雄」さんの祝辞が刷られてるんですね。

え…でしょ。さすがにこれは当日MC担当だった川西出身のヴィオラ奏者沖田氏も説明が必要だと思われたか、客席に向けて「内閣総理大臣という肩書きでこういうところに祝辞などをいただくには、官邸の面倒な手続きが必要でなかなか大変でして…」とのこと。そーり大臣になる遙か前から、広島選出の衆議院議員として支援してくれているので、そっちなら問題ない。で、こういうことになってるんだそーです。

いやぁ、世の中、いろいろ難しいことや判らないことがまだまだ沢山あるなぁ。ちなみにマイ・ハートQ、この演奏会の後に広島の三次市でドヴォルザークの作品105と106の録音をしたそうな。残念ながら、というべきか、録音パッケージになってしまうと、この配置 だと判らないんですよね。その方が良いともいえるんだろうけどさ。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。