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盆地の花火はサウンド・インスタレーション [ゆふいんだより]

ニッポン国は敗戦記念日、お隣の半島は光復節、ニッポン宗主国アメリカ合衆国はVJDayのお盆中日、今年はすっかり「大型台風関西直撃本州島横断」で、78年も昔のことは各文化圏なりの近現代史の枠に収まったそれぞれの伝説が語られるだけの夏の祭りになってしまっておりますが、皆々様はいかがお過ごしでありましょうぞ。

やくぺん先生ったら、新帝都での諸雑用を終え久しぶりに商売原稿をひとつ入れ、そのままあと数日滞在すれば山本ファミリー創始者顕彰コンサート、エク浜離宮に登場、そしてなんで今来るのだチャイナフィル《空海》、と、本来ならば聴きに行かねばならぬ類いの演奏会がぎゅうぎゅう並んでいるのを横目に、関西にドカンとノンビリ陣取る台風を北側の日本海岸ギリギリくらいの迂回で飛び越え
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夕方には温泉県盆地オフィスに戻って参りました。こんな飛行ルートねん。
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上の写真はグリニッジ標準時の6時13分、この地図に拠れば正に鳥取のコナン空港上空辺りでんな。台風は反対側の窓から直視出来た筈じゃのぉ。

明後日〆切の大きな原稿、電話会話禁止のシン・ゴジラ目線勉強部屋や暑すぎて無理なノマド場ではちょっとやれそうもなく、仕方なしに仕事場に急がにゃなあん、ってことで「仕事場に来た」ということであります。とはいえ盆地に来たら来たで、2週間ほおっておいた畑の処理やら、雑草やら、ほーほーご飯場の面倒やら、急いでやらにゃならんことはあるんだけどさぁ。

とにもかくにも、ここ温泉県盆地の田舎町、葉月中日はガッツリお盆の中日らしく、人口9千人の小さな町なりのお盆祭りが開催中の駅前に空港からの直行バスは辿り着くのじゃ。こんなローカル祭りじゃわい。
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駅前は由布院太鼓アンサンブルのパーフォーマンスを待つ若い善男善女、とてもこの盆地にこんなに若い奴らがいるとは思えんから、たまたまこの日に世界各地から観光地にやってきていたお客さんたちなんでしょーなぁ、殆どが。

ま、それはそれ。で、この田舎の祭り、ご覧のように最後は花火で締め括られるんじゃが、隅田川花火大会やら東京湾大華火、はたまた葛飾柴又の花火大会とは違って、ホントにお盆のご先祖様への生きる人間らの大サービスページェントで、祭り締め括る最後の午後8時45分から9時までの15分程度の規模。観光地とは反対側の駅裏田圃の真ん中からどかすか打ち上げ、はい、これで夏はホントにオシマイ、次は月末の映画祭ですからねぇ、ってもんです。

幸か不幸か、やくぺん先生オフィスからゴミ出し場に向かう田圃の真ん中は、地元民しか来ないようで、数週間前の盛夏の朝はこんな風景のところ
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それがさっきは、こんなであります。
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やくぺん先生が到着する前から由布岳は雨雲の中で、小雨も落ち、果たしてやれるのか、タクシー運チャンも懐疑的だったんだけど、そりゃやるわいな、準備しちゃったんだから。ただ、半島先っぽの空港では渦巻いていた台風に吹き抜ける暑い湿った西風も盆地はすり抜けるのか、この田舎の花火は煙が消えてくれず、カメラマンの皆さんには残念至極なんじゃないかな。

今年は光の後ろの浮かび上がる由布岳の姿もなく、結果として、この盆地の花火の最大の魅力は周囲の山並みに跳ね返り複雑に響く音だ、という事実がハッキリと観衆の前に示されることになったのであーる。

大川花火は見えないところから聴くもの、とお江戸洒落者は言ったが、温泉県盆地の花火はクセナキスも泣いて喜びそうな山塊が造る複雑なサウンド・インスタレーションなのであーる。そして、カエルと虫が歌う静寂。

往く夏の 盆地を満たす 音響華

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