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霜月欧州『戦後のオペラ』名曲選ツアー日程 [現代音楽]

行くことはもう半年も、ってか、敢えて言えば数年前から決まっていた来月半ば過ぎの欧州ツアー、やっと日程と動きがフィックスしました。

もう「世界のメイジャー弦楽四重奏コンクールは全て顔を出す」というホントの現役現場からは引退し、そろそろこの業界の最若年世代、特に北米大陸の動きに関しては皆目分からなくなってきており、インテグラが北米の中でどのような位置付けにあり、同世代にどういう奴らがいてどんな動きをしており、どんなポジションを狙えるのかなんて、見当もつきません。欧州に関しては、10年代半ばくらいにでてきた自分が見ていけるマルメンQとかシンプリーQなんぞいちばん最後の世代、それから引退宣言後も結果としてエピローグみたいに眺めることになっているレオンコロQなんぞはそれなりに関心があるけど、ヴィジョンQより後ぐらいになるともうわからん。

ニッポンはサントリー室内楽アカデミー3期生以降、旧東京Q翁らが講師に戻って来てからの連中は、なんだかわけがわからぬ。もう、東京の連中は勝手にやってくれ、という感じ。それよりも、ローカルな動き、それと福岡板付空港から直ぐに行けるアジア圏の方が面白くて、いきなり超激戦区になった韓国や、本気で室内楽を育てていこうとしているプロデューサーが動いているシンガポール、はたまた天津ジュリアード音楽院に住み込んでしまった上海Qが育てている連中がどうなるのか、って方が遙かに関心がある。

かくて、今ややくぺん先生唯一残った「現役」やり残し事項といえば、「『戦後のオペラ』で執筆担当した作品の舞台上演を全て眺める」
https://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E5%BE%8C%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%E2%80%951945-2013-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E6%B2%BB%E7%94%9F/dp/4907223021
https://www.nntt.jac.go.jp/centre/library/publication/material/opera03.html
って自己満足だけになってしまい、もう金になる仕事激減で遠くに出かける資金も乏しい生活の中で、なんとか工面して年に一度くらいは続けたい渡欧の目的ったら、「シュトックハウゼン《光》チクルスを全部ライヴで聴く」が人生の最優先事項となっているのじゃわい。なんせそんなものに関心を持ってくれる日本語文化圏の媒体など紙であろうがWebであろうが一切なく、取材ともいえぬ一切金にならん娯楽って現実が、なんとも清々しいではないかぁ、うぁああああっはっはっはぁ!

てなわけで、この秋は今やあれよあれよと偉い人になりつつある鬼才マキシム・パスカル率いるル・バルコンによる《光》チクルス、コロナ禍を挟みいろいろすったもんだあった挙げ句、《木曜日》、《土曜日》、《火曜日》、《金曜日》に続く第5弾、なんとなんと最後にすると勝手に思ってた難物《日曜日》ステージ上演が、来る霜月渡欧の目的なのであーる。それにしても、ヘリコプター飛ばさないとならん《水曜日》と、今やアメリカ合衆国では上演不可能ではないかとすら思えるポリコレなんて一切念頭にないシュトックハウゼン的な独断と偏見極まった差別表現溢れまくる《月曜日》を残してしまったわけで…無論、マキシムくんには勝算あってのことなんじゃろが、どーするんじゃろね。

このプロジェクトをオペラ・コミークからフィルハーモニー・ド・パリに持ってきたディレクター氏がボルドーに転出してしまった今、どうなることかと思ったが、ともかく「いちどやってみる」というくらいの肩に力が入らない形で続いているようで、実質上オペラとしてのストーリーなど皆無で、チクルス最後に置かれたミハエルとエヴァの巨大な結婚ページェントのような《日曜日》、長大にしていろいろ上演上の無茶が要求される全5部をふたつに分けて、まずは2時間半ほどの第1部と第2部を11月16日と17日に2公演、会場はシテ・ド・ラ・ムジークの楕円形のホール。
https://philharmoniedeparis.fr/en/activity/opera/26250-karlheinz-stockhausen-sonntag-aus-licht-scenes-1-et-2
間に休みを挟み、まだ4時間半もかかる残りの第3部から第5部は隣のフィルハーモニー・ド・パリを会場に、20日の1回のみ公演。
https://philharmoniedeparis.fr/en/activity/opera/26117-karlheinz-stockhausen-sonntag-aus-licht-scenes-3-4-et-5
客席としては前者は後者の半分くらいですから、実質的には「全体で7時間かかるアホみたいに長い作品を2つに分け、別公演として行う」ってことですね。つまり、「《神々の黄昏》は長すぎるから、序から第1幕までと、第2&3幕は別公演として上演する」みたいなもんです。

どうやら我らがマキシムくん、数年後にはマジでシュトックハウゼンは夢にも考えていなかった1週間での全曲上演をやる気満々。そっちがホントの本番とすれば、個々の7作品上演はそこに向けたGPというか、ともかく実際にいちど全部観客を入れて音を出してみて、御大がト書きで指示していることがどこまで現実化出来るか試してみる、って感じですね。

やくぺん先生とすれば、コロナ禍で《月曜日》の予定が規模が小さくル・バルコンの規模でもなんとかなる《火曜日》を先にやってしまった回は当然ながら極東の島国を出られなかったわけで、残念ながらこれは観られてません。ま、《火曜日》は第1部「ミカエルとルシファーの運動会」をオリジナル雅楽版でサントリー夏フェスでやってくれて、第2部「宇宙大戦争」はアムステルダムで3夜でやった《光》抜萃でまるまる取り上げてくれたお陰で、結果として全曲をライヴで聴いていることになってるので、物理的な難物《日曜日》をクリアー出来ればライヴで接していないのは《月曜日》だけになり、どうやら死ぬ前に全曲ライヴで拝聴は出来そうな気がしてきているぞ。うん。

そんなこんな、せっかく大枚叩いて欧州まで出かけるんだから、《光の日曜日》は前半2回と後半1回公演の全てを拝聴する予定。で、この上演を挟んで、今年は生誕100年で盛り上がるリゲティの《グラン・マカブル》が14日ヴィーン
https://www.wiener-staatsoper.at/en/season-tickets/detail/event/995140188-le-grand-macabre/
そして《光》お休みの18日にはフランクフルトで上演されているので
https://oper-frankfurt.de/de/spielplan/le-grand-macabre/?id_datum=3507
それらを拝聴。それで終わりの筈が、なんと23日には昨シーズンのバーゼルで出されて物議を醸したなかなかトンデモな演出のグラス《浜辺のアインシュタイン》がシテ・ド・ラ・ムジークの楕円形ホールで上演される
https://philharmoniedeparis.fr/en/activity/opera/26308-philip-glass-einstein-beach
という、ラッキーだかアンラッキーだか(だって、この演出、コンセプトを眺めただけでやくぺん先生は昨年の横浜版以上に怒りまくることはミエミエなんで…)。

グラスの翌日、怒りのパワーでドゴールを出てバルカン、戦火未だ止まぬ黒海南岸、アゼルバイジャン上空からゴビ砂漠跨いで北京ビーコン拾い、半島越えて東京湾岸六郷河原空港に戻るや、翌日は日生劇場でヘンツェ《午後の曳航》が待っていて
http://www.nikikai.net/lineup/gogonoeiko2023/index.html
目出度くも有り難くも、墺仏独日股にかけた2023年『戦後のオペラ』4作品一気観弾丸ツアーは終わるのであったぁ。ふうううう…

細かい日程を記すはずが、もうどーでもいい気分になってしまった。近付いたらいずれ。

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