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4億7152万円 [音楽業界]

この数日来、小生は心から石原都知事に感謝しているのだ。

あの謎の施設「トーキョーワンダーサイト」を一生懸命メディアに宣伝なさってくださり、普段は自分が払った都民税が芸術文化にどのくらい用いられているかなどまるで関心のない都民に文化予算の額をアピールしてくださり、果ては「都民の予算を文化に用いるのはディレクターやプロデューサーの権限で、文化のプロではない議員や役人は都知事たりとも関与しない」という業界構造の教育までなさってくださっているのだから。

本当に、イシハラ都知事には頭が下がります。己の票を減らしてまで愛する息子をかばおうとするお姿にも目頭が熱くなります。うん。ああ、なんと子供想いで心の優しい方を我々都民は都知事にしているのか。かつての「子供はスパルタで育てろ」と叫んでいた鬼のような姿から一変、今や息子のために馬鹿なマスコミや息子の芸術の価値も判らぬ愚かな共産党議員とお戦いになられるなんて、おおお、なんと麗しい親の愛!

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イシハラ都知事への礼賛は、このくらいで充分。みなさんも、上に挙げた某新聞から切り抜いた数字をじっくりと眺め、都知事の我が子への愛の深さに感じ入ってください。情報の出所は、こちら都議共産党の報告。http://www.jcptogidan.gr.jp/html/menu4/2006/20061122162731.html
共産党さん、水戸芸術館のときも一生懸命反対なさったり、冗談じゃなく、こういう団体がいないと惰性に陥るのだから、これからも頑張ってくださいね。イシハラ都知事とは最強コンビですな、本人らは絶対にそうは思ってないでしょうけど。

「トーキョーワンダーサイト」については、我が家でもその創設期に不思議な出会い(というか、出会い以前)がありました。こちらをご覧あれ。http://sqcafe.at.webry.info/イシハラ都知事とは仲良さそうなフジテレビのフジテレビ・アート・ネットで取り上げようと取材を試みたけど、なんだか全然相手が体を成さず結局やらなかった、という小生自身の摩訶不思議な経験もあるし。指定管理公募に向けた準備がまるで進んでないという話もあるので、そっちの方から眺めることになるかな。

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さて、昨日の夕方から、かつての鈴木都知事が見果てぬ夢をみた「東京都市博」の夢よもう一度、イシハラ都知事が壮大な夢を見てらっしゃる「東京オリンピック」のメイン会場たる晴海埠頭横の空き地裏のホテルに、ボロメーオQが滞在しています。

中央区湾岸地域で芸術提供を行うNPOトリトン・アーツ・ネットワークが満を持してスタートさせる事業、「アーティスト・イン・レジデンス」略してAIRの、最初のトライアルが始まりました。

要するに、ショート・ターム・レジデンシィです。それこそ、トーキョーワンダーサイトで知事さんがやろうとしている「芸術家がその場所に滞在して芸術を提供する」というやり方。http://www.tokyo-ws.org/aoyama/info.htmlま、流石に我々都民から強制的に取り立てた税金から4億円も出してやってる組織だと、青山のど真ん中なんて猛烈に派手で目立つお洒落な場所でやれるわけですが(なんせ芸術家滞在場所の確保だけで年間7000万円という、TANの年間活動費の倍近くのお金を使ってるそうな、ホントかね)、あちこちの企業や個人に頭を下げ積んで貰ってるお金でやってる貧乏NPOではそんなことはとても出来ん。
地域の宿とスタッフが交渉し、地元のよしみで商売ギリギリの額までご協力いただき、なんとか1週間程度滞在するのが限界。それでも、ボロメーオQクラスの演奏家(日本での世間的な評価はともかく、北米マネージャーのロースターではハーゲンQなんぞと同等クラス)が、宿代が猛烈に高い東京に1週間も滞在し、学校やら、病院やら、児童館やらに連日でかけ、地元コミュニティオーケストラを指導し、本番の演奏会も地元のちゃんとしたコンサートホールで行う、というアクティビティは、音楽事務所が差配する興行としての来日公演ではあり得なかったやり方です。似たやり方はエクが富山の入善でやっていて、今回のケースはその満を持しての都心ヴァージョンでもあります。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/archive/20051118
いわゆる美術のアーティストの場合は、金沢の21世紀美術館など、都市部にできた新しい公共美術館ではアーティスト・レジデンシィというのをやるのが普通になってますが(トーキョーワンダーサイトもその例ですね、って、青山はまだ誰も滞在してないそうですけど…ホントかね、いやはや)、学芸員制度が確立していない音楽では極めて珍しい。過疎地の公共施設運用ならともかく、都市部、ましてやTokyoでやろうなんて業界常識を越えてます。

本日は早速、月島豊海人工島の南のはずれ、大川対岸は築地の魚河岸で、運河の向こうはそれこそ晴海のオリンピック競技場予定地にある、リチャード・ギアが宣伝する湾岸で一番高いツインマンション「Tokyo Towers」の麓の小学校にアウトリーチに訪れました。

NPOトリトン・アーツ・ネットワークには、この春から新しい武器が配備されました。資金提供者のひとつJPモルガンが「このお金でアウトリーチの際に子供達が実際に楽器に触って親しめるように、子供用サイズの弦楽器を買いなさい」と30万円也を寄贈されたんです。で、スタッフが頭を捻り、その額で子供サイズのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどを揃えました。残念ながらすべてのサイズのすべての楽器は揃えられませんでしたが、それでもピカピカのちっちゃな弦楽器がTANのオフィスの一角に並ぶようになったわけです。先日のクァルテット・エクセルシオの佃児童館アウトリーチで使用したのも、それらの楽器でした。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/archive/20061201

んなわけで、今日はボロメーオQが小学校に行き、4年生40数名を4つに分け、ニック、クリス、まいちゃん、イーサンがそれぞれの楽器を担当、実際に楽器を触って貰い、音を出してみる、という体験をしたわけです。ニックに同行するゴールドベルク男爵は、その間はケースに入ってお休み。

窓の外にレインボーブリッジとお台場のフジテレビを眺める音楽準備室で、イーサンが4年生にチェロを指導しています。無論、こんなでっかい楽器に初めて触った子です。
蛇足ながら、アウトリーチ、それも都市部のアウトリーチの広報は非常に気を使います。この写真も、スタッフから人手が足りないと急に引っ張り出された小生が自転車で清澄通りをチャリチャリ下りTAN広報用に撮影した200ショット近い中で、「子供の顔があまり特定できず、でも何をやってるかが伝わる」、というキツイ条件をクリアーしたほんの数枚のひとつ。たーいへんなんよ、誉めてもらいたいね。えっへん。

もとい。なんにせよ、今日のアウトリーチは、SQWのメインスポンサーでもあるJPモルガンさんからの30万円の提供と、TANのスタッフと、数人のTANサポーターと、アドヴェント・セミナーでTANの活動に関わった数名の若い音楽家(楽器を弄るアウトリーチではどうしても専門家の手伝いが不可欠で、エクの佃児童館アウトリーチでは、アマオケマンA君とO君がサポーターとして参加してくださいました)、それに言うまでもなく学校の先生方のご協力、それらがあってやっと成り立った。
TANというNPOも、虐めに近い面倒な審査を経てどうにか東京都の認可が下り、活動を開始して5年目にして、やっとここまでのことが出来るようになった。感慨ひとしおですなぁ。そろそろ第一世代の出番もオシマイかな。

イシハラ都知事、4億数千万円あっても、これらの人々のサポートはお金では買えません。次はもう一度心を鬼にして、「トーキョーワンダーサイト」の予算を5分の1にして運営させてみてはいかが。あなたがまだ獅子の魂を持つなら、愛する者たちを谷底に突き落としたまえ。そうしてこそ、芸術団体は育つ。死ぬならば仕方ない。それがホントの愛…かもよ。

さても、本日から始まったボロメーオQの湾岸滞在、明日は午後3時から豊洲の芝浦工大に向かいます。一般公開のミニコミュニティ・コンサートですので、晴海、佃、豊洲地区の皆様、おそろいでいらっしゃいませ。このページから「SITコミュニティコンサートのお知らせ」というところをポチョと押してください。http://www.shibaura-it.ac.jp/チラシのPDFファイルが開きます。


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リス

先生、撮影お疲れ様でした。このアウトリーチは2校時にまたがる拡大ヴァージョンで、後半は弦楽四重奏団を4つに分けて、10数名の子どもたちに楽器体験をするというものでした。それぞれの部屋でやっていたことは異なり、ただ全員が必ず楽器に触れるという方針の45分プログラムでした。
by リス (2006-12-08 21:48) 

Yakupen

子供さんの顔が不鮮明だけど他のスタッフやらやってることが全部判る、という最高ショットは、実はもう一つありました。クリスがやったクラスの奴なんだけど、なんとその子はヴァイオリンを「週に1回くらいやってる」という子で、その子が持ってきた楽器だった。だから、残念ながら、このシチュエーションの記事ではボツ。でも、一般の広報用には最良のショットのひとつなので、是非とも広報用にお使い下さいませ。先生を加えた記念撮影が出来なくて残念でしたけど。
by Yakupen (2006-12-08 22:00) 

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