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イースターにはハイドンを聴こう [弦楽四重奏]

3年に1度、おおよそ1週間ほど滞在する英都大川端倫敦は、コンクールの日程の都合もあって、常にイースター休暇前となります。結果として、小生にとってみれば、セント・ポール大聖堂を筆頭に(なんせ2000年まで大会の会場だったゴールドスミス・ホールはセント・ポールから徒歩5分のシティのど真ん中だった)、英都の教会だとかコンサートホールは、まあ年がら年中受難曲やら復活祭の音楽をやってる場所だと思い込んでしまってるわけです。今年も、かの有名なトラファルガー広場に面したセント・マーチン・イン・ザ・フィールド教会までジャスパーQのランチタイムコンサートを眺めにいったら、もう表には「メサイア」だとか「マタイ」だとかの張り紙だらけ。ああ、イースターだなぁ、ってね。ほれ。
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そんな英都から戻って我がTokioを眺めるに、アッとびっくり。だってさ、まるでイースターには思えないんだもん。流石に聖金曜日の今日はオペラシティで「メンデルスゾーン蘇生版マタイ」なんて一粒で二度美味しい系の色物楽譜が大真面目にやられていて(CD持ってるけど、ちゃんと聴いたことないぞ)、最低限のそれっぽさは醸し出しているものの、「いやぁ、この季節は最後の花見でしょ」って空気の方が濃厚だもんね、世間は。町にイースターエッグが溢れているわけじゃないし。クリスマスがあれほどローカル祭りとしての盛り上がりを見せているのに、どうしてイースターはダメなのか。やっぱり日が固定しないからか。でも、じゃあ花祭りはどうなんじゃ。数日前に読響が涅槃交響曲だかをやったのは、花祭り記念とは思えぬぞ。

で、クァルテット好きの皆々様とすれば、この時期となれば聴かねばならぬのが、「十字架上の7つの言葉」でありましょう。そう、かの福音書4つに記されたイエスが受難を受けて一度殺されるとき、十字架にかけられてから洩らした言葉に、ゆっくりした音楽を延々と付けたハイドンの機会音楽であります。これが大ヒットして、様々に編曲され、クァルテット版は作曲者自身の手でつくられている。要するに、Ver.2.0でありますな。

この音楽、そもそもがスペインの教会が妙な場所でイエスの言葉の朗読の後を埋めるために書かれたという故事来歴があるために、どうも相当にいろんなやり方が許されている。小生が実際に経験した例では、ベルリンのシャウシュピールハウスの建ってる広場の正面右手側の教会で、イースターの日曜日に何故かロシアのラフマニノフQという団体が弾いた。すっぴんで、なんの飾りもなく弾いた。見て判るとおりのまるまるのドームなので、音が上に上がって降り注ぎ、音場が滅茶苦茶で、妙な気持ちになってきた。ま、「イースターの日だから教会の演奏会でやってみました」という例ですね。献金を数マルクしたような記憶があるぞ。

もうちょっと変わった例では、チューリッヒの市内、中央駅からトーンハレの方まで真っ直ぐ伸びるトラムが走る銀座通りみたいなところをちょっとチューリッヒ川の方へ入った教会での演奏。イースターの時期ではなかったような気がするんだけど、ともかく、どういうわけか「十字架上の7つの言葉」をカルミナQが弾き、その間に聖歌がいろいろ歌われました。そのときの演奏が、このCDと同じだったか、正直、情けないけど記憶がない。
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まだ簡単に手に入るCDだと思います。カルミナがデンオンとの録音をストップした初期のものですね。

妙な「十字架…」CDといえば、なんといっても筆頭はこれ。
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フェルメールQが最後のメンバーになって最初に出した録音で、2枚組。ひとつは真っ当な演奏だけが収められており、もうひとつは、アメリカの有名な説教者の演説がイエスの言葉にひっかけた内容で選ばれている。キング牧師の演説が聴ける公式なCDはこれだけ、ってのが当時の売りだった。国内盤は出なかったと思うけど。今だったら、絶対にオバマ演説が入るでしょうね。
今、アマゾン・コムで調べたら、扱ってない。中古サイトを見ると、吃驚するくらいの値段になってら。うぁぁ、我が家のお宝だなぁ。
http://images.google.com/imgres?imgurl=http://images.alibris.com/cover/l172485ahnc_t.jpg&imgrefurl=https://www.alibris.com/search/classical/artist/Shmuel%2520Ashkenasi&usg=__-rDZLMIPTSW7MTwoXrfkr0sXl-s=&h=74&w=75&sz=3&hl=ja&start=20&um=1&tbnid=4e7Uqs9i9nYNUM:&tbnh=70&tbnw=71&prev=/images%3Fq%3Dseven%2Blast%2Bwords%2Bvermeer%2Bquartet%26hl%3Dja%26lr%3D%26um%3D1
てなわけで、救い主がいない金曜と土曜、静かにハイドンを聴いて過ごしましょ。YouTubeにいかにもその辺の教会でやってるぽい映像があったので、貼り付けます。神父さま、演説が長い。


ライブで聴きたい方は、日曜日に晴海までどうぞ。エルデーディQが音だけですけど、弾いてくれます。きっと日本各地の教会などでは人知れずにこの音楽が演奏されている…んでしょうかね?お近くの教会の掲示板を要チェック。

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