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産業遺産解体 [たびの空]

去る週末の富山行きの話題。

数年前から、魚津&富山市内の音楽祭&セミナーのお手伝いをしたこともあり、何度富山に通ったことか。とはいえ、個人的な趣味やらなにやらで、殆どは河川敷空港に向かう飛行機。たまに陸路で向かうときは、関西から北陸本線で入ったり、酷いときなど新津から信越本線を下ってきたり。いまは廃止になった夜行でグルリと長岡回りで帰ってきたことも。で、驚くなかれ、東京駅から上越新幹線、越後湯沢でほくほく線特急に乗り換え、という黄金のルートを辿ったことは一度もなかった。

だから、ってわけじゃないけど、今回はホントに始めて上越線からほくほく線という道を通ってきました。いやぁ、越後湯沢駅って、シンプロン・トンネル抜けてスイス側に入ったとこのブリーク駅とまるで同じ空気が流れてますね。春先だからか、湿気は遥かに高かったけどさ。

んで、ちょっと吃驚したのは、この風景。
107.JPG
おてつさんには一発でお判りでしょう。北アルプスを背景にした画面右端の白く囲われた建物。そー、かの有名な日本を代表する鉄道遺産、糸魚川駅の列車庫です。松本の方からえんやえんやとやっと到着すると右手に迎えてくれた、あのレトロな赴きある建物。

誰がどう考えても、北陸新幹線の架線はこの真上以外にあり得なかったんで、どっかに移転させて保存するなんてことになるのかなぁ、産業遺産として世間が大騒ぎするかどうかギリギリくらいの建物だし、って思ってたら、保存の議論があったかなかったか、あっさり解体されてます。調べたら、こんな記事が。
http://www.e-hisui.com/
http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174662_799.html
でも、結局、保存は駄目だったみたいですねぇ。どうして最後にコンサートをしたがるんだろう。
http://www.tetsudo.com/event/2017/%E7%B3%B8%E9%AD%9A%E5%B7%9D%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%AC%E8%BB%8A%E5%BA%AB+%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%88/

もう、この数百メートル両側には、新幹線の高架線が迫っています。富山に向かう線は、意外にもこの列車庫の先で北陸本線を跨ぎ、海側に出ます。姫川をかなり下流で跨ぐと、直ぐにまた内陸に寄ってきて、北陸本線を越えて内陸に入り、大歩危小歩危はドカンドカンとトンネル連ねて駆け抜けるようです。北陸本線よりも北陸新幹線が海側に出るのは、この数キロだけみたいですね。そんなこんなで、あと4年もすると、東京駅から富山駅まで2時間とちょっとになるそうな。富山駅北口のデカイホールだったら、9時に終われば最終列車で東京まで戻って来られるようになっちゃうのかしら。北日本新聞のホールならギリギリ、お城の南のホールだったらちょっとキツイ、ってくらいかな。

ちなみに、魚津の人たちとすれば、新幹線は遥か旧洗足大学の下辺りを潜ってしまい、市内に駅はできない。富山まで行くことになるだろうけど、それだったら飛行機でも時間は同じだなぁ、って。なんせあの空港、無料駐車場完備だもんね。

消えゆくものは妙に大騒ぎされる昨今、さほど大騒ぎにもならずに消えていくものもある。それはそれで、気持ちいい。

あ、魚津で、今年最初の燕さんに会いました。もう、初夏?

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オルガンマン

某音楽ホール、職場の上司が、肝いりの鉄っちゃん。

糸魚川レンガ車庫の話題を振ったところ、PCに入れている画像を見せてくれました。機関車が入って、となりにかわいらしい列車が控え…本当に美しい建物でした。

もう日本ではほとんどレンガ車庫が消えたとのこと。
耐震性の問題もあるようですが、実のところ結構丈夫だったりするらしい。

「車庫といっても、昔は遊び心のあるデザインがなされていた。蒸気機関車も同じ」と言う上司ですが、「残すのは難しいんや」と、鉄っちゃんでもそれほどの未練を見せておりませんでした。



by オルガンマン (2010-04-23 17:30) 

Yakupen

オルガンマン様、こういうノンビリネタにコメントがあると嬉しいです。

なるほど、お鉄のボス様、そういう反応ですか。やっぱり、お鉄界もクラシック音楽程にもジャンル分けが沢山あって、鉄道関連建物系なんてのはオルガン愛好家とかピアノ三重奏マニアとかくらいにニッチな世界なんでしょうか。

この糸魚川の産業遺産、最後のイベントがコンサートだったことからも、ホントは演奏会場とかイベント会場みたいな形に移築改造するのが一番良かったのかも。昔、新日本フィルが大井町のJRで練習してたみたいに、オケの練習場なんかには最高だったでしょう。まあ、移設に2億円以上かかるという試算が出ちゃうとすると、なかなか難しいんでしょうが(オペラの引越公演なんて考えると、2億円で大丈夫なんだ、って気もしてきますけど)。

by Yakupen (2010-04-24 02:27) 

オルガンマン

やくぺん先生、

ウチのボスは、指定管理の関係上、


日本有数の機関投資家としても有名な某企業から出向しています。
メセナなんて言葉も知られていない日本で、《社長の御道楽》と揶揄されながらもど~んと劇場を建て、結果国会に召喚され、当の社長が「青少年のためにやることが何が悪い!」と言い放った、という逸話も残る企業です。

《文化》といえども霞を喰って生きていけるわけではないと一番分かっている立場のボスです。

ですから、糸魚川についてもある種の諦念を持って見ているのかもしれません。

それとは反対に、まったく規模は違うけれどこんなこともあります。
http://www.nhk.or.jp/lnews/akita/6013992741.html

音楽屋からすれば、50年以上も経ったピアノは楽器としての限界も越えているし、これを保存する、ましてや異質の素材を貼り付けてまで保存することにどんな意味があるのか?と思ったりします。

けれど、その楽器に身近に関わった人々にとっては、単なる《楽器》を超えた《思い入れ》があって、こういう保存運動につながったのでしょう。

大人から見ればただの石ころが、本人にはまるで輝く宝石。子供の頃の《宝物》に通じる、なんていったら失礼ですかね。



by オルガンマン (2010-04-24 11:24) 

Yakupen

オルガンマンさま

なるほど、ボスさまはそういう方なんですな。保存活動にとって、「見切り」というのは一番難しいけど、一番大事なところ。そういう判断が出来る人が、ホントに上に立てる人。そういう人が必要なところにちゃんといることが出来ている社会が、まともな社会であり、そういう会社が、まともな会社なんでしょうね。

その意味では、オルガンマンさんはとても環境の良いところにいらっしゃるのかもしれませんね。

ピアノのネタ、まんまミュージック・イン・ミュージアムに使えるなぁ。こういうローカル情報はなかなか拾えないものなのです。有り難う御座いました。

by Yakupen (2010-04-24 15:21) 

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