特別対談:ターサ=キンスキー大いに語る(後) [弦楽四重奏]
11月12日に東京湾岸晴海は第一生命ホールで開催される前代未聞の弦楽四重奏ガラコンサートのために、特別に新作「ラズモズクスキー・セット」をお書き下さった幻の作曲家ターサ=キンスキー氏への特別インタビュー、いよいよ後編に突入である。謎の作品の全容が、今、天下に明かされる!見よっ、これがターサ=キンスキー氏の肩越しに覗く、「ラズモズクスキー」の楽譜の一部だっつ!
なお、TANホームページに、親友の田崎氏とターサ=キンスキー氏の対談が掲載されています。そちらもご覧あれ。
http://www.triton-arts.net/blog/2011/11/04/370/
――そろそろもったいぶらずに曲の中身について教えて下さい。
ターサ=キンスキー:よろしい。じゃあ、まず最初の曲からじゃ…
――チラシには「第1番ヘ短調」とか書いてありますけど、ホントなんですか。
ターサ=キンスキー:無論じゃ。短いが、3曲ある。それぞれが楽聖の「ラズモフスキー四重奏」の1曲づつに対応しているのじゃ。
――なるほど、オマージュなわけですね。原曲を知っていればいるほど楽しいかも。
ターサ=キンスキー:ま、そうじゃな。オマージュというよりも、パロディと言ってしまった方が判り易いかものぉ。おっと、ベートーヴェンさんを笑いものにしたりしてるんじゃないぞよ。実はのぉ、この作品を構想中に、楽聖ベートーヴェンにも匹敵する日本の誇る楽聖山本直純先生のCDを、直純先生のマネージャー氏からいただいたんじゃ。交響曲「宿命」って、御存知かな。
――はいはい。「運命」が次々といろんな曲になっちゃう奴ですね。
ターサ=キンスキー:そうじゃそうじゃ。オマージュという意味では、そっちのオマージュかもしれぬ。ちょっとだけ明かすと、ヘ短調の「ラズモフスキー第1番」で始まるのじゃが、いつの間にか、ドヴォルザークの「アメリカ」になっとる。弦楽四重奏の曲だけじゃない。交響曲からピアノ協奏曲から、とにかく有名曲シリーズじゃ。
――第2番はどんな。
ターサ=キンスキー:第2番はサラッと、変奏曲風じゃ。「ラズモフスキー第2番」の冒頭和音から、ハイドンの「皇帝」の2楽章に、ってな。この楽章は綺麗なもんじゃよ。第3番だけはバッハで纏めた。自分で言うのもなんじゃが、それなりに凝ってはおる。じゃが、凝りようをほどほどに押さえ、楽しさを優先させたわい。
――へえええ。で、長いんですか。
ターサ=キンスキー:いや、それほどでもないわ。各曲が5分くらいじゃ。
――3つの団体が1曲づつを弾く、ということですか。
ターサ=キンスキー:違うわい。1曲の中で各団体がまわっていくんじゃ。んで、第3番の終楽章になると、3つの弦楽四重奏団が同時に演奏することになる。
――おおおおお、最後は11声部のフーガですか!
ターサ=キンスキー:そこまではいかぬが、先程申したように、スコアは8段になっちょる。
――へえ、なんかシェーンベルク編曲みたいですね。
ターサ=キンスキー:実は、かなり複雑なことをやっておる。11月12日の本番会場に来ていただくと、前代未聞の袋とじ当日プログラムが用意されておって、曲の種明かしはそこに全部書いておくつもりじゃよ。わあっはっはっはぁ(爆笑)!
――はあ、そりゃスゴイ。つまり、「ラズモフスキー」という枠の中にいろんな弦楽四重奏の曲のお楽しみ要素があれやこれやと入ってる、ってことですね。じゃ、途中で心から笑ってしまいたいという瞬間があって、実際に笑ったら、先生は激怒なさいますか。
ターサ=キンスキー:いや、知らない人どおしが、客席の隣どおしで盛り上がって欲しいんじゃ。
――練習は大変そうだ。
ターサ=キンスキー:先程やって、本番前日にも会場でやる予定じゃ。
――失礼な言い方ですけど、もったいないくらい手間かけてますね。
ターサ=キンスキー:そりゃそうじゃ。なんせ、弦楽四重奏好きの演奏家が大真面目でバカをやってるわけじゃならの。先程、トリトンのスタッフの方にも最初の練習の様子を客席で聴いていただいたんじゃが、失礼ながらクラシック音楽についてはそれほど親しんでいらっしゃらないという方も大いに喜んでおられた。わしとしては、してやったりじゃな(笑)。
――では、第一生命ホールSQWの20周年の折には、「ハイハイドンドン・セット」をお願いいたします。
ターサ=キンスキー:おお、それはありじゃのぉ。
――本日はお忙しいところ、どうも有り難うございました。
なお、TANホームページに、親友の田崎氏とターサ=キンスキー氏の対談が掲載されています。そちらもご覧あれ。
http://www.triton-arts.net/blog/2011/11/04/370/
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――そろそろもったいぶらずに曲の中身について教えて下さい。
ターサ=キンスキー:よろしい。じゃあ、まず最初の曲からじゃ…
――チラシには「第1番ヘ短調」とか書いてありますけど、ホントなんですか。
ターサ=キンスキー:無論じゃ。短いが、3曲ある。それぞれが楽聖の「ラズモフスキー四重奏」の1曲づつに対応しているのじゃ。
――なるほど、オマージュなわけですね。原曲を知っていればいるほど楽しいかも。
ターサ=キンスキー:ま、そうじゃな。オマージュというよりも、パロディと言ってしまった方が判り易いかものぉ。おっと、ベートーヴェンさんを笑いものにしたりしてるんじゃないぞよ。実はのぉ、この作品を構想中に、楽聖ベートーヴェンにも匹敵する日本の誇る楽聖山本直純先生のCDを、直純先生のマネージャー氏からいただいたんじゃ。交響曲「宿命」って、御存知かな。
――はいはい。「運命」が次々といろんな曲になっちゃう奴ですね。
ターサ=キンスキー:そうじゃそうじゃ。オマージュという意味では、そっちのオマージュかもしれぬ。ちょっとだけ明かすと、ヘ短調の「ラズモフスキー第1番」で始まるのじゃが、いつの間にか、ドヴォルザークの「アメリカ」になっとる。弦楽四重奏の曲だけじゃない。交響曲からピアノ協奏曲から、とにかく有名曲シリーズじゃ。
――第2番はどんな。
ターサ=キンスキー:第2番はサラッと、変奏曲風じゃ。「ラズモフスキー第2番」の冒頭和音から、ハイドンの「皇帝」の2楽章に、ってな。この楽章は綺麗なもんじゃよ。第3番だけはバッハで纏めた。自分で言うのもなんじゃが、それなりに凝ってはおる。じゃが、凝りようをほどほどに押さえ、楽しさを優先させたわい。
――へえええ。で、長いんですか。
ターサ=キンスキー:いや、それほどでもないわ。各曲が5分くらいじゃ。
――3つの団体が1曲づつを弾く、ということですか。
ターサ=キンスキー:違うわい。1曲の中で各団体がまわっていくんじゃ。んで、第3番の終楽章になると、3つの弦楽四重奏団が同時に演奏することになる。
――おおおおお、最後は11声部のフーガですか!
ターサ=キンスキー:そこまではいかぬが、先程申したように、スコアは8段になっちょる。
――へえ、なんかシェーンベルク編曲みたいですね。
ターサ=キンスキー:実は、かなり複雑なことをやっておる。11月12日の本番会場に来ていただくと、前代未聞の袋とじ当日プログラムが用意されておって、曲の種明かしはそこに全部書いておくつもりじゃよ。わあっはっはっはぁ(爆笑)!
――はあ、そりゃスゴイ。つまり、「ラズモフスキー」という枠の中にいろんな弦楽四重奏の曲のお楽しみ要素があれやこれやと入ってる、ってことですね。じゃ、途中で心から笑ってしまいたいという瞬間があって、実際に笑ったら、先生は激怒なさいますか。
ターサ=キンスキー:いや、知らない人どおしが、客席の隣どおしで盛り上がって欲しいんじゃ。
――練習は大変そうだ。
ターサ=キンスキー:先程やって、本番前日にも会場でやる予定じゃ。
――失礼な言い方ですけど、もったいないくらい手間かけてますね。
ターサ=キンスキー:そりゃそうじゃ。なんせ、弦楽四重奏好きの演奏家が大真面目でバカをやってるわけじゃならの。先程、トリトンのスタッフの方にも最初の練習の様子を客席で聴いていただいたんじゃが、失礼ながらクラシック音楽についてはそれほど親しんでいらっしゃらないという方も大いに喜んでおられた。わしとしては、してやったりじゃな(笑)。
――では、第一生命ホールSQWの20周年の折には、「ハイハイドンドン・セット」をお願いいたします。
ターサ=キンスキー:おお、それはありじゃのぉ。
――本日はお忙しいところ、どうも有り難うございました。
ターサ=キンスキー氏のインタビューは、コンサートの予習として非常に参考になりました。なにしろ、何が出るのか、想像さえつきませんでしたから。
ところで3 Quartetsで11人ですから無理を承知で言わせていただければ、(主催者には申し訳ないですが)少しマンネリ気味の大晦日コンサート、この3団体でやってくれませんかね。毎年実力のバランスが悪すぎます。
Yakupenさんなら、なにか突拍子もない解決策を生み出してくれるのではないかと期待しています!
by rodrigo (2011-11-07 14:16)