選挙の街 [たびの空]
前々回の大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第３位、この秋のミュンヘンARDコンクール弦楽四重奏部門第２位、世界中の国際コンクールを制覇する韓国演奏家の唯一にして最大の弱点、室内楽部門での過去最大の成果を上げている期待の団体、ノーヴスQのミュンヘン受賞から最初の祖国凱旋公演がソウル・アーツセンター室内楽ホールで行われるので、「次に故郷でやるときには、俺は絶対に眺めに行くからな」とミュンヘン結果発表後の盛り上がりで口走ってしまったことを実行せんと今後に支障があるために、１泊でソウルに舞い戻りました。ま、そっちの話は明日にでも。なんせ掲載誌がなくなっちゃったんだもんさ。いやはや。
先週の後半に暖かい雨でも降ったのか、マイナス10度の寒気に凍り付いていた歩道の雪が随分と溶けています。暖かいわけないけど、季節が戻ったみたい。さても、本日のソウルは、大統領選挙前日の空気が流石に流れてます。空港からの鉄道のテレビモニターでも、与野党候補者の最後の遊説姿が散々に流されている。
もちろん、宿の辺りの古い飲み屋街にビジネス街が進出してきている辺りは、なんのことない普通のウィークデーの夕方だけれど、要所要所に選挙に向けたあれこれ。なんせ、「選挙に行きましょう」みたいな大壇幕が交差点などに掲げられてますから。大壇幕張っちゃう文化、ってのは日本とはちょっと違いますね。これ、与党候補者の最後の演説準備が進むところに掲げら得た野党候補の段幕。やっぱりナショナルカラーなんだ。
ソウル官庁街＆ビジネス街の中心、巨大な世宗皇帝像が数年前から鎮座して、日帝時代の支配の象徴が壊されてすっきりと裏の山（あの向こうはもう北だなぁ、って感じだが）を背景に光化門が輝くソウルの象徴的なメインストリートとなった空間では、巨大な仮設舞台が建てられて、与党候補者＆お国のシンボルカラーの赤に染められ、若者が太極旗を振り回し、凧が揚がり、候補者本人の登場まではなぜか韓流ポップスがデカイ音で流されている。
周囲は赤いブレカーの支持者さんと、人出を見込んで世宗文化会館の前に並ぶ屋台の食い物屋、帰宅ラッシュのバス大渋滞を更に悪化させる選挙支援部隊バスと、KBSなど放送局の大型放送バスがずらりと並ぶ。そんな中でも、救世軍はカランコロンと携帯端末から引っ張った音源で年末風物詩の説教をなさってる。
バスでアーツセンターまで行こうと思ったが、ただでさえ渋滞が酷いソウルの街、今日はどう考えても止めたほーが良い。で、景福宮の前から地下鉄3号線でハンガンを越えた彼方、アーツセンター至近の南部バスターミナル駅まで行き、地上に出ると、デカイ声で与党候補者オバサンが演説してるぞ。あれ、こっちに来てるの、とビックリしたら、なんとなんと、交差点の向こうに巨大なモニター車が出ていて、今、光化門前で候補者オバサンが叫んでいる映像をライブで中継している。この写真では光っちゃって判らないなぁ、真ん中に歩いているおにーちゃんの向こうにある。映像はともかく、演説の音はバスターミナル前に響き渡ってます。
なーるほど、だからでっかいパラボラのバスが横に据えられてたのね。地下鉄車内に溢れる通勤客が手にした携帯端末でも、もちろん、見られるんだろうなぁ。
広さにすれば九州と四国くらいの面積で、日本の半分くらいの人口で、その大半がソウル首都圏に住んでるという特殊な環境故なのかもしれないけど、この半島の選挙では、ライブで盛り上がる人の熱気をどうやって伝えるかがメディアの最大の仕事みたいに感じる。起きていることを出来るだけ自分の現実から遠ざけ、枠を作り、接しても怖くないようにしてあげるのが仕事の日本のマスメディアとは、ちょっとスタンスが違うみたい。アベそーさいの演説をライブで日本各地の街角に届け熱狂させる、なんてやり方、してたとは思えない。だって、そもそも我が列島の政治家は、言葉で人を説得したり熱狂させたりする気はありませんからね（たまにそういう資質のある奴が出てくると、コロリとやられちゃうんだが）。良い悪いじゃなくて、事実としてそうだ、というだけのこと。
さても、明日は投票日。泊まってる辺りに学校とかあると面白いんだが、昼過ぎにはさっさと奇妙な選挙を終えた島に戻らねばならぬ。
追記
投票日の仁川空港ラウンジです。ソウル駅からの空港特急でやってるテレビニュースでは、日本と殆ど同じシステムでの投票風景が流されてました。でも、街の中は特にどーってことはないでした。ま、そんなもんでしょ。そうそう、空港の楽師さん、今日はフルートじゃなくてクラリネットでした。やってるのは同じようなものだけど。
先週の後半に暖かい雨でも降ったのか、マイナス10度の寒気に凍り付いていた歩道の雪が随分と溶けています。暖かいわけないけど、季節が戻ったみたい。さても、本日のソウルは、大統領選挙前日の空気が流石に流れてます。空港からの鉄道のテレビモニターでも、与野党候補者の最後の遊説姿が散々に流されている。
バスでアーツセンターまで行こうと思ったが、ただでさえ渋滞が酷いソウルの街、今日はどう考えても止めたほーが良い。で、景福宮の前から地下鉄3号線でハンガンを越えた彼方、アーツセンター至近の南部バスターミナル駅まで行き、地上に出ると、デカイ声で与党候補者オバサンが演説してるぞ。あれ、こっちに来てるの、とビックリしたら、なんとなんと、交差点の向こうに巨大なモニター車が出ていて、今、光化門前で候補者オバサンが叫んでいる映像をライブで中継している。この写真では光っちゃって判らないなぁ、真ん中に歩いているおにーちゃんの向こうにある。映像はともかく、演説の音はバスターミナル前に響き渡ってます。
広さにすれば九州と四国くらいの面積で、日本の半分くらいの人口で、その大半がソウル首都圏に住んでるという特殊な環境故なのかもしれないけど、この半島の選挙では、ライブで盛り上がる人の熱気をどうやって伝えるかがメディアの最大の仕事みたいに感じる。起きていることを出来るだけ自分の現実から遠ざけ、枠を作り、接しても怖くないようにしてあげるのが仕事の日本のマスメディアとは、ちょっとスタンスが違うみたい。アベそーさいの演説をライブで日本各地の街角に届け熱狂させる、なんてやり方、してたとは思えない。だって、そもそも我が列島の政治家は、言葉で人を説得したり熱狂させたりする気はありませんからね（たまにそういう資質のある奴が出てくると、コロリとやられちゃうんだが）。良い悪いじゃなくて、事実としてそうだ、というだけのこと。
さても、明日は投票日。泊まってる辺りに学校とかあると面白いんだが、昼過ぎにはさっさと奇妙な選挙を終えた島に戻らねばならぬ。
追記
投票日の仁川空港ラウンジです。ソウル駅からの空港特急でやってるテレビニュースでは、日本と殆ど同じシステムでの投票風景が流されてました。でも、街の中は特にどーってことはないでした。ま、そんなもんでしょ。そうそう、空港の楽師さん、今日はフルートじゃなくてクラリネットでした。やってるのは同じようなものだけど。
先生、毎度です。絶好のタイミングでソウルに行かれておられますね。
先生は、音楽以外の政治経済の雑誌にも寄稿なさるのでしょうか？
by 上野のおぢさん (2012-12-19 13:34)
上野のおぢさんさま
もうすつ搭乗なんで、ひとこと。いや、政治系はお話は来ません。ただ、某O楽の友誌では、実質、唯一の政治系ライター扱いですな。指定管理問題、大阪のオケ問題、公益法人化問題、新政権の文化政策（懐かしい過去の話だ）、等々は、編集長、なにも考えずに小生に振ってきますからねぇ。
by Yakupen (2012-12-19 13:48)