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2014-15年シーズン開幕の日に [音楽業界]

草津から秋の空気を一緒に連れてきてしまったような8月最後の週が、夏休み終わりギリギリまで引っ張った佃1丁目の文化遺産じゃない方の街場盆踊り(余りに有名な地域文化遺産で某助成財団からお金も出ている所謂「佃念仏盆踊り」とは別に、ごく当たり前の盆踊りもあるんですよ)の響きと、シュトックハウゼン祭の喧噪の中で過ぎて、アッという間に新暦長月、文化によっては中秋の名月を眺めて月餅喰らってあらお目出度や(まずい、シンガポールに行く週と重なったら大変だ、と思って慌てて調べたら、今年は来週の月曜日、スゴイ早いなぁ)という季節になってしまいました。皆々様、いかがお過ごしでしょうか。

盛夏から残暑にかけて殆ど来られなかった葛飾セーフハウスに2週間ぶりくらいにやって来たら、雨樋からあふれ出すような久しぶりのザアザア降りの後、荒れ放題の柿の木の下草から秋の虫が鳴いてる。これでホントに秋になるのか、どうにも信用出来んなぁ。

なんにせよ、今日から新シーズンです。シーズン開幕、って盛り上がった感じにならないのはどーしてだろーか。今年は、「ミュンヘンに行かない年だし、お陰でベルリン音楽週間も行かないなぁ」ってアンニュイな感じばかりが漂ってる。

とはいえ新シーズンのオープンらしく、朝っぱらにメールを開けるといろんな団体からシーズンのご案内が来てて、ヨーロッパの連中も流石に働き始めたか、って感じですね。そんな中で、いちばん興味深かったのは、たまたま別の用事で久しぶりに開いたナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)でありました。

やくぺん先生はアメリカの某研究団体の会員でアクセスするので、入口が太平洋の彼方なんです。で、ともかく、お久しぶり、と入って、必要な検索するついでに、まあ来たのだからと「最新収録ソフト一覧」みたいな頁を眺める。と、おおおお、思わず声をあげてしまいました。

なんとなんと、あのグレン・グールドの1955年のコロンビア盤《ゴールドベルク変奏曲》が、NMLに収録されたではありませんかっ!一昨日くらいにアップされたみたいです。

うううん、時代の変化を感じますねぇ。ホント、新シーズン開幕の朝、時代は変わったぞ、レコードやCDは特殊な趣味のモノになったのだぞ、と宣言されたよう。

…ってな話をFacebookに条件反射のように書き込んだら、ある方から、「お前なぁ、日本の入口から入ると、コロンビア音源はアクセスできんのじゃよ」というご指摘を受けました。へええ、これまたビックリ。同じ電脳雲の上の音楽ソフト図書館なのに、入る入口が違うと開かない部屋があるんですね。

新しい時代には新しい障壁が生まれてくる、という当たり前の事実を確認した次第であります。ちゃんちゃん。


てなわけで、煮詰まりながら淡々と作文作業を進める。午後になって(多分、ヨーロッパが始業時間になって)、またまたいくつかの団体から新シーズンを宜しくという連絡が飛び込んでくる。失礼ながら殆どが右から左へとゴミ箱行きなんだけど、ひとつ作業の手を止めて本気で読み始めてしまった案内がありました。

どうしていつも案内が来るのか良く判らない、リンツのブルックナー管弦楽団からのものです。なんでここ、リリースが来るのかしら。フィリップ・グラス絡みの話でいちど連絡をしたか、問い合わせをしたことがあるような気もするのだが、定かな記憶がない。うううん、歳は取りたくないものじゃ。

んで、何が興味深いって、リリースの最初に誇らしげに記されたリンツの新しい劇場での《リング》サイクルの後半2作を今シーズンにやるぞ、ってんじゃなくて(なんだか《光》騒動を眺めちゃうと、《リング》はちょろっと出来るさ、なんてとんでもない錯覚に陥ってしまうです)、シーズン開幕を飾る最初のフェスティバル。こちら。
http://www.aec.at/c/
要するに、今度の木曜日から、一昨年だかに新装成ったリンツの劇場なんぞを用い、テクノロジーと芸術、っておもちゃ箱をひっくり返したみたいなことをやる…みたいだなぁ。

なんでこんなマイナーなフェスティバルに感心が惹かれたかってと、なんかさ、このフェスティバル、すごーくシュトックハウゼンっぽくありませんかぁ。どこがどうだと問い詰められると困るけれど、なんか《光》の舞台が開いちゃった関心の在り方を、21世紀10年代半ばの比較的ライトなアートユーザー層に向けてあらためて開いていくとこんな感じなものになるのかなぁ、ってね。

例えば初日4日はこんな内容。さあ、日本代表で初音ミクさん、いってこーい!って思うでしょ。
http://www.aec.at/c/schedule/
この夏に眺めたいろんな舞台を経て、いわゆるロマンティックなものは疲れるからもうホントに結構です、って本音が益々抑えられなくなる今日この頃、こういうのをブラブラできたらいいなぁ、なんて思っちゃうですよ。

で、わしらなんぞの業界からすれば、ハイライトはこれでんな。
http://www.aec.at/c/big-concert-night/
リンツ・ブルックナー管が、シェフのデイヴィス様と、ライブ・エレクトロニクスと生オケのいろんなことをやるみたい。

なんか、すげえええシュトックハウゼンっぽいじゃん、これって。ヨーロッパに居たら、コンクールのセッションなんか吹っ飛ばして行ったろーなー。ベルリン音楽週間の今時のドイツの巨匠現代音楽作曲家さんたちあちこち散りばめたラインナップがとっても古臭く、すげえセンスなく、見えてきますね。

てなわけで、お暇な方はPDFファイルの実質上の曲解なんぞまでアップされてますので、秋の夜長、じっくりご覧あれ。

いやぁ、新シーズン開幕そうそう、いろんな意味で、時代は変わった、ってあらためて思わされた日でありましたとさ。

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