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優勝団体に遭いにいく・その3:第7回大阪国際室内楽コンクール第1部門アタッカQ [大阪国際室内楽コンクール]

月曜の出勤時間にデカイに持つ引っ張ってかつてトスカニーニやホロヴィッツの住んだアパート前から地下鉄に乗り、ペン駅でガラガラなトレントン行き下りに乗りかえ、朝霧になにも見えぬアメリカゴジラが盛んに暴れては逃げていく湖沼地帯を抜け、「ニューヨークのひろおおい埼玉」たるニュージャージー州の入口ニューアークに到着。終点の、フィラデルフィアまでの「中途の街」(エラリー・クィーンが後期の人情ミステリーに転進するきっかけとなった名作の舞台でありまする)トレントンまでいけば、橫田へ向かうニホン国法務省あずかり知らぬ太平洋横断裏定期便でお馴染みのマクガイアー輸送部隊基地(先頃帝都上空を跋扈したマリーンワンも、ここから運ばれたはず)が広がっているのだが、まともな身のやくぺん先生が向かうのはニューアーク空港でありまする。これからアメリカ大陸を6時間以上かけて横断する大フライト、一気にサンフランシスコに向かいますです。

昨日は、NYC彼方此方でなんでこんなにいっぱい室内楽の演奏会があるんだ、という呆れるような日曜。なんのかんのあったけど、地下鉄の週末工事やバスの路線変更などにあれこれ巻き込まれ、結局、午後4時からブルックリン公共図書館で開催されたアタッカQの演奏会にしかいけませんでした。ま、それでお腹いっぱいになったから、結果としてはよかったんだけどさ。

普通なら、マンハッタンから赤の2,3番か、黄色のブルックリン方面行きに乗れば30分くらいで到着する場所なんだけど、なんのかんのでマンハッタン厄偏庵から1時間半もかかってやっと到着。頭の上をラグァーディア空港に向けて到着機がガンガン降りてくる辺り。
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どうやらこの図書館もレクチャーなんかと並んで演奏会シリーズもあるようで、エンソQなんぞが出てたりするようだけど、今日のアタッカQは主催はなんとなんとカーネギーホールです。カーネギーホールの教育部門が担当する「ご近所コンサート」というシリーズのひひとつ。
https://www.carnegiehall.org/Events/Neighborhood-Concerts
ニューヨーク・シティの各地を会場に、きちんとしたコンサートを無料で主催する。無料とはいえ「当日来て並びなさい」ではなく、聴きたい人が申し込んでチケットを貰うようになっているので、「図書館にいったらなんかやってたので覗いてみよう」というわけにはいきません。アタッカQのギャラはカーネギーが払っていて、コンサートの当日制作スタッフなどもカーネギーから派遣されてる。無論、会場となる場所も主催者ですから、いろいろ自分なりに人が動いていたりもしますけど。
https://www.carnegiehall.org/Calendar/2017/12/03/NEIGHBORHOOD-CONCERT-ATTACCA-QUARTET-0400PM
このシリーズ、いろんなものをやっていて、弦楽四重奏もいくつか入っているものの、ジャックQとかフリクションQとか、今時のもんが殆どで、ベートーヴェンの作品132なんてガチガチの古典を真っ正面からやるのはアタッカQくらい。つまり、敢えて言えば、「クラシック音楽の室内楽」をブルックリンの聴衆にきっちり聴かせる仕事を担当することになる、ということですわ。
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会場は、図書館地下のレクチャーなどをやったりする客席200くらいのオーディトリアム。アウトリーチとはいえ、ちゃんとした会場でのちゃんとした演奏会です。こんな。聴衆は、主に囮寄りの近隣の方がだけど、想像以上に客層は広かったです。
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ここで、彼らの友達の作曲家の短い弦楽四重奏作品をやり(音の聞こえるところと聞こえないところのギリギリを探るような、なかなか面白い作品でした。最近、録音もしたそうです)、そのまま作品132に突入する。国内をずっとこの曲をもってツアーしてきて、地元NYCに戻りこれを弾いてツアーはオシマイになるというアタッカQ、すっかり手に入った演奏を繰り広げる。特に第3楽章では和声を綺麗に響かせたゆっくりした祈りの歌の部分と、快癒への喜びを手放しで叫ぶような部分との対比を思いっきり大きくとり、「アタッカQに中庸なし」の言葉通り(←誰がいうんじゃ、そんな言葉…)の過激な、だけどものすごくまともな音楽を繰り広げてくれました。

終演後はロビーに出て、殆ど弦楽四重奏を聴いたことがないような人達から「すげぇええ」なんて感想を述べられ、是非来週の演奏会にも来て下さい、としっかりPRに勤しむアタッカの皆様でありました。
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アンドリュー君曰く、「この演奏会、どういう聴衆なのか僕たちにも良く判らないよ。でお、普段の僕らの演奏会に来てくれる人達とは違うことは確かで、そういう人達に弾けるのは有り難いことだと思ってます」。

大阪からはや6年、いろんなこがあり、この街での生活もそれぞれに安定し、それでもしっかり攻めてるアタッカQの姿は、とっても嬉しいものでありました。

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