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2年遅れの新作初演 [現代音楽]

本日、大阪ザ・フェニックスホールで、作曲家望月京の新作弦楽四重奏《Boids again》が世界初演されました。こちらの演奏会。
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日本室内楽振興財団さんとザ・フェニックスホールとの共催で行われたクァルテット・エクセルシオ大阪特別演奏会であります。

当電子壁新聞を立ち読みに来るような方はよーくご存じのことでありましょうが、この作品、作曲年が2020年となっていることからもお判りの如く、この演奏会のための新作ではありません。日本室内楽振興財団が開催する大阪国際室内楽コンクール&フェスタの第10回大会で第1部門弦楽四重奏の課題曲として委嘱され、本来ならば2020年5月にいずみホールでほのやらチェルカトーレやらインテグラやらによって次々と世界初演される筈だった作品でありまする。

一昨年来のコロナ禍で、世界のコンクール・スケジュールがすっかり大混乱となってしまい、雪道大渋滞みたいにスタッグ状態になっている。演奏だけではなく、作品にも同じようなことが起きてます。多くの若者が2年数ヶ月前くらいから必死に浚ったこの作品も、今まで公式には音にはなっていなかったわけでありました。

同じようなことが起きている浜松のピアノコンクールでは、委嘱新作をオンラインで参加者が披露する、なんて奇策で世界に問うことをやったりしておりました。状況が同じ、新作が手元にあるけど初演がされていない、という主催者さんたちが世界中にいる。で、どうしようかと皆さん頭を捻っているのですけど、大阪は極めてストレートに、「過去にこの大会で最高位に輝いている日本拠点の団体」にお披露目を託したわけです。ま、チェロの大友さんが運営専門委員だったり、ヴィオラの吉田さんがテープ審査メンバーだったりするわけで、ある意味でエクは「大阪大会出身者」ですから、その責任もあるしね。

さても、作品がどんなものだったのか、本日の世界初演を以て出版もされ、演奏も世界中で解禁になったそうな。世界に少なくとも10団体はこの曲を弾ける若い連中がいるのだから、皆様もどこで出会うか判らぬ。となれば、延々と解説するべきなんだろうけど…ううむ、些か後ろめたいところもあるが、ご本人の言葉がせっかく目の前にあるんで、ここにこっそり公開してしまいましょう。恐らくはスコアの冒頭には記されるでしょうし、チェスターのホームページにもなにかありそうだし。
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なるほどねぇ、音の響きとして「電子音を経た響きのイメージが弦楽四重奏のみで再現される」という感があったのは、理由がないことではなかったわけね。なぁ、ムク共や。
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なお、望月さんがいらしていたのでトークなどあるかと思ったんですけど、ありませんでした。関係者さんに拠れば、来日がどうなるかわからず、コンサートの付帯イベントとしては作れなかったそうな。ちょっと勿体なかったなぁ。

とにもかくにも、レッジョ・エミリアの細川作品、大阪の望月作品と、やっと2020年初夏には響く筈だったニッポンを代表する作曲家さんの新作弦楽四重奏が並び、空白だった2年間の音楽史が埋まり始めた…のか。

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