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勃興期の半島弦楽四重奏情勢を眺めに [弦楽四重奏]

すったもんだの老後初欧州弾丸ツアーを終えて一昨日朝に福岡空港に戻り、昨日は温泉県盆地オフィスで大洗濯大会と作文。先程、初稿をなんとか入れて、これから午後2時温泉県盆地バスセンター発福岡空港行きバスで国際線ターミナルに向かいます。ホントは午後4時のバスで間に合うんだけど、今や紅葉映えて観光真っ盛り、バスに席がなく、一つ前の便似せざるを得ませんでした。

さても、急遽決まった今回のオマケみたいな半島三泊四日のプチツアー、目的はもうひとえに、土曜日のソウルアーツセンターでのノブスQに拠る「韓国人のひとつの団体に拠る初のベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会」最終回を聴くこと。

思えば、世相文化会館の横に室内楽ホールが出来て「ソウルの春音楽祭」なるものをそこでやるようになったのは、当電子壁新聞創設以降のことではなかったか。やくぺん先生ったら、ノコノコと出かけてまだ若きエベーヌQがベートーヴェンの作品127を初めて弾くのを聴いて「まだまだダメじゃん」と呆れたり、今やすっかり独奏者としてコリアDGからCDまで出るようになっちゃったボンソリちゃんがKNUAの先生やらとやってた弦楽四重奏のセカンドで目立ってたのを聴いたりした。このエベーヌも担当したベートーヴェン・チクルスが、どうやら「韓国初のベートーヴェン弦楽四重奏全曲演奏会」だったらしい。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2009-04-23
無論、フェスティバルですから、いろんな弦楽四重奏団が来てはひとつ弾き、ふたつ弾き、って感じでの完奏だったようですな。

その後、ジェイムス・エーネスが率いるジュリアード系のエーネスQを名告る団体が、どうやらアーツセンターの大ホールで「韓国初のひとつの団体に拠るベートーヴェン全曲演奏」をやったみたい。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2016-06-14
で、そのときのヴィオラが、今やタカーチュQのメンバーとして飛ぶ鳥落とす勢いのダンカン・オニール君だった。ま、だから大ホール満杯二出来たんでしょうけど。

とはいえ、両チクルスとも所謂「外来団体」に拠るもので、まだ「韓国の団体」によるチクルスは成されていなかった。それが、とうとう我らがノブスQに拠って成し遂げられようとしているわけでありまする。その話、先週水曜日だかにドルトムント・コンツェルトザールでの演奏会が終わったあと
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楽屋での立ち話で、「俺たち、明日朝一でソウルで、いよいよベートーヴェン・チクルスだよ」って。おおおお、これは行かないわけにいかんでしょ、海峡越えたお隣は伊都國有する福岡帝国奥地の住民とすれば。だって、大阪いくくらいの距離なんだからさ。

てなわけで、これから半島室内楽の歴史にひとつのページが刻まれるのを眺めに参ります。今や半島の南は、若手奏者の間でホントの意味で弦楽四重奏が大流行。ちょうどやくぺん先生が新帝都にいない頃に初来日公演をしてまわっていたエスメQなんぞ、正にノヴスQが開拓した苦難の道をラッキーに辿ってるわけですからねぇ。

ノブスQといえば、富山の東方セミナーを皮切りに大阪大会に参加、韓国団体としては初のメイジャー大会入賞たる3位を得て、それをきっかけに本格的にミュンヘンに留学。その後もあちこちできっちり結果を出し、今やジメナウアーと契約する欧州拠点アジア系若手トップに躍り出ている。正に韓国の第1世代(クフモ・アシアナQの皆さん、ゴメン、皆さんは有史以前の存在と言わざるを得ません)。

で、そんな成功姿を眺め、ソリスト志望ばかりだった韓国の弦楽器若手がどどっっっっっと雪崩を打ってこのジャンルに参入しているのが現状。スーパーラッキー娘エスメはハノーファーのオリー教室でフェルツ老師に「考え方」をたたき込まれているし、テキサスのミロのところにも先頃ミュンヘンに来ていた韓国からのお嬢さんらがいて、あのエネルギーの爆発を学んでいる。

果たしてマーケットが皆無なソウルやらで、彼ら彼女らがどのように活動出来るのか。エスメはロッテホールの初のレジデンシィに任命され、あの大ホールを満員にしているという。どうやら潮目が変わってきているのか、それとも何処も同じでみんな若くて上手な話題の演奏家が好きなだけなのか。

とにもかくにも、結果的に半島に於ける「岩淵龍太郎率いる弦楽四重奏団が第一生命ホールで敢行した、日本初の日本団体に拠るベートーヴェン全曲演奏会」のような歴史的状況を半世紀遅れてお隣の波頭で眺める巡り合わせとなった以上、これはもうしっかり眺めてこないわけにはいかぬでありましょうぞ。

さて、そろそろ出かける準備をします。由布岳を背景に映える庭の紅葉を愛でるのは、来週になってから。

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