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遙かキューシュー島から有楽町の祭りを思う [音楽業界]

実質4年ぶりのゴールデンウィークの世間様の「どっと繰り出した」状態は何処、キューシュー島は温泉県盆地駅向こうの観光地側で繰り広げてられているであろー喧噪も、普段は閑散としてイタチどんが久大本線に轢かれないか心配なくらいの線路際の道が大分道インターチェンジからの抜け道としてナビに示されるらしく、他県ナンバーの自家用車やらバイクライダーさんたちが盛んに往来することで連休盛りを感じるのがやっとの今日この頃。週末に向けて天気はガンガン下り坂、求愛真っ盛りの百舌鳥さん達も、元気な若いヒヨちゃん軍団も、ノンビリほーほーくーくー歌ってるほーほーさんも、はたまた田圃に水が入り始めて住処を探しているらしいケンケンさんたちも、爽やかな皐月の空とは行かぬ曇天にあまり姿も見せない国民の祝日、皆様はいかがお過ごしでありましょうぞ。

さても、もうすっかり初夏であろう新帝都は大川端に居れば、シン・ゴジラ視線の勉強部屋から大川越えて西に臨むガラス張りの低層巨大サヤエンドウ
IMG_2716.jpg
今と違うタイムラインのパラレルワールドがあればニッポン国中央駅横に聳えるナショナル・オペラハウスとなっていた可能性もある国際フォーラムなる施設で、隣の銀座一丁目までは領域の鉄砲図稲荷例大祭にはちゃんと挨拶があったのやら、連休恒例ナント直輸入音楽の移動遊園地、ラ・フォル・ジュルネとやらが、今年は再開されたようでありまするな。
https://www.lfj.jp/lfj_2023/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_content=LFJ_Google&gclid=Cj0KCQjw6cKiBhD5ARIsAKXUdybeTDH7q5ksWIgk2xPBm

やくぺん先生、このイベントが海の物とも山の物とも判らぬ第1回のオープニングのとき、プレスルームで全然人が入らない、ってパニックってた様子を眺め、ああこのイベントは隣町の祭りとはいえ俺には関係ないなぁ、関わらんよーにしよー、って敬遠してまいりました。これが当時の当電子壁新聞の記事だけど
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2005-09-08
原稿を書いた媒体、創世記のWebマガジン「フジテレビArt Net」というのが、フジテレビさんの「廃刊にします」という一言で単行本一冊分くらいの数年分の連載原稿を全部アクセス不可にしたまま消滅してしまい、今は読めません。ま、当時の空気は感じられるかな。

その後、あれよあれよとなにやら大盛り上がりになり、最盛期には金沢やらびわ湖やら、はたまた何故か我が温泉県盆地から久大線で延々、佐賀は鳥栖でも開催される大イベントとなったものの、プロデューサーのるねまる氏の初回からの密かな野望と言われていた「現代音楽」というテーマには至らぬままに実質上の終焉となるような噂も流れ、そんなところにコロナ禍襲来。再開したものはナントのそれとはもう随分と違ったものになっているのでしょうが、まあ、ニッポン国ゴールデンウィーク風物詩として展開した金沢やびわ湖、はたまたはっきりアイデア拝借で始まった仙台や大阪御堂筋からやり方を逆移入し、ローカル化されたイベントとして再開されたのであれば、それはそれで結構なことでありましょうぞ。

このイベント、それまではニッポン業界ではまともに相手にされていなかったフランス系演奏家を真っ正面から取り上げることになったり(なんせ第1回では、本邦初の欧州団体によるベートーヴェン弦楽四重奏曲短期集中全曲演奏がイザイQに拠ってあっさり敢行されちゃったり)、台湾やら旧ソ連諸国やら、ちょっと斜めな文化圏からの団体をマニアならぬ不特定多数の聴衆に提供したり、「ドイツ語圏演奏家至上主義」ともいえた業界風潮に新風を起こしたことは確かで、とりわけエベーヌにせよモディリアーニ、はたまた今回招聘されてるハンソンにせよ、フランス系室内楽団体はこのイベントがなければいつ来日出来たか判らなかったわけですから、有り難いことでございますです。その辺り、誰かきちんと論じてくれないですかね。そろそろ纏めの議論が出来る時期に来ていると思うんだけど。「クラシック音楽価値の多様性イベントとしてのラ・フォル・ジュルネ」とか、いかがかね、大学院クラスの論文になるじゃろて。

ま、それはそれとして、なんとなんと今年は原点回帰でベートーヴェンがテーマというのでちょっとビックリしたけど、やはり2度目のテーマ作曲家だけあり、第1回のように弦楽四重奏全曲とか、ピアノソナタ全曲とかいうド直球な正統派なやり方ではないところを狙ってるのが面白いですねぇ。だってさ、3日間のイベントで、今やニッポン・クラシック音楽文化のお家芸とも言うべき「全曲演奏会」は、「弦楽三重奏曲」と「ピアノ連弾作品」というのだから、これはもう左斜め上からの痛烈なアタック、って感じですなぁ。

他にもプログラムをじっくり眺めると、シュルホフ編曲の《無くした小銭への怒り》とか、ヘ調のロマンスのピアノ版とか、ヴァイオリン協奏曲のカデンツァが藤倉大だとか、なんじゃこりゃー、って小ネタがパラパラと散らばってら。弦楽四重奏名曲選担当のハンソンQ(ヴィジョンQが勝った前回のジュネーヴのときの2等賞で、なんでこんなイロモノの奴らが大受けで俺たちがダメなんだぁ、って露骨に不満そうな顔してたっけなぁ)くらい、大川端に蟄居してたらチャリチャリと走って、ひとつやふたつは顔を出していたかな。

実質2巡目に入った連休の音楽移動遊園地、「ニッポンの祭り」として定着するのやら。田舎者の爺には、もう眺めていく時間も関心もないイベントではあるものの、有楽町の隣町佃に庵を維持するあと数年は、まるで知らんぷりも出来んことも確かでありますのぉ。

[追記]

今、プレスラー爺さんのインタビュー生データを探そうと古いハードディスクをひっくり返していたら、こんなもんが出てきました。第1回ラ・フォル・ジュルネ、今はもう会場として使われなくなってしまった(ってか、第1回しか使わなかったかも)あいだみつお美術館での公演のレポートです。ま、昔話ですな。
Fuji-tv ART NET:Music in Museum.pdf

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