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浄土への入口で [こしのくに音楽祭]

富山市内は35度に迫る熱波。一昨日までの豪雨はどこへやら、真夏の太陽が照りつけてます。「こしのくに音楽祭」、前夜祭が明けた本日は、富山市民プラザでのマルコの楽器レクチャーのあと、ニックとゴールドベルク未亡人がヴィッタ男爵を操る夕べ。15年前のこの会場でのゴールドベルク翁最期のリサイタルでは、東京からのプロ達で溢れかえり、地元富山の方の影は薄かったなぁ。今晩は一転、富山市民で溢れんばかり。スタッフは嬉しい悲鳴を揚げてます。

こっちの方が、よっぽど正しい姿だよね。

さても昨日の前夜祭、子供が男爵の真下に車座になり、周囲を県知事以下関係各市長、富山県企業のVIPらが取り巻く中で無事に開催されました。北日本放送のホームページで、「前夜祭」の様子が覗けます。http://www2.knb.ne.jp/news/20060908_8437.htm#

会場となった富山県立山博物館・遙望館は、コンサートホールじゃありません。それどころか、コミセンでもなければ、市民会館でもない。霊山立山信仰を映像で解説する博物館のオーディトリアム施設です。ロケーションは、有り体にいえば、お墓の真ん中。富山市内から立山に向かった街の外れの外れ、ここから先はもう霊の住む領域、人間の場所ではない、浄土との境界線なんですな。http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/tate/w-b.htm
ゴールドベルク翁が最晩年を過ごし没した立山国際ホテルは、この浄土との境界の彼方の三途の川を文明の巨大な橋で超えたすぐ向こう。もう彼岸の領域にあります。写真は、本番では子供が体育坐りをする畳の舞台で、人生初めて靴を脱いで「シャコンヌ」をさらう本番前のニック。墓があり、薄が茂り、彼方に立山が望める。

ひとりの偉大な故人へのトリビュート「こしのくに音楽祭」が、異界との狭間の空間で、故人の楽器の音を弟子が捧げて始まるのは、決して偶然ではありません。その意味は、それぞれの人が、それぞれに考えれば良いことですから、ここで無粋な説明なんぞする気はないですけど。


霊山立山の木から作り出された、音楽祭専用の譜面台も、初めてステージに並びました。http://blog.so-net.ne.jp/yakupen/2006-07-02譜面台も楽器も、舞台にあってこそ輝く。

こうして、数人の無謀な情熱に始まった小さな音楽祭が、なんとか幕を開けました。巻き込まれた富山県民や関係者の皆さん、今はともかく、おつかれさんです。周囲の暴走にここまで付き合ってくださったゴールドベルク未亡人、ありがとうございます。とにもかくにも、パーティ会場から数階上の自室でくつろぐ翁の姿を真ん中に、はいポーズ。

霊峰立山の遙か高みにいらっしゃる翁は…終の棲家周辺での騒動を呆れ果てて見おろしてるんだろーなぁ。

逝きし賢人よ、生者らの無茶をお許しあれ。


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