露地を抜けて学校の方へ

ハノイ国立音楽院は、宿から露地を抜けていったところにある。
迷路としか言えない露地を延々と10分ほど歩く。スーパーアテンドHさんは「鉄工所の中にいきなり学校があるような」と脅していたのだけど、それどころじゃあない。そんなの単に入口に過ぎない。

何があったか、どんなところだったかをきっちり描写していけば、それだけで数十枚になりそうな異空間。たしかに鉄工所、インターネットカフェ、結婚式やってます、トウモロコシ焼き、揚げ物売り、米屋、わけのわからん店、等々。人がすれ違えるかどうか判らぬようなところに、両方向からスクーターが突っ込んでくるのである。赤いセーター、ヴェトナム文化情報省舞台芸術局のビンさんはスクーター、無論ノーヘルメットで「アッチラ号」を押していく。旗のところで曲がれ、と止まっているぞ。

更に細い道を抜け、大きな通りにやっと出る。オートバイが両方から突っ込んでくる場所を渡るのは怖い。音楽院は存外立派な建物なんだけど、大きな道に面した校舎には入口がなく、ガラスが刺さった門の横を物売りのオバサンなんかと一緒に延々と歩き、やがて入口がある。

ハノイ音楽院は、校庭付き中学校くらいの広さで、古い４階建ての縦細長屋アパートの連続していたようなところを壊したかして再開発したのだろう。直ぐ裏には、ハノイの裏町が迫っている。中から聞こえてくる音が世界中のどことも同じで、ああ音楽学校に来たなぁ、という感じ。

さても、ミドリ楽団、ハノイ・フィルハーモニー首席なんぞの女性たちのクァルテットが待ってて、一緒に練習です。今日明日みっちり特訓して、明後日からは「コミュニティ・エンゲイジメント・プログラム」が始まります。ってか、もう始まってるのかな。