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クラウス・ペーター・フロールMPO監督就任 [演奏家]

「湖畔特急」車内で、3キロ以上の巨漢をひきづりつつ米英軍バグダッド侵入以降5年と9ヶ月の「たびの空」を共にしてきた盟友パソコン君が物理的(!)に崩壊。だましだまし仕事をしていただきながら佃厄偏庵まで連れてきて、ちっちゃな仕事机の上に鎮座させた段階で、我が家の機材メインテナンス担当兼大蔵大臣の嫁さんに必死の陳情。かくてパソコン君は修理完了後はグラウンドスタッフに配置換え、アウェイチームの情報連絡担当チーフという激務からは引退すると決定された。

んで、帰国翌日にはチャリチャリと有楽町まで走り、「ともかく今のスペックと同じで一番小さいやつ」と叫び子供のような買い物をし(21世紀の高度資本主義社会にあって最も重要な儀式たる消費をかくも軽視する非国民極まりない反社会的態度!)、セッティングを始めたらまるまる1日半が過ぎる。それにしても小さい、軽い、湯たんぽのように暖かい、キーボードなんぞ叩き抜きそうだ。たまたまマック教の教祖様が「世界一軽いパソコン」と宣う姿が新聞の写真に誇らしげにしておったが、何をおっしゃる、我がT社製の新パソコン君、半年も前から市場に出てて、もっと軽くて、おまけにDVDを焼けるんだよ!凄い世の中になったもんだ。

かくて、湾岸の外は雪らしいが、知らぬ。日曜の町内餅つき大会の打ち合わせなど、知らぬ。ともかく、来週火曜日からのツアーでは「新パソコン君の機能をフルに利用しインタビューの映像収録までやります」って、いずみホール広報女史に宣言しちゃったんで、なんとか使えるようにならねばならぬ。ふううう・・・

そんなこんなで、電子壁新聞どころではありません。だから本日は、佃厄偏庵留守中に長屋のお隣のあにいに預かっていただいてた郵便物の山から発掘された、興味深そうな業界情報をひとつだけ。

                       ※

ええと、「国際芸術マネージャー」なる英国系業界紙最新号の報道によりますと、ドイツの指揮者クラウス・ペーター・フロールが、なんとなんと、2008年シーズンからマレーシアフィルハーモニーの新たな音楽監督に就任することになったそうです。8月からで(マレー半島のオケはシーズンの始まりがよくわからぬ)、3年契約だそうです。ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ管やダラス響の主席客演指揮者などを務めてたフロール氏、90年代にBMGがドイツ・ロマン派やら近代作品をやたらと録音していたんで、ディスクが一番重要な情報源となってる日本の音楽ファンにもそこそこ知られていた棒振りさんですな。
(後記:すっかり忘れてたけど、昨年、大植えーちゃんが大フィル東京定期のマーラーの9番を病気キャンセルしたときに、代役で出てきた人じゃあないの。気落ちして切符を払い戻してしまったため、まるで記憶になかった。ちなみに大植えーちゃん、この月末からバルセロナのオケでマーラーの9番、定期及びスペイン国内ツアーで、大盛り上がりです。お陰でまだ電話インタビューが取れない…)

おそらくは昨年11月から12月の定期に客演したときに発表され、今、業界メディアが取り上げるタイミングとなったのでしょう。MPOのホームページが大盛り上がり、という感じじゃないなぁ。http://www.malaysianphilharmonic.com/index.php
これが公式リリース。PDFです。やっぱり11月末の発表ですね。
http://www.aappac.net/pdf/2007/The%20MPO%20Announces%20Its%20New%20Music%20Director.pdf

へえ、って思いますねぇ。マレーシアフィル、ですよ。あのペトロナス・タワーの足下に、ものすごくモダンな、でも1000席になるかならぬかというオルガンも備えた立派なホールを建て、そこを拠点とするべく某英国系プロデューサーが演奏家を世界中から集めて「アジアにいきなり誕生したスーパーオケ」を目指した団体です。英国系のマネージメント会社に所属している日本の演奏家も結構出ていて、大植えーちゃんも数年前に振りにいったことがありますね。BISが録音しているし。
このオケのインパクトを一番大きく被ったのはシンガポール響でしょう。昨年秋にシンガポール0泊3日強行取材をしたとき、地元の方がおっしゃるには、「エスプラネードが出来て世界中の最高の楽団がくるようになり、さらにはマレーシアフィルがああいうやり方で瞬く間に話題を浚ってしまったおかげで、SSOのレベルの低さが問題になっている。来シーズンは楽員の総員取り替えオーディションをやり、MPOみたいなスーパーオケを目指す話も具体的になってきてる」とのこと。へええええ。

まあ、出来たばかりの頃にマレーシアの音楽関係者が「アルプス交響曲をやるためにマレー半島のホルン吹き全員を動員した」などと苦笑していたMPO、名匠フロールを得て、クアラルンプールにモーリシャス・オーガンを吹きあらすや?バンコック・オペラの「リング」サイクルと並び、今やエミレーツも中国も古い、21世紀中葉のインはインドシナ半島なのであるぞよ!


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コメント 2

山田(は)

2001年にMPOの取材にKLまで行ったのですが、そのとき(7年前)にインタビューした、フルートの山本さん、ヴァイオリンの田上さん、ヴィオラの猪本さん、打楽器の菊池さん(サイトウ・キネンにもしばしば出演)、鍵盤楽器の中村さんの5人全員が、現在もメンバー表に載っているので、とても居心地の良いオーケストラなのかもしれませんね。
by 山田(は) (2008-01-17 16:37) 

Yakupen

謹賀新年です。明日、上野で会えるかな。ここではマレー半島だけを論じましたが、一昨年くらいに業界内でインだったのは、マカオ交響楽団でした。ここも、海上空港造って、次々カジノ建て替えて、ついでにオケ造って世界中から弾ける連中を集めようとして、ヨーロッパ、アメリカの音楽大学ではちょっとした話題になっていましたっけ。対岸の香港はエド・デ・ワールトが期間延長したし。なんか、あらゆる意味で、極東の某島国はドンドン取り残されてる感じですねぇ。どっかひとつくらい、オケが「世界中からオーディションして団員総入れ替え、世界一のオケを目指す」なんてやっても良いのに。名古屋あたりでトヨタがバックでやらないかしらね。
by Yakupen (2008-01-17 17:50) 

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