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本日横浜美術館で書と音楽のパーフォーマンス [現代音楽]

フジテレビ・アートネットになんのかんの年間10本くらい連載している「ミュージック・イン・ミュージアム(MIM)」の番外編。急ぎの広告記事です。

昨日20日と本日21日、みなとみらい地区の横浜美術館で、「Beyond the border 2008~Asian Music and Arts Festival in Yokohama」なる小さなフェスティバルが行われています。
http://www.concert.co.jp/ticket/details/suzuki/index05.html
東京湾岸ではプレアデスQの第2ヴァイオリン、それに年末のアドヴェントセミナーの先生としてお馴染みの鈴木理恵子さん(=りんちゃん)が監督で、中国のタン・ドゥン以降の世代を代表する作曲家のひとりガオ・ピンさんを迎え、笙やら、書やら、はたまたホーメイやら、なんのかんのぐちゃぐちゃにやっちゃおー、というもの。「完成した音楽が聴きたい」というより「何が起きるかよーわからんけど、このメンツならなんか面白そう」って思える方向けのイベントですな。

MIMとして面白いのは、4つのイベントは全て美術館の違う空間を用いて開催されること。昨日は1階奥のオーディトリアムで始まり、閉館後は3階の円形展示室。ダリのでっかいタブローやら、マグリッドやら、エルンストの前でやったそうな。今日は昼間は円形フォーラムちゅーところで(どこじゃー?)、夜のフィナーレは正面の広いグランドギャラリーが会場となります。昨今の音楽イベントは、「多彩なヴェニューを様々に活用して多彩なコラボレーションを行う」というのが流行ですから、ま、流石に天下の日経さまから「日本で最高の公立ミュージアム」とレッテルを貼られた場所だけのことはある時代の空気の読みっぷり。

さても、昨日のイベント、小生は夜は町田で我らが湯布院の輩のコミュニティ・コンサートがあったんで慌ててそっちに向かい、昼間しか見物できませんでした。鈴木りんちゃんのご主人M先生、「今日は僕は裏方」なんて言いながら走り回ってら。内容の詳細はそのうちどっかになんか書くかもしれないんでそれはそれとして、なんともインパクトがあったのは、やっぱり「音楽と書のコラボレーション」でありました。

ピアノと譜面代が真ん中に置かれたオーディトリアム舞台の上手に、でっかい白い壁のようなものがあって、その横に楽器とは思えぬものがある。なんじゃろ、とよーく眺めれば、筆やらなんやら、お書道セットであります。

ガオ・ピン氏のピアノとりんちゃんのヴァイオリンで、四川省の民謡だとか、藤枝守氏の作品とかを演奏する横に、5つの書体を自在に操る書家ユウ・ホウ氏が佇み、音楽に耳を傾け、おもむろに筆を執るや、だだだだだぁ、っと書をしたためてまいります。一行終えると客席からは「ほぉ」って感じのため息と、拍手がわああっと押し寄せる。さらに耳を傾け、またまたさああっと一行、ほぉ、ぱちぱちぱちぃ…って調子で、曲が終わる頃にはひとつの書が出来てるわけです。見よ、これが滝口の詩をりんちゃんが朗読した後に演奏された武満徹「妖精の距離」にインスパイアーされた書だっつ!
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こんな調子で、4枚ほどの書ができあがり、終演後はロビーに持ち出され、聴衆は盛んに携帯カメラに納めておりましたとさ。
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これらの書、中華街のどっかに展示されるそうであります。会場には「欲しい」という声がいくつも揚がってたんですけど、さすがに売ってくれないみたい。オークションでもその場ですればいいのに、とスタッフに進言したら、呆れられました。いやはや。(上の写真はマネージャー公認)

聴衆も普段のゲンダイオンガクとは違ってご年配のご夫婦とか、チャイナドレスのおばさまとか、独特の雰囲気。そんな空気だったこともあってか、書のパーフォーマンスが始まったら一斉に客席がカメラの放列状態になって、スタッフが「会場での録音、録画、写真撮影は禁止させていただきます」ってアナウンスしたり、もー大慌て。なお、書の世界がどうなのか知らないけど、少なくとも今回のコラボレーションに関しましては、書家さんが制作中の集中力をそがれ、音楽もインスピレーションを与えるというよりもBGMになっちゃうんで、拍手はちょっと辛いなぁ、とのこと。今晩もあの横浜美術館の巨大エンタランスで書と音楽の大パーフォーマンスが予定されてますけど、拍手はしないであげてね。

おっと、そろそろいかなきゃ。では、会場で。なお、このイベントは北京オリンピックとは関係ありませんし、中国政府の支援も一切受けておりませんので、「チベットに自由を」なんて大段幕持って来てもなんのアピールにもなりません。あしからず。
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コメント 1

すみこ

ものが生まれる瞬間に立ち会えるのは貴重な経験ですよね。カリグラフィーと音楽ってつながりやすいと思う。アラブのお習字とか音を(音符じゃなくて)見てるみたいだな、とよく思います。拍手ってのもかわいいですね。パフォーマンスはまあそういうハプニングもひっくるめて、全員参加というか、その場の観客の感性もその1部になって良いんじゃないでしょうか。自然な反応によって「これやるとここの客はこう出るのか」とかパフォーマー側のやり方の考察にも便利でしょうし。
ところでかいやん健闘してましたか?
by すみこ (2008-04-20 18:18) 

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