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セント・ルークス室内管の新根拠地 [音楽業界]

マンハッタンに拠点を置くOrchestra of St.Lukes、日本では聖ルカ室内管とか、セント・ルークス管とか呼ばれる団体で、一頃はテラークに故マッケラス御大の録音でハイドンなんかを入れていて、小生も前世紀の終わり頃に録音セッションの取材に来た事もありましたっけ。一部から「オルフェウス室内管に指揮者を付けるとセント・ルークスになる」なんて皮肉も言われた、ま、メンバーはかなり重なってたこともある団体です。ホームページはこちら。松本や水戸の皆様にはお馴染みの田中直子さんとか、日本語文化圏でも知られた方がいらっしゃいますねぇ。
http://www.oslmusic.org/index.php

余り知られていませんが、ニューヨークをベースにしたオケはなんのかんの10団体くらいあるそうで、NYP、メトオケ、シティ・オペラ管、アメリカン・シンフォニー、アメリカ作曲家管、NYオペラオケなどの大オーケストラの下に、セント・ルークス、オルフェウス、92Y管(まだやってるんじゃろか?)、ジュピター・シンフォニー、等々の室内管がある。それらのオケの中で、ちゃんと自分らの本拠地と呼べる場所を確保しているのはNYPとメトオケ、シティ・オペラ管くらい。あとは練習場を求めてマンハッタンをウロウロしている。オールドファンにはバーンスタインの一連の録音などでお馴染みのマンハッタン・センターなどというでっかい老舗練習場もペン駅の近くにあるけど、こちらの関係者によれば「あそこは高くて…」だそうな。

さても、本日、CMAコンファランスのひとつの猛烈に具体的なエクゼヴィジョンとして、セント・ルークス管のスタッフによる彼らの新拠点、現在建設中のDimenna Center for Classical Musicの内覧会があったので、見物してまいりました。場所は、マンハッタン37丁目の西450。42丁目にあるポートオーソリティ・バス・ターミナルからちょっと南に下り、ハドソン川に向かって数ブロック入ったところ。マンハッタンとニュージャージーを結ぶリンカーン・トンネルの近くです。正直、殺伐とした倉庫街みたいなところ。良く言えば、今、再開発中、ってこと。
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近くにコンビニもスターバックスもないような場所の一区画を、セント・ルークス管が別の演劇団体と一緒に買い上げ、それほどでかくないビルを建てた。で、上の階は演劇団体が使い、地下から6階くらいまでをセント・ルークス管が本拠地に使う。無論、御上の助成金じゃなくファンドでやってるわけでして、センターの名前になってるディメナというのは、ポンと膨大な額のファンドを積んでくれた出資者さんのご芳名であります。

興味深いのは、このセンターが所謂「ホール」ではないこと。つまり、「ヴィレッジの聖ルカ教会を最初の拠点に四半世紀の歴史を歩むセント・ルークス管が、新たな本拠地としてマンハッタンの真ん中上あたりにホールを建てた」のではない。彼らが作ったのは、そこでコンサートをやる新しいヴェニュではなく、なんとなんと、「練習場コンプレックス」としか言いようのない施設なんですわ。こちらをご覧あれ。建築屋さんのオフィシャルな案内と、紹介記事。
http://www.rosecompanies.com/all-projects/orchestra-of-st-lukes-the-dimenna-center-for-classical-music
http://broadwayworld.com/article/Orchestra_of_St_Lukes_to_Open_The_DiMenna_Center_for_Classical_Music_20101213
あと1ヶ月ちょっとで竣工。オープンは3月8日だか。まだまだ建設の真っ最中で、本日も頭にヘルメット被されて中を覗かせて頂いたわけであります。これが現状。
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この場所は、マンハッタンには珍しく完全な防音の二重構造の地下の、オケと合唱団で詰め込めば300人くらいは入るという大練習場(文化会館地下の都響の練習場みたいな感じ)。で、その真上に室内管規模の中練習場が乗っかり、その他、アンサンブル用の小規模練習場がいくつかと、マルチメディア対応の教育プロジェクトなどの使える部屋など、なんのかんの総計9つだかの様々な規模と用途の練習場が4階くらいまでの低層にデパートのようになってる。オケの事務所やライブラリーはその上の階に入って来ます。

マンハッタンの会場は、ともかく外部からの騒音が大問題(カーネギーのザンケルホールは地下鉄の音がいつも聞こえます)。それに夏と冬の温度差が50度近くある過酷な場所なので、強力な空調音も常に問題になる。そんなこんなで、極めて高度な遮音が要求される今時の商業用デジタル録音に使える場所が殆どありません。この地下大練習場は、そんな要求にもしっかり応えた施設とのこと。

東京で練習場確保に悩んでいるアマオケや室内アンサンブル、合唱団の皆さんとすれば、こんな場所が例えば浜町とか八丁堀の辺りに出来たと考えていただれば判り易い。それって、スゴイでしょ。もー土曜日なんて奪い合い必至。

その辺り、マンハッタンも事情は変わらないようで、案内してくれた広報君によれば、もうあちこちから練習場を借りたいという連絡がひきもきらず、自分らのオケの時間を確保するが大変そうと苦笑してました。運営しているのがセント・ルークス管という非営利団体だから、コマーシャルベースの貸スタジオよりも安いのも魅力らしい。

これがファンドを始めてから5年間で出来たというのだから、流石にNYCだなぁ。おおおおし、やっぱり東京でも、「目指せNPOエクビル!」でんがな。

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