ABC去りし地に

ちょっとおおっぴらに出来ない理由で、大阪日帰りをして参りましたです。直接は金にならぬのだが、やっておかないといろいろ困る、という用事だったんだけど、結果からすれば訊ねて良かったです。やっぱり、実際に聴かないと判らない。現場の空気に接しないと判らない。

目的地たるザ・シンフォニーホールに至るべく、朝もはよから起き出して、すっかり水辺に桜花咲かせる佃堀を眺め

なにをとち狂ったか、世界一パワフル（だった、と過去形にすべきかな、そろそろ）おばちゃまがおんせん県政府肝いりでズラリとこちらを睨むターミナルから

ひょいっとひとっ飛び。途中、ずっと作文作業のあっという間、ホントに機械鳥のお腹の中って「超低速転送器」だよなぁ、と思わざるを得ぬ。うん。

兵庫県の大阪空港から梅田のよーわからん南側ビル群までのバスも、やっとPASMOが使えるようになりました。んで、さっさと福島方面に向けて歩き出す。いつも空港からのバスで中を突っ切る名物ビルって、下から眺めるとこんな風になってるのね。

案外と妙に見えないのが妙だなぁ。

そういえば、この宿までへべれけになった岩淵先生を抱きかかえるように連れてきて、ぐでぐでのシャツを脱がせてお風呂に入れたことがあったっけなぁ。先生、天国でも（多分…）相変わらず無茶苦茶仰ってるんでありましょうか。合掌…って手を合わせそうになると、目に入ったのは野菜の露天。

なんでこんなところでこんなことやってるんねん、と不思議に思っても仕方ない。佃のご家族に関西土産と、採れたての京の筍を買い込んだら…なんてかさばるんじゃ。アホじゃ、こんなの朝から買い込む奴は。

所有者が交代したといえ、ザ・シンフォニーホール前は30数年を経てすっかり杜といえる繁りっぷり。

後ろのABC放送も、はたまた老舗ホテルも、影も形もなくなったとはいえ、貴重な地面や緑、藪ともいえぬ藪にはすっかり春の雀たちが追いかけっこ。

しっぽたてたり、ふくれたり、うん、生きとし生けるものたちよ、上空を騒々しく舞う機械鳥やら帝都ではまるで見ない毎日放送の真っ黄色のマシン螇蚸らの跋扈に負けず、存分に春したまえ、大阪中を雀で埋め尽くすのじゃ！ちゅんちゅん、ちゅんちゅううううんっ！

ちゅんちゅん声の中でしっかりノマド仕事をして、腹も減ったので上等なカレーをいただき、向こうを見れば、いきなりもうすっからかんとザ・シンフォニーホールが見えている。

潰していなければ今頃は大阪大好きアジア圏の善男善女に１泊300USドルだってふっかけられたろう老舗ホテルは、更地になってもう何度目の春なのかしら。

夜にスクープしていた探偵達の聖地だった公園も、欠片だにすらありゃしない。

ここ、結局、どーなるんですかぁ？