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歴史的存在としてのバーンスタイン [現代音楽]

まあ、一応、「現代音楽」カテゴリーなんでしょうねぇ。

神奈川フィルのみなとみらい定期、バーンスタイン特集を聴いて参りました。数日前には目の前をミサゴ大編隊が横切ったアメリカ軍都ヨコハマ、ロビーから今日もノースピアが覗けましたです。アメリカ代表バーンスタインを聴くに、これほど相応しい場所もない…かな。

2018年バーンスタイン生誕100年イヤー、盛り上がってるんだかいないんだか、結果として日本でもいろんなオケが《シンフォニック・ダンス》やら《キャンディード》序曲やら、はたまた意外にもヴァイオリン独奏が必要な《セレナード》やら、そこそこ上演しているようでありますな。とはいえやっぱりオケが中心で、室内楽はあのピアノ三重奏曲なんかはやられるんだかやられないんだか、クラリネットが入った室内楽はそこそこやられるみたいだけど。

そんな中で、定期全部をバーンスタインに捧げたこの土曜午後の定期、若き人気者川瀬マエストロの棒で、政治的序曲《スラヴァ》、《シンフォニック・ダンス》を前半にやって、後半は交響曲第1番《エレミア》というなかなか重厚なもの。最後の演目は一度くらいはライブで聴いておかないと、とノコノコ出かけた次第。

聴衆は、まあ、堅い定期会員さんがちゃんと来てますよ、というくらいの入り。ひょーろんかの先生の顔もそこそこ見ました。面白かったのは、最初に弾いた《スラヴァ》が、ちゃんと途中にテープで政治家の演説が入る版を使ったこと。これを聴けただけで、出かけたかいはあったかな、と。「ちょっと尺が短い演奏会ですので」と若きマエストロが客席に喋って始まったアンコールは、《キャンディード》序曲かなんかかなと思ったら、なんとなんと、マエストロがオケと客席を指導して「マンボ!」叫び練習を何度かやって、みんなで《シンフォニック・ダンス》の「マンボっ!」を一緒に叫ぶ、ってサービス満点な娯楽の時間でありました。

そもそもの出かけた目的だった《エレミア》は、なんせカナフィルさんの良く言えば極めて明快明朗元気いっぱいの明るすぎる響きの金管がガンガン鳴り(どの曲もそうだったんだけど)、ヘブライ語で歌われる「エレミア哀歌」、そこに至るまるでマーラーっぽいオーケストラによる明快なストーリーテリングに期待されるような重さや粘りとはちょっと異質な響きで…なる程ねぇ。

考えてみれば、若きマエストロは当然生前のバーンスタインなんて知ってる筈もなく、マーラーなんぞを眺めるのとまるで同じ感覚でスコアを眺めるのだろう。思い入れを持てといっても無理で、曲として素晴らしいと思うから取り上げているだけなんでしょうし。そういう目に果たして耐えられる曲なのか…うううん、どうなんだろうなぁ。まあ、ギリギリかなぁ、という感じでしたね。無論、やたらと明快なオーケストレーションが素晴らしい、なんて褒めるのは簡単だろうけど。それにしても、ヘブライ語、まるで聴き取れなかったなぁ。

神奈川フィル、どういう理由か、5月にはみなとみらい20年記念で、今度はバーンスタインへの思い入れ満載なマエストロみっちーでこんな演奏会もやる。おっと、昨年の《ミサ曲》でお馴染みのポスターでんな。
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こうなったら、第3番《カディッシュ》もやってくれないかと気楽に思ってしまうが、流石にヘブライ語の合唱はたいへんなのかしら。

遙か英都でも、本日と明日だかに《ミサ曲》が上演されてます。なぜかワシントンDC、ニューヨーク、ボストンではこの大作は演奏されないというのがなんとも微妙なバーンスタイン記念年。まだまだ続きます。あたしゃ次は、シンガポールでじゃ。

個人的には、バーンスタインに師事したなどを理由に盛んに演奏している方よりも、この作曲家兼指揮者さんのことを個人的にもの凄く良く知っていたり、全盛期に日常的に一緒に仕事をしたりした人なのに、何故か生誕100年記念年に殆どなにも発言していない方の考えや意見の方が興味があるんだけどねぇ…

バーンスタインはなんで生き残っているのか、真面目に考えようと思って始めたけど、まーいーや、で腰砕けの無内容な駄文になってしまったぁ。スイマセン。

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