SSブログ

弦楽四重奏ネタあれこれ [弦楽四重奏]

朝から元気いっぱいなものを眺めたので、前向きな話。2020年秋シーズン始めの世界の弦楽四重奏事情二題。

昨日からコンクールの時期を思い出すように始まっているバンフ国際弦楽四重奏フェスティバル(オンライン)、本日は日本時間の朝9時から当無責任電子壁新聞ではお馴染みの大阪の覇者アタッカQが出演、ハイドンやって、盟友キャロライン・ショーがアタッカのために書いた新作やって、海軍空母艦載機パイロットの息子のヴィオラ君がちょっと喋って、《大フーガ》を弾きました。この映像。
https://vimeo.com/showcase/7470406

最初にバリー監督がどっかから喋って、マンハッタンはジュリアード音楽院の北、ブロードウェイのアップルストアの角曲がってイーストリバー側に入ったところのマーキン・コンサートホールで収録された映像です。ライヴじゃなくて、明らかにセッションを撮ったもの。なんせ最初のハイドン作品71の2からショー新作まで、全部アタッカでやってるのは、こいつららしいギャグというか、狙いすぎだなぁ。

この演奏、冒頭のハイドンの音が出た瞬間に、「アメリカの弦楽四重奏団」というものに対してある種のイメージを抱いている方々は、のけぞっちゃうくらい吃驚するんじゃ内かしらね。そー、マンハッタンの残響の強い教会でハイドン全曲演奏を行ったアタッカQ、一昔前のパールマンとズッカーマンとハレルを並べました(うーん、ヴィオラの例が頭に浮かばぬ、テネボムとかじゃ地味すぎるし…)、みたいな音を出す団体ではありません。ぶっちゃけ、弦楽器というマシンでどんな音でも出せる。フィンケル&ウーハン路線の遙か先を行く、最先端の音ですな。そういえばアタッカって、ホンの一時期、コロンビア・アーティストに所属したんだよねぇ。あれはあれで驚いたけど。

こういうのを聴くと、あの夏にバンフがアタッカを勝たせていたら、今の北米室内楽界のトレンドはちょっと違うものになっていたかなぁ、とマジで考えてしまいますね。アタッカにせよシューマンにせよ、00年代後半以降のバンフの「セント・ローレンスQの後続を育成する」というアート・オーガニゼーションとしてのナショナルな使命に振り回された感があるもんねぇ。

なんであれ、まだまだ数日は眺められますので、ご関心の向きはお聞き荒れ。時間の損にはなりません。

※※※

ヴィオラのテネボム、という名前が頭に浮かんだので、ついでと言ったら叱られるけど、記しておきます。一応、今時の話題。

昨日、このようなjニュースが流れました。出所は、英語圏弦楽器情報の基本中の基本ソース、ヴァイオリン・チャンネルです。
https://theviolinchannel.com/michelangelo-string-quartet-new-violist-michael-barenboim/
今井信子さんがミケランジェロQを引退、という報道です。

フェルメールQに始まり、カザルスホールQ、そしてミケランジェロQとお続けになられていた弦楽四重奏奏者としてのキャリアに、いよいよ幕を閉じられるわけですな。ま、楽器の大きさのことを考えれば、よくあの小さな体で、と思わざるを得ないわけで、こればかりは仕方ないことでしょう。お疲れ様でした。

このニュース、驚きはそっちではなく、後任です。このクラスの人だと世界をぐるっと見回しても、果たして誰がやれるんやら、と思わざるを得ない。まさかメイジャー級の常設団体から引っこ抜いてくるわけにもいくまい。ったら、なんとなんと、バレンボイム息子くんがヴァイオリンをヴィオラに持ち替えて座る、というではありませんかああああ!

バレンボイムのパレスチナ&アラブオケのコンマスとして知られる息子くん、先頃のザルルブルク音楽祭に小編成で参加したときにも座っていたのやら。ともかく、ヴァイオリン弾いているところしか見たことなかったものですから、これはもうあっと驚きでしたね。メンデルスゾーンQのマン御大息子、ってのよりも吃驚だなぁ。こういうところに座ってくるかぁ…

本来なら数週間後に日本ツアーがあって、それが40年もの長きにわたった弦楽四重奏弾き今井信子の有終の美をを飾ることになる筈だったのでしょう。その意味では、ちょっと、というか、かなり残念ではあります。

秋の弦楽四重奏ネタ、まだまだ国内若手編がありますので、それはまた次回に。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽