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「キープディスタンス・コンサート」で試されたこと [パンデミックな日々]

本日2020年6月16日午後12時10分から、ミューザ川崎シンフォニーホールで「公演再開に向けたキープディスタンスコンサート」なる演奏会が行われました。

なお、この作文は基本的には終演後に記したものですが、いかな無責任私設電子壁新聞とはいえ、今のような状況で公的な機関が主催するこのようなイベントをどう報道すべきか、いろいろと判らぬことも多い。その後、他の主催団体のディレクターさんなどと話す機会などもあり、まあ、どんなもんかは伝える方が良いのであろうと判断し、アップいたします。なお、17日に東京新聞に記事が掲載され、Webでも読めますので、以下に貼り付けて起きます。事実関係は、こっちをご覧になって下されば判るので、あえて当稿では記しません…っても、具体的なコンサートの記述は殆どないですなぁ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/35983

このコンサート、ミューザ川崎とすれば3月以来の客席にスタッフ以外の人が入った演奏だそうな。で、ともかく、京急川崎駅からJR川崎駅を跨いでミューザの正面入り口に至り、エスカレーターでホール入り口ロビーに至ると、こんな感じ。
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広いロビーが5本くらいのラインに仕切られ、床には「三密回避」のガイドのテープが貼られています。

まず、上の写真の右手奥の受付に行き、用紙に名前と連絡電話番号を記します。それをしないと、チケットをいただけません。やたらと人の手に触るものを消毒しまくっているらしいのに、この用紙書き込み用のボールペンが使い回しなのは問題である、と言われそうだなぁ。

で、仕切られたラインのいちばん左側の列に向かい、並びます。こっち。
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一応、三密回避で並びますが、久しぶりに顔を合わせた同業者関係者などとマスク越しであれ話をしたりしちゃうわけで、三密回避の会話というのは現実問題としてはかなりキツい。いつものようにそれなりの近さで話をしようしちゃうわけだし、それにわしら業界トークというのはある程度密になって小さい声で話さないと、周囲のお客さんを吃驚させちゃうような内容もあるわけだし。うううん、実際に経験してみると、三密回避というのは想像以上に困難であると実感した次第。

やがてこのロビーに60人くらいの人が溢れ、エスカレーターの下では規制されてここまで上がってこられない方が何十人もいたそうな。で、開演の30分前に開場となります。表方スタッフは皆、Faceシールドの下にマスクです。会話を控えろ、って、これじゃ、話もできないわね。で、チケットはもぎってくれず、自分でピリピリともぎって箱に入れます。当日プログラムも、置いてあるのを拾う。アンケートはプログラムに記してあるQRコードを読み込んでスマホから返す。つまり、紙や筆記具はありません。

ちょっと意外だったのは、レセプショニストさんがいっぱいいたこと。作業に関わるスタッフを極力減らすのではなく、作業がいろいろ増えているので人海戦術、って感じでした。つまり、感染の可能性のある人が増えるわけだよねぇ、これって。

で、客席はこんなです。
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どうやら暫くはこのような状況が「当たり前」になるようですな。まるでヨーロッパや北米近距離線の737や320のビジネスクラス真ん中空け席みたいだなぁ。これに慣れちゃったら、2020年2月末までの客席がLCCみたいに感じちゃうだろーに。いやはや…

で、開演前の影アナはこんなん。
扉は自分で開けるな、というのがどういう意味か判らなかったので、コンサート後の質疑応答で尋ねたら、「みんなが触れるものには、できる限り触れないようにしていただくため」だそうです。うううん、それなら手袋を義務化した方がいいんじゃないか、とも思っちゃうけど。なお、コンサートの開催中は、表方スタッフが人が触ったような場所を消毒しているそうです。今時のホテルや高級マンションの公共施設みたいなやり方ですね。ちなみに、客席は1階平土間と2階正面だけを用い、100名ほどの聴衆。客の数は40人くらいであったろう2階の担当スタッフは4名おりましたから、スタッフ数は異常なほどの密っぷりですな。

あと特記することは…そうそう、クロークです。公式にはクロークは使えませんが、やはりこれは客席には持ち込めないという荷物はあり得ます。何を隠そう、やくぺん先生ったら、佃の縦長屋から葛飾オフィスに向かう途中に川崎に寄ることになり、去る秋以来引っ張って歩いてる医療器具セットがあった。客席に持ち込むのか、はたまた入場拒否になるのか、どうなるのやらと思ったら、クロークはやっていないけれど、クロークのところにスタッフがひとりいらっしゃって、その方の指示で自分でクローク内部の荷物置き場に置いて、終演後は自分で取り出す、というやり方でした。このホール、クロークの内側に入ったのは初めてだぁ。
今回は使用したのはやくぺん先生ともうひとり、総計二人だけだったんで問題はなかったようですけど、夏のサマーフェスタは600人はライヴ聴衆を入れるということなので…まあ、夏だからコートはないし、荷物を持ってくる奴も1ダースくらい、ってことならなんとかなるのかな。

演奏は、いわゆるジャズでしたので、あたくしめには「へええ」としか言いようがないです。ただ、バンジョーという楽器をこういう響くコンサートホールで独奏で聴いたのは初めてかもしれないけど、いやぁ、金属弦というものを徹底的に追求した音がするんだなぁ、と吃驚しました。ピアニストさんが「数ヶ月ぶりで腕が鈍って…」と仰ってたのは、全ての音楽家さんの実感なんでしょう。アンコールで披露された《A列車で行こう》を聴きながら、この先の人生でまたA列車に乗ってコニー・アイランドならぬJFKの空港アクセスモノレール駅まで行くことがあるのかなぁ、マンハッタンは無限の彼方也…なぁんて、遠い目になってしまったりしてさ。

終演後、聴衆の半分ほどが残って関係者の質疑応答、というか、モニターミーティングみたいなものがあり、担当の方が「本日は密を避ける実験」とはっきり仰り、やったこと、やれなかったこと、を列挙してくださいましたです。

やったのは、マーキング、カウンターでの連絡先確認、アクリルボード&消毒薬、サーモグラフィー、チケットもぎりなし、チラシ・プログラム配布なし、トイレ・エレベーター列のマーキング、クローク・ギフト・ドリンクなどはクローズ、距離を取るための着席部分のバッテン印、客席最前列4列は潰す、スタッフはマスクやFaceシールドや手袋着用、スタッフは可能な限り喋らない(館内での指示は掲示を掲げる)、開演後の表まわり清掃、以上。

質疑応答でも、マイクは質問者に持たせず、スタッフが近づけます。車椅子など個別の対応が必要な聴衆をどうするかは、まだ実験がやれていない。客席清掃をどこまでやるかも試行錯誤中。神奈川県内某ホールの方から、ピアノ鍵盤の消毒はどうしますか、という質問がありましたが、「3日置けばウィルスは死滅する」というデータがあるのでミューザは特に弄っていないそうな。まあ、鍵盤はアルコールで拭けるのか、って大問題ですからねぇ。

引き上げ際に、一番大事なのは、「みんなが楽しく音楽が聴けるようにすること」とスタッフのひとりが仰ってました。そう、こういう非常時、何が一番大切かが判っていれば、なんとか乗り切れる。うん。

ミューザ、夏のフェスティバル、有料配信を中心にライヴ聴衆も入れてやるそうな。こちらをご覧あれ。まだいろいろ決まってないことも多いようですけど。
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/news/detail.php?id=1350

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「日本音楽会場協会」のガイドライン [パンデミックな日々]

当無責任電子壁新聞に昨日付でアップした「現在の日本で最もメイジャーなクラシック演奏団体が集まって出したコンサート再開ガイドライン」を巡る突っ込み記事で、小規模コンサートスペースやライヴハウスの状況について、ちょっと触れました。

この話は、マスメディアでは「ライブハウスの苦境」みたいな扱い方で「今日のコロナで困っている人」枠で取り上げられたり、コロナ騒動回顧の際に大阪は京橋のライヴハウスが関西での最初のホットスポットになって、さて今は、みたいな形で語られることがあるくらい。御上の助成金などとは全く無縁な、とはいっても億単位のお金が動いて大企業スポンサーや巨大広告代理店も関わる大規模興行の世界でもないので、まあ、どこも大変なんだから好きでやってる人たちは勝手に困ってなさい、俺には関係ないけど、という状況になってしまうのは仕方ないでありましょう。

このパンデミックお籠もりがピークに達していた(というのか?)先月の終わり、ライヴハウスなどのオーナーさんやら主催者さんが集まり、「日本音楽会場協会」という団体が作られました。そこが、以下のような「ガイドライン」を出しています。PDF3つになりますが、昨日アップしたオケ連などのガイドラインのお役所作文とは違う簡素なものですので、全部貼り付けておきます。
1、定義及び目的.pdf
2、ガイドライン.pdf
3,対応内容.pdf
1がこのガイドラインが対象とする会場などの定義。2は、先月末くらいに話題になっていた東京都の警戒レベルに対応する話。で、3が具体的にどうするか。

興味深いのは、3で極めて重要なのが「客の動きをきちんと把握する」こととしている部分ですな。これ、オケ連などのガイドラインでは、諦めてるのか、そこはうちらの仕事じゃない、と割り切った。関心の違い、大ホールとコンサートスペースの切実さのポイントの違いが見えてきますな。

ところで、この「日本音楽会場協会」なる任意団体ですけど、どうもこのガイドライン発表後、迷走を始めているというか、良く判らないことになってるみたい。なんせ、この団体名で検索しても、公式ページなどが出てこない。で、いきなり出てくるのがこれです。
https://www.youtube.com/channel/UCOaIQhO9hP4KpU0IfmmZx-A
公式が、YouTubeみたいなんですわ。いやぁ、凄い時代になったなぁ。んで、最新のアップが「ガイドラインもう限界」ですから…

ま、いかにも「書いてあることはみんな嘘、信じるなぁ」をモットーとする当無責任私設壁新聞が紹介するに相応しい団体といえばそれまででしょーけど…とにもかくにも、メイジャーオーケストラだけではなく、こういう小規模な会場の動きも一方ではありますよ、というご紹介でありました。

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「クラシック音楽公演における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」なるもの [パンデミックな日々]

完全に後の回顧のためのメモです。

既に業界現場のあちこちで議論されているようですが、昨日、「クラシック音楽公演における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」なるものが出されました。作ったのは、「一般社団法人日本クラシック音楽事業協会(加盟団体93団体)、公益社団法人日本オーケストラ連盟(加盟団体37団体)、公益社団法人日本演奏連盟(全国の音楽実演家等3,155人加盟) ほかで構成された、”クラシック音楽公演運営推進協議会”」だそうで、要は、「所謂クラシック音楽の実演を商売にしている方々の集まり」、業界団体ということです。PDFにしておきます。こちら。
classic_guideline0612.pdf

さても、酒の肴にみんなでよってたかって突っ込みを入れるのがいちばん良いんでしょうが、どうもそういうオンライン・ミーティングみたいなものは駄目な爺い世代としては、勝手にひとり突っ込みをしようと思ったんだけど……どうもなんだか、突っ込む気にならぬ。なにしろ、第1稿「 はじめに」で記される現状認識はともかく、じゃあどうするか、という議論の最初に「国の方針を踏まえ」とある。おいおいおい、国の方針、ってなんなんねん?我が御上、どういう「方針」があるんねん?「決定的な治療方法が見つかっていない病気の蔓延を少しでも防ぎ、人の命を守ること」が国の方針なのか、「人の命は大事だけど、経済が成り立たないと駄目でしょ」なのか、どっちなのよ?

ってなわけで、もうここで先を読む気がなくなってしまうわけだが、「何がいちばん大事かは空気や流れに任せ、なんとなく決まってるらしいことにする」というのがニッポンの大人であり、気配り忖度の美徳なのでありますから、非国民と言われたくなかったらそこはぐっと堪え、先に進まねばならないのであーる……いやはや。

だから、もう、ここから先は雑談でしかない、ということでんな。悪しからず。

さても、第2項には、この文書がどういうものか記してある。「クラシック音楽公演運営推進協議会として、クラシック音楽公演の開催における新型コロナウイルス感染症予防対策として実施すべき基本的事項を整理し、今後の取組の参考に供するために作成したもの」だそうな。「参考」だそうです。んで、これを参考に実際の公演を行う際には、「公演主催者が活動を再開するかどうかの判断にあたっては、会場の所在する都道府県の知事からの要請等を踏まえ、施設管理者と公演主催者にて協議を行い、本ガイドラインが示す感染防止対策の対応がどの程度実施できるかを踏まえた慎重な判断を求めるとともに、クラシック音楽公演において感染者の発生やクラスター等が生じないよう万全な取り組みを行っていくことを求めます。」とのこと。それぞれの地域の御上や、ホールさんや主催者さんとちゃんと話をして、ここに書いてあるからこれでやれば良いんだ、なんて責任をうちに持ってこないでね、ってことね。最も重要なのはあんたの公演で感染者やクラスターを出さないことですから、ってのがハッキリ記してある。これがこの団体としての一番大事なことなんでしょう。

第3項では、クラシック音楽の公演を行うコンサートホール(音楽堂、という御上用語は流石に使ってないんですねぇ)のキャラクターがどういうものかをさりげなく示してくれていて、なるほど、この文書は「劇場法下での音楽堂での公演」が前提なのね、と判る。この部分は、加えるかどうか、内部で議論があっただろうなぁ。野外コンサート、ロビーコンサート、アウトリーチ演奏、それに所謂「コンサートスペース」などの個人運営のマイクロホールに関してはここでは議論してませんよ、ということだもんね。

ちなみに、コンサートスペースに関しては、数週間前にライヴハウスを中心に小スペースの対策協議会みたいなものを作る動きがありました。とはいえ、御上や他の奴らとは関係なく自分で自分のやりたいことをやる、という方々が束になってるわけですから、なかなか上手くは行っていないみたいです。所謂「クラシック」系からの参加もあまりないようだし。おっと、これは別のカテゴリーになりそうなので、ここまで。

っても、あとは具体的な対策が延々と記されているわけで、こういうのは実際に自分で現場をやってみないと「ああそうですか」としか言い様がない。それこそ、個々の演奏会によって千差万別、ここにはこう書いてあるけど、どうするべーか、ってことだらけになるのでしょう。突っ込み出せばキリがないわなぁ。ともかく、3月頭のびわ湖ホールで《神々の黄昏》GPを眺めたときに楽屋から入れられ、ホールという密閉空間に入るためにいろいろやらされ、これはどうやらただ事ではないことになってるぞ、と思わされて以来、NJP演奏会のトリフォニーとか、東京・春・音楽祭の旧奏楽堂とかで成されていた対応を、ありったけ書き並べてみました、ってもんです。他に何か落ちてることありませんかぁ、って感じの文書ですな。

あれぇ、と思ったのは、会場でのクラスター発生を潰すのがいちばん重要という基本方針から考えれば、「集まっていた人をきちんと把握し、クラスター発生時に追いかけられるようにする」といういちばん重要な部分はスルーされていることです。韓国の携帯端末を用いた封じ込めの基本がこれで、一応の成功例とされているわけだが、何故か我が御上は「個人情報の問題」とか「サヨがまた騒ぐから」とか仰ってやりたがらない。

まあ、この文書の目的が「クラスターを出さないこと」にあって、「クラスターが出ちゃったらどうするか」ではないのだ、と反論されればそえまでなのでしょう。だけど、「会場に来ていた人のきちんとした記録をどうやって取るか」というのは、実際にクラスターを発生させる悪者にされてしまい、その後は本気でクラスター発生を恐れているライブハウスや小劇場、コンサートスペースの業界では最重要課題なので、ちょっと違和感を感じます。この文書を作成する過程でも議論があり、今回はそれはなしにしておきましょう、ということになったんだろーなー……

第2章は、ホントに現場関係者向けの内容なので、ご関心の方はご覧あれ、でおしまい。ただ、やくぺん先生らの職種とすれば、期待していた項目がまるでないのはちょっと困ってます。つまり、「報道関係者はどうするの?」ということ。それ、なーんにも書いてないんですよ。

正直、「報道関係者、マスコミ、ジャーナリストは特別扱いせず、裏には一切近づけないこと」ってくらいの文章を入れてくれちゃった方が話は楽だっんだけどなぁ。いやはや、「なにも言わないから、それぞれの広報さんが考えて適当にやってね」だわさ。

以上、これが単なる「コロナ騒動のときの歴史的文書のひとつ」と笑い話になる日が……来るのやら。

[重要な追記]

14日日曜日の昼過ぎです。昨日13日土曜日くらいから、世界中で「三密回避で聴衆を入れたコンサート」が復活し、SNS上はそんなニュースで溢れかえってます。

京都コンサートホールの小ホールでは京フィルが「コロナ後日本初の一般聴衆を入れたコンサート」を行い
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200613/k10012469651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_016&fbclid=IwAR3dUrEShGb4DKXnMl2RG5fegklv1hHKAlv2tG2teVI09ncmJyli80aOYQA
お隣半島の先っぽのトンヨンでもエスメQが応手から帰国し2週間の隔離を行った後に、無事に聴衆入り初コンサートを行ったとのこと。ソウルでは月末に韓国国立オペラがアーツセンターのオペラハウスでフルステージ《マノン》をコロナ後世界初のフルサイズオペラの公開上演を行うとのことですし。台湾はもう先週から復活しており、昨日はベートーヴェンの交響曲ふたつ、なんて完全に普通の演奏会が戻ってきているみたい。来週はマーラーの9番だそうだし(案外編成小さいからね、あの曲って)。

そんな最中、オケ連さんが上述の文書を公式ホームページにアップし、やくぺん先生が「国って、なんじゃい?」と突っ込んだのに切り返すような情報を出して下さいました。
https://www.orchestra.or.jp/information/2020/post-31/
ガイドラインとやらそのものは、上述の中身と同じものですが、大事なのはその下にある情報。「当ガイドラインは、経済産業省、文化庁ならびに内閣官房コロナ対策 推進室、政府のコロナ対策専門家会議の有識者の監修を経て策定したものです。」
つまり、霞ヶ関のあちこちにちゃんとたらい回しして判子貰ってますよ(比喩ですが)、ってこと。誰も責任を取らないようになってる縦割り行政の姿がよく見えますな。

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ライヴの日程が戻る日 [パンデミックな日々]

実質上の「非常時日記」であるこのカテゴリー、こんなタイトルが出るのは終わりが見えてきたということなのか、それとも新たな日々が始まったというだけのことなのやら?

ちょっと早すぎる桜が咲き誇る上野の山の超三密を抜け向かった旧奏楽堂で、《大公》が鳴り終わった3月21日の土曜日から、本日でまるまる11週間が過ぎたところ。こんな頃だったのかぁ。
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2020-03-20

昨日の夕方、東京都独自の政令でもない要請で警戒が出ているとはいえ、聖霊降臨祭も終わり水無月に入り、梅雨入り前の一年で一番外で過ごすのが気持ち良い新帝都には夏至へと向かう長い昼間が続く湿気もそう酷くない爽やかな日曜日。日常になるんならもうちょっとオシャレなアイテムとできんものか、計算高い頭の良い皆さんがたくさん居るファッション業界なのに妙な商売っ気の無さに陰謀でもあると思わざるを得ぬ無骨なマスクが人々の顔面下部に貼り付いているものの、オーストラリア東海岸の12月みたいな爽やかな風が吹き抜ける中を帝都新開地川向こう葛飾の柿ノ木下オフィスに戻ると…ひとつ連絡が来ておりました。

ええ、現状ではどのようなコンサートか、オープンにして良いものやら判らない。んで、残念ながらデータなどは記せません。とにもかくにも、再来週の日曜日の夕方に、ひとつライヴの演奏会を聴けることになりましたです。このパンデミックのお籠もりの間、連日、YouTubeで自分の演奏をアップしていた某打楽器奏者さんが、孤独に鍛え上げていた大作を一気に披露するという独奏演奏会。オーケストラをパラパラ配置し、耳に優しい楽しい名曲を久しぶりにやりましょ、とかじゃない。全く普通の、まともな「ゲンダイオンガク」のライヴでありまする。

先週くらいから、4月頭の緊急事態発令で急にストップさせられていた「無観客有料ライヴのネット配信」が堰を切って各地で始まろうとしている今、「いつもの演奏会が出来ないのでこの演目です」というニュースに喜びつつ、複雑な気持ちを抱くばかりであった今日この頃、そんなハンディキャップ無しで、正真正銘、真っ向勝負の演奏会であります。本来なら、このパンデミックお籠もり期間中に「B→C」に出演する予定だった若きソリストさん(誰だかバレバレ…)、復活の演奏会に相応しい夕べとなるでありましょうぞっ。

などと思いつつも、なんだかこの緩みはマズいんじゃないかぁ…と思いつつ、さっさと寝て起きて、すっかり夏の空になった柿の木の上を見上げながら朝のゴミ出し前の掃除をしてたら、これまたコロナ禍では大変なことになった(なっている)遙か北の大地から、こんな連絡が入りました。
https://quartet-excelsior.wixsite.com/schedule/20-7-1

7月1日のエク札幌定期、三密回避で決行することになりました。で、NPOエクの顧問として、公式カメラマン&動画撮影諸々のボランティア仕事のため、赴くことになった次第でありまする。

何しろ演目は、かのベートーヴェンの作品132です。この瞬間を狙っていたように、「病からの快癒を神に感謝するリディア調の讃歌」が、PMFがなくなってしまいぽっかりと空いてしまった札幌の音楽好きの心の空白を埋めよと響き渡るのでありまするっ!

世間では大規模合奏や合唱がいつ再開出来るかという話題ばかりが聞こえてくる気がしないでもないが(ひがみ、と言えば言えっ!)、今こそ独奏や弦楽四重奏こそがその真価を発揮するときであります。作品132の第3楽章は第九の第3楽章にだって匹敵する、いや、敢えて暴言すれば、凌駕さえする音楽!三密回避条件など軽々と乗り越え、高く深く、北の空に響けえええええ!

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ネット漬け週間の終わり…? [パンデミックな日々]

今週末でお籠もり対応無料配信が終わるアムステルダムの《リング》を、半年前にライヴを眺めて現時点ではやくぺん先生としてはニッポン列島外で見物した最後の舞台となっている《ヴァルキューレ》は抜いて
https://yakupen.blog.ss-blog.jp/2019-12-04
一応全部眺め、葛飾オフィスから先月末に再オープンしたインバウンド混雑皆無のソラマチを経由し、感染危機が鉄道より高そうな密閉空間たる都バスに久しぶりに乗車(冷房を入れながら、あちこち窓を開けておりました)、週末の佃の庵に戻ってまいりました。

今週佃の塒に届いた数少ない郵便物の束の中に、二期会さんからの連絡があり、「7月に予定していた《ルル》は、2022年8月に延期。会場は文化会館から新宿文化センターに変更になります」との案内が。大きな舞台プロダクションで「中止」ではなく「延期」をきちんと通達してきたのは、これが初めてじゃないかしら。
http://www.nikikai.net/news/view_00572.html

今週から再オープンしたシン・ゴジラ視線の勉強部屋に陣取り、大川を上り下りするようになった観光船を見下ろし、梅雨の走りのような半端な雲の下を東京タワーや未だ無人(なんでしょ)の電通ビルの上を羽田空港に向けちっちゃなビジネスジェット仕様737が降りていくのを眺めてます。
YAL_0805.jpg
葛飾お籠もりのひとつの理由がなくなったのだけど、来週以降、今の妙な緩んだ感じのままにダラダラと新帝都のあちこちで再開される三密回避ライヴや生ネット配信系のコンサートの現場取材などが入ることになったら、これまで以上に感染の危機に晒されることになる。

となると、佃の家族のところには戻らず、葛飾オフィスを拠点に動く方が家庭内感染を避ける意味では安全なのだけど…葛飾オフィスからだと自転車で会場まで行けるのは葛飾シンフォニーヒルズくらいしかなく(京成電車で15分とはいえ、荒川放水路の彼方の上野は物理的な距離は案外遠い)、公共交通リスクが増えるばかり。さても、どうしたものやら。

なんであれ、びわ湖リング配信で始まったこの13週間におよぶ「日程の縛りは、メイジャー劇場からの期間限定配信スケジュールのみ」という生活、いよいよ終わりになるのであろーか。

メモをチェックしたら、コロナ騒動がなければ視られなかった、若しくは視なかったであろうオペラ全曲のソフト視聴数は総計50本にも及んでら。それに加え、これだけ締め切りがないときでなきゃ視る気になれないYouTube上やら、買ってはあるが積んどくになってたパッケージソフト、はたまた録画をお願いしてBlu-rayに焼いて貰っていながら視ていなかった放送録画なども、1ダースくらいは処理できた(処理、なんて制作してる方々には誠に失礼な言い方、お許しを)。これって、3ヶ月くらいヨーロッパから北米の諸都市を転々と動きまわって、ほぼ連日どっかの劇場なりに潜り込む、ってくらい数ではありませんか。体力ばかりはあって、あらゆるものがみられる、理解出来ると信じ込んでいた40代から50代はじめ頃みたいな、無茶なツアーであることよ。

あのスカラ座のクルターク《エンドゲーム》世界初演とか、ベルリンでやったヴィドマン《バビロン》改訂版の初演とか
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まさか公式に視られるとは思わなかった貴重な映像もあったし、『戦後のオペラ』を書いたときからずっと探していて視たかったがどうしても出てこなかったシュトゥットガルトの《サティアグラハ》とか、昨年秋に医者から病人認定されて出国禁止となり涙を飲んだジュネーヴの《浜辺のアインシュタイン》とか、現代のパッチワーク的な創作のひとつの大規模例を示してくれたこれまたシュトゥットガルトの《ボリス》とか、新作の同じプロダクションをメトとヴィーンという異なる二大メイジャー劇場のプロダクション比べを視せてくれたアデスの《テンペスト》とか…敬愛するロヴェット御大以下、このコロナ禍で命を落とされた皆様には本当に申し訳ないけれど、まさかまさかの経験をさせていただきましたです。

って言いながらも、この週末はヴィーンの《レオノーレ》、来週以降はメトのグラス初期偉人三部作の最近のメト上演があるふたつ(《浜辺のアインシュタイン》は会場がメトだっただけで初演時の主催は違ったみたい、あの頃は今のメトの舞台を貸し劇場としても使わせていたんですかねぇ?)とか、まだ週に二日くらいはパソコン前に貼り付く日々は続きそう。

ここから先は、「2019年暮れまでの日常への恢復の道筋」として記録すべきなのか、それとも「人類が過去に経験したことない新たな状況にじわじわと移っていく過程」に旗印を立てていくのが仕事なのか?湿った水無月最初の週が終わろうとする新帝都の夕暮れをぼーっと眺めていても、まだなぁんにも判らない。

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コロナに負けるな《ヴォツェック》三昧 [パンデミックな日々]

昨日、週末に佃の塒に週末で帰宅する京成電車、都営地下鉄浅草線、大江戸線、全体にずいぶんと乗客の数が増えており、浅草駅に人がいるのを久しぶりに眺めました。流石にみんなもうおうちに居るのがしんどくなってきたのかしら。

とはいえ、我が人の良さと御上への従順さだけが取り柄の業界、226アベ要請からの劇場音楽堂閉鎖を続け、先週くらいからなんとか再開に向けた動きは出ているもののまだ今月はとても無理。まだまだ続く「おうちで〇〇三昧」の日々でありまする。

欧州各地の主要劇場や楽団では、まさかここまで長引くとは思わずに、そろそろ自前の無料提供出来るソフトが底を打ってきたところもあるようです。権利関係が2ヶ月で切れてしまい…なんてリリースも某欧州メイジャー歌劇場広報さんから先週来ました。

そんななか、先週からこの週末にかけて、3つの歌劇場がそれぞれに力の入った演出で《ヴォツェック》を無料配信して下さるというオソロシーことが起きておりました。これがまた、それぞれの劇場のキャラクターをよく著したものとなっておりましたです。

まずはもう配信は終わってしまったアムステルダムの運河の畔の歌劇場でオランダ国立歌劇場が出したもの。3年くらい前のプレミアで、しっかりDVDパッケージにもなっております。こちら。
https://news.imz.at/music-dance-releases/news/dvd-blu-ray-berg-wozzeck-dutch-national-opera-4452954/
これ、今週の3本の中ではいちばん面倒くさいというか、いろいろと手が加わっているプロダクションで、いかにもこの劇場らしいなぁ、と思わせてくれます。演出のヴァリコフスキは、この「読み替え」がほぼ不可能というか、そんなことしてもさほど意味がありそうもない作品に敢えて大きく手を加えてます。

要はビュヒナーが『ヴォイツェック』断片を遺すに至ったライプツィヒでのオリジナルの事件に話を戻した、ってこと。ヴォツェックは現役の兵隊ではなく床屋かなんかになっていて、軍隊の暴力性の問題は全く表に出て来ません。ヴォツェックが沼に溺れて死ぬ場面もありません(なんせ史実では延々と数年に亘る裁判があって、最後は公開処刑になったわけですから)。なによりも大きな「読み替え」は、ヴォツェックとマリーの息子が実質上の主人公で、枠取りの子どもだけの舞踏シーンとか、幕の前に息子が朗読する場面が加わったりとか。

いちど映像でざっと眺めた限り、こういうやり方があるかぁ、と納得する演出家とプロダクションの力は判る。でも、確かにこの話はこれじゃなきゃダメだ、という気はしない。ぶっちゃけ、こんなことする必要あるかぁ、と思わないでも無かったです。最初に観るにはお薦め出来ないけど、この作品を観尽くしている方には大いに興味深い舞台だなぁ、と思わされました。

続いて、週の中頃に一日だけツルッと放送された、リンデン・オパーのシェロー演出バレンボイム指揮の舞台。90年代から定番の演出&演奏で、DVDもありますな。あ、日本語ではないのかしら。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF-%E6%AD%8C%E5%8A%87%E3%80%8A%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8B%E5%85%A8%E6%9B%B2-DVD-%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%98%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%84/dp/B000T42Z46
この演出家らしいきちんと歌手に演技が入った細かい舞台で、この作品の演出上の最大の問題たる場面転換も簡素な舞台と照明の当て方で処理している、極めてまともな舞台。ある意味、同じ頃のアバド&ヴィーン国立歌劇場の映像と並び、20世紀末から今世紀初頭のスタンダードな舞台でしょう。ただ、映像収録がもうちょっとなんとかならなかったかなぁ、と思ってしまう部分もありますね。音楽は…やくぺん先生はバレンボイム大先生はいまひとつ得意ではなく、数年前にベルリンのシラー・シアターの方で観た《ルル》は、正直、やっぱダメだなぁと感じざるを得なかった。だけどまあ、《ヴォツェック》はなんとか許容量かな。シュターツかペレ・ベルリンも、まだ旧東独スゥイトナー時代の音が残ってる、とまでは言わないけど、洗練されすぎてないし。

で、もうひとつは、本日眺めさせていただいた、チューリッヒ歌劇場の舞台であります。これはまだ月曜日くらいまで観られるので、こちらからどうぞ。数年前の演出。
https://www.opernhaus.ch/en/spielplan/streaming/wozzeck/
これもパッケージ映像は既にあるようですし、それを流しているのかな、この無料時間限定放映にも日本語字幕が付いてます。画面右下の赤いCCというところをポチョっと押すと、数カ国語の字幕が選べるようになってますので、あまりこの作品をご存じない方も安心です。

演出はベルリンのコミーシュオパーのトップをやっていたホモキ御大、現役バリバリの大物ですね。中身は、ご覧になって判るように、舞台にいくつもの入れ子になった枠を作り、その枠を使って展開されます。アプローチはまともですが、1幕3場のマリーが登場するところから、マリーとヴォツェックの子どもが人形で表現されていることからも判るように、ヴァリコフスキのような「子どもの物語にしてしまう」みたいな強引な力業はやってません。あくまでもヴォツェックの悲劇で、舞台全体が狂気のヴォツェックが眺める世界のようになってます。些か抽象的な部分もあるので、この話をまるで知らないとわかりにくいところもあるかもなぁ。でも、オペラというのは何も知らずに観に来るものではないと割り切れば、それほど無茶ではありません。音楽も妙にお馴染みのルイージ様ですから、安心といえば安心。

そんなこんな、20世紀末のスタンダード映像を挟み、21世紀10年代のふたつのそれなりに欧州最前線のバリバリの演出が眺めれたわけです。初台でこの作品を眺めれば、あのミュンヘンから持ってきた演出に限れば、東京が世界の舞台創作の中でどういう位置付けかも見えるであろう有り難い一週間でありましたとさ。

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コンサート再開に向けた一歩 [パンデミックな日々]

ほぼ1ヶ月ぶりに締め切り字数制限のある原稿を初めて、頭が全然きちんと動かず、ほぼ二日間、書いたり消したりというか、アウトライン作りをやってるだけで、なんにも進んでません。完全に1ヶ月休んだなんて、30数年ぶりじゃないかしらね。余生というか、最後の時代が始まるぞ、って盛り上がりはないもんだなぁ。

そんななか、世間はもう絶えられなくなってとうとう勝手に動き出すよ、という感じになってきていて、本日、業界内ネット上ではいつ出るのかと言われていた公益社団法人全国公立文化施設協会、所謂公文協(文化庁系です)から、「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン 」が出ました。もうあちこちに出回っておりますが、当無責任電子壁新聞としましても、後の自分のメモのためにアップしておきます。こちら。
https://www.zenkoubun.jp/info/2020/pdf/0514covid_19.pdf?fbclid=IwAR1rZkgVzIBCh06qtfzhAPH04EAcfiRIoDZSnfL0N1pSSF4i5Lq2gQyWRNw
一部の地域では非常事態が解除されたそうなので、これでそういう地域は一気に動きが出てくるのでしょうねぇ。早ければこの週末、なんてのは流石に無理でしょうけど。トイレの行列整理が大変そうだなぁ。ベルリン医科大学の指針みたいな「医師からの提言」ではないので、感染防止という視点ではない感じですね。舞台上のことなどは特に言っていないし。

もうひとつ。コロナ禍での劇場の運営について「緊急事態舞台芸術ネットワーク」なる組織が本日発足しました。こちら。
http://jpasn.net/
劇場法絡み、ってわけではないのでしょうが、基本は「音楽堂」ではなくて「劇場」の連絡団体のようで、所謂コンサートホールは入ってませんね。何をしていくかはともかく、問題を話し合ったりロビー活動をしたりするフォーマットは出来た、ということでしょう。

明日の朝から大阪大会の弦楽四重奏一次予選だった…などとは考えずに、本日起きた事実だけを記して、さっさともう今日は寝ましょ。

なお、アメリカ合衆国のイベント安全連盟というところが出したガイドもありますので、参考までに。こちら。
https://www.eventsafetyalliance.org/esa-reopening-guide

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言われたとおりにやってみると [パンデミックな日々]

パンデミックな日々が明けた後の為のメモ、です。

別に日本のゴールデンウィーク明けを待ってという訳じゃなかろーが、5月7日にベルリン医科大学が「オーケストラが三密を避ける条件」を発表。様々な動きが起きているのはおうちで暇してる皆様はよくご存じのことと思いますです。これ。今やオーケストラ業界内公式文書になってますな。こちら。歴史的な文書になるんじゃないかな。
https://epidemiologie.charite.de/fileadmin/user_upload/microsites/m_cc01/epidemiologie/downloads/Stellungnahme_Spielbetrieb_Orchester.pdf

日本でも、今月頭くらいから、業界の若い現場連中の間では今や日本国でいちばん偉い「専門家会議」なる御上が仰る三密回避条件でのホール再開シミュレーションの動きがありましたけど、こっちは「どんだけ客を入れられるか」という経営や採算の視点からの議論ではなく、あくまでもオーケストラ奏者の健康を守る、ということが趣旨。正に「専門家」の意見で、それをどうするかは現場の判断であろう、ということです。法的な規制ではなく、あくまでもドイツの専門家会議の提言、ということ。

さても、で、「12メートルルール」という言い方も出来つつあるそんな提言を、じゃあ真面目にやってみたらどうなるか、って団体が出てきました。んで、動画をつくってくれました。ヒルデスハイムの劇場を舞台に、TfNフィルハーモニー・ヒルデスハイムがベートーヴェンの第7交響曲を演奏してます。ハノーファーの南、ベルリンからフランクフルトに向かうICEのいちばん速い、ハノーファーを経由しない奴が、ブラウンシュヴァイクを過ぎた先でハノーファー迂回線に入り、北から降りてくるエリカ街道南下の本線に合流する駅ですね。いつも通るけど、げしゃしたことない街のひとつだなぁ。

んで、こちらです。

ま、ホントに、後の笑い話になればいいんですけど…って映像でありますなぁ。それにしても、練習もこの配置でやったのかしら?楽屋はどうしたのかしら?いやはや…

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アムステルダムの悲劇 [パンデミックな日々]

昨日、ある方からこのような事件があった、という情報をいただきました。現地で5月9日付の報道です。
https://www.trouw.nl/verdieping/die-ene-passion-die-wel-doorging-met-rampzalige-gevolgen~b4ced33e/?fbclid=IwAR2LgWRVaPmuHgREGoiiowhy3QNfhVRuLcYkENrPvTbWdeOew8WldiukaOQ
https://www.br-klassik.de/aktuell/news-kritik/chor-amsterdam-corona-tote-nach-konzert-concertgebouw-100.html
下のバイエルン放送の記事は上の記事から引っ張って来たみたいで、メインの記事はオランダ語。これは困ると仰る方もいらっしゃるでしょうから、一応、中身を要約しておきますと…

☆オランダ全土でホールの閉館が命じられる直前、3月8日に、コンセルトヘボウでアムステルダム混成合唱団がイースター前恒例の《ヨハネ受難曲》の演奏を行った。前日に狭い会場で練習も行われていた。

☆130名の合唱団のうち、102名が新コロナ・ヴィルスに感染した。メンバー1名とその家族3名の総計4名が亡くなった。1000人ほどの聴衆からは感染者は出ていないようである。

ということです。オランダ在住の若いジャーナリストさんに拠れば、この媒体はオランダ国内で4,5番手くらいの大手で、他のメイジャー媒体も記事を出しているそうなので、いい加減な記事ではないであろうとのこと。

日本でも岐阜の可児町で合唱団から感染が広がり、亡くなった方もいるという話がありました。時期としては、びわ湖ホールで《神々の黄昏》のGPを拝見しながら、ここに居る人から感染者が出ませんように、と祈っていた頃の話ですな。こういう話が「パンデミックのときの悲劇」としてきちんと取材がなされて客観的に伝えられるようになるには、まだまだ時間がかかりそうな。

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三密回避でやれるイベントといえば… [パンデミックな日々]

久しぶりに佃の縦長屋から新帝都のニッポン支配中心地を眺めてます。大川は観光船皆無、空も静かな初夏の週末。大川端にランナーがいっぱい出てるのは相変わらずだけど。

このパンデミックな日々も二ヶ月にもなると、そろそろ緊急避難的に行われていたあれやこれやもネタ切れになってきたようで、出口が見えない中にも「現状で何が出来るか」が模索され始めている皐月の初旬でありました。で、どうやら電網上に仮設された我が業界では、「三密を避けてコンサートを開催するとしたらうちのヴェニュはどーなるか」のシミュレーションがちょっとした流行になっているようでありまするな。先週末にベルリンフィルが無料無観客ライヴでフィルハーモニー大ホールから「三密回避コンサートはこうやれ」みたいなデモンストレーションでマーラー4番室内楽版なんて妙なもんを世界に向けてライヴ配信したのに刺激されたか、今週末は昨晩にブランデンブルク門越えて反対のリンデン・オパーの舞台上で、お馴染みの顔も並ぶシュターツ・カペレが舞台いっぱいに広く散らばってアイネクやら《ジークフリート牧歌》やらを演奏し世界に中継。
https://www.3sat.de/kultur/musik/gedenkkonzert-kriegsende-110.html
こういうメイジャーが団体が業界世論を作っていくのを目の前に見せつけられるような動きになってら。それにしても、どっちかというと、この演奏会に至るまでのすったもんだのメイキング映像を作って欲しいなぁ。どうやって練習したのかしら。

ある意味で「現状打開の仕方をうちらの業界に提言する」系のイベントというか映像を眺め、その周囲で巻き起こる議論を眺めているに、正直、なにやらとても違和感を感じざるを得ない。なんでじゃろね、と考えるに、ま、話は簡単。あたくしめが座っている普段の演奏会のうち、かなりのものがこんな三密回避コンサートと同じ状況じゃん。句点の前に(苦笑)と記したくなるけど、事実だもん。

例えば、席数が300から500くらいで会場使用料が半日使っても数万円、なんて区民ホールは東京にいくらでもあります。そういうところで開催される若手現代作曲家の個展とかの場合、舞台上には面倒な打楽器やらが密集するものの、客席は知り合いお友達関係者ばかりで数十人、なんてのは普通です。100人も入っていると「すげええ入ってるじゃん」なんて思える。

それから、200人から300人くらいの会場で行われる若手団体の室内楽演奏会も、聴衆は数十人なんてのは珍しくない。ってか、それが普通。一列誰も居ないので、好き勝手なところに座れて、なんとも気持ちいいぞ。

究極のガラガラ演奏会で超メイジャーなものといえば、なんといっても国際コンクール予選ラウンドの午前中のセッションでありましょう。もちろん、バンフとかメルボルンとかの盛り上がった地元聴衆が開場前からロビーに詰めかける例外はありますけど、ロンドンもミュンヘンARDも、はたまたレッジョもボルドーも、そして幸か不幸か我らが大阪も、世界に冠たるメイジャー国際室内楽コンクールの一次予選、はたまた二次予選の客席は、正直、閑散としております。恐らくはどれも三密条件を軽くクリアーしているんじゃないかしら。

今や伝説となってるアメリカ文化センターが会場だったアルテミスQが東京Q以来の優勝を果たしたミュンヘンARDコンクールの一次予選、確かツェムリンスキーの1番かなんかをやったような記憶があるのだが、客席にはパルム御大以下の審査員を除けば、聴衆は20人くらいしかいなかったような。会場が中央駅北西端のバイエルン放送スタジオに移ってからは、もうちょっとは入るようになった感じはあるけど。街の真ん中のオペラハウスを無料開放するレッジョ大会も、予選レベルでは開放された平土間に座る聴衆は、うちらプレスが陣取るボックスから眺めるに、勘定できるくらいのものでした。大阪も立派ないずみホールにたっぷり空間を取って座れます。

いつもなら、主催側とすれば「どうやって予選から聴衆を入れるか」に頭を捻る残念な状況なのでありまするが、これって正に「常日頃から三密が避けられ、それでもなんのかんの成り立っている」コンサートではありませぬか。いや、冗談で言っているのではなく、大真面目で申しております。マジ。

つまり、冷静に状況を鑑みるに、ホール運営側スタッフのことなどを全てクリアー出来るなら、流石に持ち出し前提のマイナーな現代音楽や室内楽の演奏会はともかく、コンクールはやれる条件のいくつかがクリアーされ始めているのではあるまいかっ。あくまでも空理空論として、ですけど。

三密を避けてコンクールを開催する条件をつらつら考えるに…

★そもそも予選レベルでは演奏を聴いて貰うのは国際コンクールでも10名ほどの審査員だけで良い。聴衆は出演者関係者、プレス、ある程度以上の額のお金を払ってもどうしても聴きたい数十人の聴衆に離れて貰い、オーディトリアム内部にはトータルで50名程度に抑える。結果として起きることは、現在のパンデミック下でない通常の開催状況とそう違わない。

★審査員の採点は会議ではなく純粋に点数積み上げ式にして、密閉空間での審査員による議論は行わない。これも、今回はそういう規定にします、と決めればそれでOK。

★スタッフワークは限りなく少なくし、ある程度時間をたっぷり取り、転換は参加者が自分で行う。控え室はひとりひとつにする。審査員は直接隣接の宿舎から会場に入って貰う。

★多数の聴衆が期待される本選は、会場の条件は基本的に予選と同じに、スポンサー関係者なども数を絞る。聴衆賞はネットでライヴ中継し、ネット投票とする。

てなわけで、やれるじゃん、国際コンクール。

最大の問題は、参加者及び審査員が会場に来られるのかと、練習をどうするのか、ですね。国際大会の場合はそれが最大のネックだけど、逆に考えれば、今やれるのはローカル大会だけなんだから、と割り切るなら、それはそれでありでしょうし。どうしても国際大会にしたいなら、世界コンクール連盟と交渉して「今回は外国からの審査員の〇〇先生と××先生と△△先生は、特例としてインターネットのライヴ中継を利用しての審査参加となります」ということでクリアーさせて貰う(OKいただくにはハードル高そうだけど…)。

果たしてそこまでして大会を開くべきなのか、本気で考え始めたら「アホいわんといてーな」で一蹴でしょうけど、演奏会制作テクニック的には出来ないことではない。宗次ホール弦楽四重奏コンクールだったら、全然問題なくやれるんじゃないかしら。

なんのことはない、「死んだ子の歳を数える話:大阪国際室内楽コンクール編」というタイトルにすべきだった駄文になってしまった。ふううう…コロナがなければ、来る金曜日午前10時半くらいのいずみホールで、弦楽四重奏一次予選で第10回大阪国際室内楽コンクール&フェスタが賑々しく始まっておりました。なお、蛇足ながら、同時期に浜松で開催される予定だった世界コンクール連盟総会は12月に延期となっております。ま、こっちは延期は簡単と言えば簡単ですからねぇ。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/shise/koho/koho/hodohappyo/2020/4/documents/2020041501.pdf

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